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イラストレーター・絵本作家のおがわ ようこさんのテスト印刷に挑みましたっ!!!後編(体験 ! ! なるほどなPAPER Vol.02)

こんにちは、紙谷刷太郎です!イラストレーター・絵本作家のおがわ ようこさんのテスト印刷に挑みましたっ!!!前編(体験 ! ! なるほどなPAPER Vol.02)では、印刷会社ショウエイさんの工場見学からテスト印刷前の準備についてご説明しましたっ!

ここからは、テスト印刷のためにわたくし紙谷とおがわ ようこさんと選んだ紙たちと、それらの紙にどのような印刷を施したかについて、画像と共にくわしく解説していきます!そのテスト印刷にはおがわ ようこさんにも立ち会って頂けることになり、なんとなんと、貴重な原画をお持ち下さり、現場では原画と色を見比べながら色の出方などの作戦を立てることができました~!

こちらが原画になりますっ!そうなのですっ、
今回の2作品ともが手描きによる作品なのですっ!!!

テスト印刷のために選んだ紙は各作品×3種!

<こびとのクリームソーダ 使用紙>
① 新シェルシン 四六判  Y目 プラチナスノー 180㎏

紙の表面が少しラフ肌なパール紙です。光が当たると金色に輝くのが特徴です!

② コンパッソ 1090×790㎜ Y目 P-21-NE 18㎏

新シェルリンよりは少し紙の肌がきめ細かいのが特徴です!
やはり光が当たると金色に輝きますっ!

③ パルルック 四六判  T目 トワイライトゴールド 185㎏

新シェルリン、コンパッソと比べると紙の表面がツルツルで光沢があります!

3種類共に光が紙に当たるとゴールドに輝くパール紙になります!

<こびとのケーキ 使用紙>
① キュリアススキン 700×1000㎜ T目 ブラック 189㎏

黒い紙の中でダントツに黒いキュリアススキン ブラック。
紙肌がスベッとしているのも紙の大きな特徴です!
(機会があればぜひ紙に触れてほしい!!!)

② OKACカード 四六判  T目 まくろ 177㎏

やはり黒い紙の中でもか~な~り深い黒色の紙です。
紙にやや風合いがあります。

③ ビアンコネロF 四六判 Y目 ネロ 180kg

ビアンコネロの「ビアンコ」はイタリア語「白」、「ネロ」は「黒」を意味します。
そう、ビアンコネロは、真っ白と真っ黒の2色の紙になります。
紙の表面が画用紙のようにザラザラしているのも特徴です!

3種類共に、黒い紙の中でも特に深い黒色をした紙になります!
こんなにも黒い紙の上からイラストを印刷して果たしてきれいに仕上がるのか~???

3種類の異なる偏光パール紙にこびとのクリームソーダを印刷!

一見したところ、3種類の紙による違いはあまりないように。
しかしよく見比べてみると・・・?!
印刷した作品を壁に貼って頂いて、それぞれの仕上がりをよーく見比べると、
紙の光沢、紙の肌がイラストに影響していることがわかってきました!

これからの時期にぴったりのかわいすぎる作品が、「こびとのクリームソーダ」になります!画像ではわかりづらいかもしれませんが、紙は3種類共にゴールドに輝くパール紙で、紙の表面の質感、光沢が異なり、3種類の中では〚パルルック トワイライトゴールド〛が最もツルっとしていて光沢があります。逆に〚新シェルリン プラチナスノー〛は画用紙のようなザラっとした質感で、光沢がやや弱くなり、〚コンパッソ P-21-NE〛はその中間といったところです!

部分的に、ホワイトインク、クリアインクを入れることで作品に立体感が生まれましたっ!

パール紙の上からカラーで印刷すると、紙地のパール感が強く出るのでイラスト作品に影響が出ます。そこでイラストが入る部分には、先にホワイトを印刷し、その上からカラーで印刷をすることで、イラストの色の再現性をできる限り原画に合わせたのでした~。

クリームソーダが入ったグラスや、イチゴには部分的にクリアインクを使用し、
質感を表現しています~!

一方で、クリームソーダのグラスや背景にある星には、ホワイトインクを入れずにそのままカラーを印刷することで原画にはない、グラスの透明感や光沢、星のキラキラを表現しましたっ!

背景の星にはベースにホワイトを印刷していないので紙のパール感が
グググっとイラスト作品に出てきましたっ!

更に更に!!フルーツやグラス部分にはカラーで印刷した上から透明のクリアインクを印刷して光沢を出し、シズル感や硬質感を表現。また一部分にクリアインクを印刷することで作品全体に見事なまでの立体感が生まれたのでした~!!!!

「こびとのクリームソーダ」では、パール紙の持つ紙の輝きを活かして、ホワイトインクとクリアインクをどのように乗せるかがポイントになりました!

