和紙のめくり
星陵会館で行われた滝川鯉八師匠のイベントに、和紙の「めくり」を採用して頂きました。土佐和紙の職人さんがすいた紙を無駄なくカットした「めくり」は少し大きめで、寄席文字独特の筆使いがより伝わってきます。
今回の寄席では、落語研究会の大学生もプレ高座もありました。1000年持つ和紙のめくり、学生さんにも喜んでもらえたとのこと。皆さんが卒業後に違う道に進んだとしても、色褪せない和紙のめくりと共に、思い出が大切に残ればいいなと、そんな風に感じました。
落語の面白さ
今回、はじめて拝見した鯉八師匠の落語の世界。めまぐるしくかわる人物、声色やしぐさでぐっと引き込まれる感覚と、会場の観客の皆さんと「笑い」を通して一体となる空間。
あ!子どもたちに話す「素話」と似てる!!
「次は何が出てくるんだろう?」
「このおばあさんはどんな顔をしているんだろう?」
一人一人が頭で描く光景は違うれども、まるで子どものように、各々が自分の想像を絡めながら面白みを増幅させ、共に笑い、空間を共有する、、なんて贅沢な時間なのでしょうか。
大人になると笑う回数が減る、という話をよく耳にします。(個人差を踏まえてどうやって統計をとったのかは、、、大変気になる部分ではありますが)平均すると、子どもは一日に400回笑うのに、大人は15回なのだとか。
「笑う門には福来る」
笑顔が溢れる空間の中に和紙のめくりを置いて頂いた喜びを感じつつ、自分自身が楽しみながら和紙を広げていきたいなと思いました。
江戸という時代
「笑う門には福来る」の語源はお正月遊びの「福笑い」なのだとか。福笑いやたこあげ、すごろく、カルタなどの遊びは、江戸時代に発展したそうです。落語の始まりは、室町時代末期から安土桃山時代にかけてといわれていますが、こちらも本格的に発展したのは江戸時代に入ってから、各地で有料で噺を聞かせる人物が登場し、「寄席」が誕生しました。
江戸時代の人たちは、子ども大人も皆、生活の中であそびや楽しさを生み出すことが上手だったということでしょうか。
物質的に豊かな時代ではなかったのかもしれませんが、受動的ではなく能動的な、心の豊かさのようなものがそこにはあるように思います。
あそびは、「余暇」ともいいます。効率的に生きていたら見えてこないことが世の中にはたくさんあって、何かを創造するには心にゆとりが必要なのだということでしょうか。
師走を言い訳にあちこち走り回っていましたが、「笑うこと、余白をつくることって大事だな」、そんなことに気付かされた寄席体験でした。
紙すき寄席のご案内
さて、カミスクでは、紙にとことんこだわった「新春!紙すき寄席」を行う運びとなりました。江戸の紙文化にちなんで「紙くず屋(かみくずや)」他一席をご紹介します。
当日は、江戸の紙文化についてのお話も聞くことができますので、ご興味ある方はぜひ足をお運び頂ければと思います。
https://www.chinju-no-mori.or.jp/kamisukiyose
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