どうしてこんなにあんまんが好きなのか自分なりによく考えてみたんですけど、まず「あんまんが好き」を考えるにあたってどうしても「なぜ肉まんではないのか」を通らなくてはいけないの、とても不本意なのだけれど回避できない。 肉まんも素敵だよ。それはもちろんそうだよ。肉まんになんの不満も持ったことないし、肉まんとの間にはいい思い出しかない。好き。好きだよそりゃ。肉まんってすごい嬉しい物体だもんね。もはや食べなくても、もう持った瞬間から嬉しいもんね。そのあたりの、物体としての嬉しさは肉ま
前々から付き合ってきていた腱鞘炎がなかなかひどくなり、少しの間スマホからなるべく離れていました。 手を痛めた原因はおそらく製本作業だと思うのだけれど、その手でスマホを触るのもなかなかに辛いことが多く、通っている整骨院の先生も「スマホの重さはバカにならない」と言っていました。 先生曰く、ガラケーの頃は親指を動かす筋肉を痛める人が多かったそうで、「人類が誕生してから最も親指を使っていた時代」と表現していました。そして今、スマホが普及してからは、親指の時代から腕と首の時代に変わった
凪良ゆうの「汝、星のごとく」を読み始めたらなんだか眠れなくなってしまって、久しぶりに一睡もしない夜を過ごし、朝までかけて読み終えました。いい本でした。 本を閉じたあとの、ため息をついたり天井を見上げたり、カバーを外して本体表紙の手触りを確かめたり、また天井を見上げてみたり、そういう時間を終えたあと。時計を見るともうすぐ午前4時。窓を開けてベランダに出てみる。まだ辺りは真っ暗で、本を開く前に見た夜の姿と変わらないけれど、あの時よりもほんの少しだけ空気が冷たくて、街もしんとして
そうだ、今日は帰りにガムテープを買わなくては。家を出る前にふと思い出し、LINEのKeepメモを開く。 「ガムテ」と入力しようと思い、「ガ」と入れたら、予測変換の候補の中に「ガムテープ」が現れた。それをタップし、無事「ガムテープ」が入力されたあと、つい×印を2回タップして「ープ」を削除してしまった。直後、 「頭が!悪すぎる!」 玄関でそこそこ大きな声が出てしまいました。 なんか、ちょっと過剰なほどムカついてしまったのだよね。こんなことに。 だってなんなの?「ガムテープ
暑かったり寒かったりTシャツだったりパーカーだったりですね。十月。 今日はそろそろ出かけようかなって時に突然、電気設備の点検の方がやってきて、そういえば先々週あたりに告知されていたから本当は突然のことではなかったし、点検も5分で終わったのだけど、完全に忘れていた僕からすれば急に飛んだ5分であった。 いつも同じ時間の同じ電車で向かっているグループホームの泊まりの仕事に、5分遅れで向かう。遅刻するような遅れではないのだけれど、一本遅い電車も一本遅いバスも、なんだか不思議なほどい
秋分を過ぎたとたんに風がひんやりとして冷たい夜が続いているわけだけど、もうこのまま冷たいまんまでいくつもりなら仕舞い込んだニットを引っ張り出してもこもこした格好で歩きたいけどどうなの秋、このままいくの? こういう不意に寒いときこそ思い切って厚着しないと風邪をひくんだよね、ちょっとやりすぎくらいがちょうどいいんだよねって長年の経験から思いまして昨日は割ともこついたパーカーを着てって正直完全勝利でした。そうなの。先週まで半袖だったからこれ着てみたときちょっとビビったけど、ここまで
好きな小説家を聞かれたら、いつもきまって3人を答えている。 「小川洋子と川上未映子と奥田亜希子です」 先日、丸の内の丸善での「PENフェス」に出展していたら、突如目の前に奥田亜希子さんが現れ、手を振っていた。えっ? 奥田亜希子さんといえば、5月に文学フリマに出展されていて、初めて人間の姿を拝見して、しかもちょっと会話とかもして、新刊にサインももらって、やべーやべーイヒヒってなってたんですが↓ そもそもこの人を、奥田亜希子「さん」と呼ぶようになるだなんて思ってもみなかった
朝井リョウの「正欲」を読んだ。 この本を買ったのは2週間ほど前。 出先でたまたま長い待ち時間ができてしまい、しかも本を持ってくるのを忘れてしまった。 とりあえず駅に隣接された書店に入り、文芸のコーナーをぐるぐるしてみるけれど、どうにも読みたい本が見つからない。少し歩いて、別の書店に入る。30分くらいまたぐるぐるしつつ、あれこれ手に取ってみるけれど、なんだかあんまりピンとこない。でも、とりあえず目の前の暇をつぶすために何かは買って帰りたい。 はーあ、いっか、正欲で。 この
