親父と俺(7):特殊学級疑惑?
「特殊学級」って言葉、もう使っちゃいけないんですかね。まあ、いいや、「当時の時代背景を鑑み、そのまま使わせて頂きます」ということで。
今は、「インクルージョン」の時代なので、発達障害の学生などもみんな、同じ教室で学ぶ。そうではなかった時代の話ということでお願いします。
小学校に入る前、突如幼稚園で「運動会の開会挨拶」に抜擢されたり、親父の特訓によって突如足が速くなったり、きらりと光る(笑)ところをたまにみせていたのだが、基本的にはオドオドして人の後ろについていることが多かったなど、挙動不審が目立った私は、当時の言葉でいう「知恵遅れ」との疑惑が付きまとった。
例えば、幼稚園から家に帰ると、家の周りをやや下向き加減で、歩き回っていることが多かった。
なにをやっているかというと、テレビのアニメや漫画、絵本の類の話を元に、自分でストーリーを頭の中で作って、楽しみながら歩いてたんです。
やばいでしょ(笑)。
それをみた、当時我が家に同居していた母方のおばあさんが
「うんだやのう(愛媛県・西予地方あたりの方言で、びっくりした、くらいの意味)、バカのケーと一緒よ」
と、お袋さんに言った。
「バカのケー」とは、昔、お袋さんが育った田舎にいた、知恵遅れの男の子。その子が、街を徘徊していたのに酷似していたのだという(笑)。
そんなことがあったりしたので、小学校に入学後、はたして普通のクラスに入れるかどうか本気で家族は心配していた。
ただし、その心配を払しょくする結果もあった。
幼稚園で実施した知能テストの結果だという。これが飛びぬけてよかったのだという。ということで、小学校には普通のクラスに入ることが決まっていた。
だが、ここで事件が起こる。小学校入学前の2月くらいでしたかね。入学予定者が集められ、簡単なテストを行なわれたのだ。
テストは1階の教室で行われた。だが、私はなぜか、途中から2階の教室で独でテストを受けた。
その学校に先生として勤務していたお袋さんがあれっと思ってのぞいたら、黒い半ズボンをはいて家を出たはずなのに、黄色のズボンをはいている。
何が起きていたのか、それ以上言わさんといて(笑)。
その2階の教室、お袋さんだけがのぞいたのではない。お袋さんの同僚の先生たちもちらちら覗いていった。噂が流れることになった。
「上久保先生のお子さんは、特殊学級に入るみたいよ」
狭い田舎ですからねえ。打ち消すのは大変。でも、テストの結果は、途中で抜けるアクシデントにもかかわらず、やっぱりぶっとんでよかったらしいです(笑)。
今となっては笑い話ですけどね。こんな子どもでありました(笑)。
それでは、またね。