3種類の真っ黒な紙に、こびとのケーキをカラーで印刷する!?


続いての作品はこちら~!!!

こちらは、おがわ ようこさんにお持ち頂いた「こびとのケーキ」。
こびとたちの帽子やケーキの上のフルーツが色鮮やかです!


「こびとのケーキ」ですっ。

こちらもこれからの時期にぴったりで、こびとたちとケーキが可愛い、ほっこりする、そしておいしそうな作品です!原画は白い紙に描かれていて背景が黒い色で塗られています。この暗闇に浮かび上がるケーキとこびとたちを表現するために、印刷を担当して頂くショウエイさん、わたくし紙谷と、おがわ ようこさんで作戦会議をした結果、

黒い紙で印刷してみよう~!」

ということになったのでした!

ホワイトインクがしっかりと乗る真っ黒な紙を探す!

ポイントとなるのは黒い紙+ホワイトインクでどこまで紙の黒色を隠せるか(消せるか)でした。これまでグラフィックの表現では黒い紙にホワイトインクで表現したことはありましたが、イラスト表現ではやったことがありませんでした~。また黒い紙は、紙の種類によって、紙にインクが吸い込むころで白さが出なかったり、印刷の白い面がムラになることもあり、インクとの相性がかなりあるということは、これまでの経験で何となくわかっていました。

おがわ ようこさんからできるだけ真っ黒で、ホワイトインクを印刷した時に、印刷面の白色がきれいに出る紙を使いたい、という話があり、最終的に3種類の紙(キュリアススキン、OKACカード、ビアンコネロ)を選ばせて頂きました!ちなみにファンシーペーパーには様々な黒い紙がありますが、これら3種類の紙よりも色が黒い(深い)紙はほとんどないと思いますっ!

3種類の黒い紙に印刷をして原画と見比べています!
こちらは同じ黒い紙でも、紙により仕上がりがずいぶん違って見えます~!

黒い紙の影響を受けている?

仕上がった3種類の印刷を見て、印刷に立ち合った3人が、
「おー、黒い紙でも、紙によって仕上がりが結構違う!!!」
と驚きの表情を浮かべました!

画像では、仕上がりの差がわかりづらいかもしれまえんが、3種類の仕上がった作品を並べると、紙の黒さも、イラストの色も(特にケーキのクリーム部分が)それぞれ異なる仕上がりになりました!

ここで、いったん印刷の色が原画とどこまで近いのかを確認するため、真っ白でUVインクジェットの相性が非常に良いエアラスという紙で印刷してみることにしました。(下の画像がエアラスという紙にUVインクジェットでカラーで印刷しているところです!)

紙の色に、インクの色がどこまで影響を受けているのかを確認するため
一度エアラスという真っ白で印刷に仕上がりが良い紙で印刷してみました!

その結果、やはり白い紙に印刷すると、原画に限りなく近い色が出ているため、やはりどの紙も多少なりともベースの黒色が影響を受けていることがわかり、あとはデータで色を調整することになったのでした!

壁に貼って改めて3種類の黒い紙とエアラスで色の見え方を見比べましたっ!

更にケーキのソースと、ロウソクの炎の周辺部分にカラー印刷の上から部分的にクリアインクを乗せることで、原画とはまた違った不思議な仕上がりになったのでした~!!!

テスト印刷をする前は、果たして黒い紙に色鮮やかな印刷ができるのか、ドキドキ、ハラハラしていましたが、結果的には今回選定した3種類の紙では、紙色の影響は多少受けるものの、きれいに仕上がることがわかりました~!

ケーキにかかっているソース(美味しそう!)とロウソクの炎の周辺部分には
クリアインクを乗せていて、黒い紙と相まって不思議な奥行が!

ということで、ここまでおがわ ようこさんの2作品「こびとのクリームソーダ」、「こびとのケーキ」をパール紙と黒い紙でテスト印刷する様子をお伝えしました~。

これまで「なるほどなPAPER」では様々な紙とUVインクジェットの組み合わせで様々な印刷テストをしてきましたが、やはりイラストと紙、印刷の組み合わせは無限にあって、ある程度は想像がついても、細かい部分は仕上がってみないとわからないことが体感できました!!!
そして、その「仕上がってくるまでわからない」という体験が、紙と印刷の面白さでもあると改めて実感しました~っ!
あと、おがわ ようこさんの作品が2作品ともものすごーくかわいく、おかげでずいぶんと立ち合い中もずいぶんと癒されましたっ!!!

おがわ ようこさんは、今回のテスト印刷をもとに、最終仕上印刷の準備に入られますので、またそのタイミングでこちらのnoteからお伝えしたいと思いますっ!本日も非常に長文となってしまいましたが、最後までお付き合い頂きまして、本当にありがとうございました~!

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