9月に入った途端にほらなんだか既にちょっと涼しい風が吹いたりとかして、まだ秋というには全体的に青々としすぎているけれど、こないだまでそこにあった夏を思えば今ここにあるこれを夏と呼ぶのはちょっと違うよねって、そういう季節になった感じ。暑さはまたきっとやってくるのだろうけど、夏という季節は8月31日にきっぱり終わる。そしてこの手の話、毎年してる。 子供の頃には大人たちが天気や季節の話ばっかりしてるの、どうでもいいしつまんないし、なんでこんな人気なのこの話題って思っていたけれど、す
このnoteに書き溜めていたエッセイをまとめた本を9月1日から販売します。 ご予約はこちらから。 本に収録したエッセイは、note上ではほとんどが非公開になっています。いちおう。 元々、小説以外の文章を書くのがとても苦手で、ちょっとしたトレーニングみたいなつもりで書き始めたこのnote。書きながら読み返しながら、いつも「下手だなあ…」と思っていましたが、そんな文章をいざ本の形にしてみると、なかなか自分としては気に入るものに出来上がりました。本ってやっぱりすごい。色んな場面
「高校を卒業したら、音楽をやりつつバイトをして生活します」と言った進路相談の日、先生は「はあ、困ったなあコイツ」という顔をしていた。 「あのね、それは高卒のフリーターになるってことだよ?」 「はい」 「はい?」 「はい」 という感じで、バイトをいっぱいする人生を選んだ。 初めてのバイトは15歳の時に始めたミニストップ。もう大体のことは忘れちゃったけれど、最初のお給料で生まれてはじめて自費でハーゲンダッツを買ったことを覚えている。 ミニストップを辞めたあと、一回だけイベ
夕方。 ふと「骨頂」という言葉を思う。 骨頂。なんか字面も響きも好きな感じ。いい感じ。そもそも以前から「骨」という漢字の造形が割と好きだなって思っていたのだけど、こうしてみると「頂」もいいね。 こっちょう。辞書を引くと「程度がこれ以上ないこと。最高の段階」とのこと。いいじゃん。使いやすそうじゃん。でもなんでこの単語って「愚の骨頂」にしか使われないんだろ。それでしか聞いたことない。全然もっといろんな場面で使えそうな単語なのに。 なんて思いながら調べてみたら、ああそっか、「真骨
昨日・一昨日と名古屋のクリエーターズマーケットというイベントに参加して紙ものをあれこれ売ってきました。 こんなふうに遠征するのは初めてのことで、新幹線やらホテル代がかかっているぶん売れなかったらどうしよう赤字だったらぜんぜん楽しめないやだなあってちょっと弱気になってたんですが、結果としてはいっぱい買ってもらえて嬉しい気持ちで頑張れました。やったね。 4月からずっと忙しいこと続きでちょっとやばかったんですが、名古屋を終えてようやく一息つけた感じがします。 やばかった期間中、
奥田亜希子さんの小説「ポップ・ラッキー・ポトラッチ」を読みました。最高でした。 奥田亜希子さんといえば「透明人間は204号室の夢を見る」で衝撃の出会いをして以来夢中なんですけど、 先日の文学フリマでなんと作家本人とお会いして、あわあわしながら少しお話して、そしてその場で新刊を買ってきたのでした。 それが「ポップ・ラッキー・ポトラッチ」。 もう一度言いますが、最高でした。この本。 作家本人から直接買ったからとかサインもらったからとか元々ファンだからとか、そういうので言って
文フリ、丸善の怒涛の出展ラッシュを終え、今日は久々にほんのちょっとのんびり過ごしました。 忙しすぎて季節感を失っていたけれど、外を歩けば真っ直ぐな初夏の日差しと日焼け止めのにおい。暦はどうあれたぶんもう夏なんだね。 丸の内丸善「書活」の最終日、お隣のブース「すずめや」の四方さんと軽く打ち上げをした。 四方さんは手製本ノートを作っている製本家。彼女と初めて会ったのも、3年前の丸善の催事だった。僕は元々すずめやさんのファンで、インスタで見ていた美しいノートが欲しくて、東京に出
6年前に作った「胎内の雪」という本を改訂することにしました。 きっかけとなったのはプリンターの故障です。 新しいプリンターの新しいドライブの仕様上、今までのデータで同じように刷っても、刷り上がりが少し違ってしまう、という事態に陥りました。 胎内の雪は、生まれて初めて作った本。 思えば当時は製本のことなんて何一つ知らなかったし、この本をどのくらい作り続けてゆくのかとかも全く考えていなかった。 なので、当時使っていた機材でしか成立しないデータを使って、今までずっと作り続けてきた