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15センチの支配者 〜光る魔物に魅了された私たち〜
はじめに
長らく投稿をお休みしていました。
本業の転職と仕事に追われ、執筆する時間がなかなか持てませんでした。少し落ち着いたので、これから少しずつ投稿を再開していきます。
まえがき
この作品は、私が閉塞感の中にとらわれていた時に感じていたことを言葉にしたものです。日々、目の前に「15センチの魔物」に支配されている感覚。それを文章にしてみました。
本編
スマホが手放せない。
気づけば、私たちはこの15センチの魔物に支配されていた――。
人は、15センチの魔物に魅了された、わずか5.67インチの光る板。
その薄くなめらかな表面をなぞるだけで、私たちの世界が広がる。
どこにいても、それは人々のそばにある。
歩く時も。待ち時間も。移動中も。
休息の瞬間でさえも...。
視線は吸い寄せられ、指先は止まらない。
スライドをするごとに脳を満たす。
ドーパミンが放出され、心がふんわりと軽くなる。
思考は鈍り、時間は溶け、気づけばもう手放せない。
まるで、守護天使の優しさと悪魔の囁きを同時に抱くかのように。
社会はこの現実を変えることを諦めた。
人々は、それを「便利」と呼び、「進化」と信じた。
だが、それは進化だったのか?
それとも、静かに蝕まれる堕落だったのか?
15センチの支配者は、今日も私の指を絡め取る。
次のページを、スライドさせるために。
そう、支配されていることに気づかぬまま。
あとがき
本編を読んでいただき、ありがとうございました。
あくまでこれは私自身が感じたことを文章にしたものですが、もしかすると、同じような感覚を持っている人もいるかもしれません。
私もこの「悪魔」の魅了に浸食され、完全に手放すことはできません。
それでも、この便利になりすぎた社会の中で、少しでも違和感を持ち続けることが大切なのでないかと感じています。
この文章が、誰かの気づきや、小さな救いにれば幸いです。
ここまで読んでいただきありがとうございます。