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立憲民主党代表選:野田佳彦は「シン野党連合」を創れるか?

立憲民主党の野田佳彦元首相は、「再び首相を目指す決意を固めた」として、党代表選に立候補すると表明した。政治資金問題で自民党から離れた保守層を取り込み、次期衆院選で政権交代をめざす道筋を描くという。

野田氏は次期衆院選で「自民党を単独過半数割れに追い込む」との目標を掲げた。

出馬表明後に連合の芳野友子会長と会談し、与党でなく「自民党」と表現した理由を「選挙結果によって自民党と公明党の関係が常に緊密だとは限らない」と説明した。

野田氏は、「本来は国民民主党と合流をめざさなければいけない」と指摘した。

一方、共産党との関係については「対話のできる関係は必要だ」との認識を示しつつ「同じ政権は担えない」と言明した。

また、野田氏は、日本維新の会の勉強会にも参加した。

野田氏は、維新の会の「政治改革」をテーマにした勉強会に出席し、講師を務めた。

野田氏は、中道から「穏健な保守層」までの受け皿を狙う考えを表明した。「自民党に失望した保守層の心をつかむやり方が必要になってくる」と指摘した。

ようやく、私の提起した、政権交代を実現するための「シン野党連合」の実現の動こうとする政治家が出てきたのかもしれない。

「シン野党連合」については、詳しくはこちらをご覧頂きたい。

端的にまとめると、「シン野党連合」とは、政権交代を実現するために、各種世論調査で5-6割を上回る「支持政党なし」の無党派層を取りに行く野党連合のことだ。

私は、無党派層を「サイレント・マジョリティー(物言わぬ多数派)」と呼んできたが、中道的な考え方を持つ現役世代、子育て世代、若者らに加え、都市部で暮らすサラリーマンを引退した高齢者などがこれに含まれる。

ところが、立憲民主党は2017年の結党以来、共産党と関係を深め、おそらく全国民の10%にも満たない上に、高齢者が多数の左派のコアな支持層を固める戦略を取ってきた。

これは、万年野党として安定するには悪い戦略ではないが、政権は取れない。なぜ、サイレントマジョリティが、投票先を見つけられずにいるのに、それを取りにいかないのかということだ。

シン野党連合は、そんなに実現が難しいことだとは思っていない。

日本維新の会、国民民主党、そして、野田氏など立憲民主党の右派は、政策志向は中道の現実主義でそれほど変わらない。一緒にやれない理由はシンプルに言って「共産党の存在」だ。

共産さえ切れれば、一緒にやれるのだ。

そして、私はシン野党連合をまとめ切る力量があるのは、野田佳彦元首相だと言ってきた。

冒頭の野田氏の発言をみれば、まあ私の論考など読んじゃいないのは当然だが(笑)、政権交代への戦略は、ほぼ同じようなことを考えていると思う。

ようやく、立つべき政治家が立ち上がったという感じだ。

まあ、シン野党連合というのは、すごい発想とかいうわけではなく(笑)、選挙で勝つには、投票先に迷っている多数派を取りに行くのは当たり前というだけの話だ。

野田氏の政治家としての力量は申し分ない。首相経験者というだけではない。首相として、「ねじれ国会」に苦しんだ上に、離党者が出た。その苦境の中で、野党だった自民党、公明党と「三党合意」をまとめ、税と社会保障の一体改革を実現した。

私は、「消費増税」がいいとか悪いとかは言ってないことは強調しておきます。世論の反対の上に、多数派形成が難しい状況で、自らが通したい政策を実現した力量を評価しているだけなので、あしからず。

また、自民党がこれだけグダグダな状態で、言葉は悪いが、保守を支持する層が「1回、自民党を懲らしめないといけない」と考える時、安心して政権をゆだねられる政治家が野党にいるとすれば、それは野田佳彦氏しかいない。

泉健太代表では頼りなく、首相の器とは思われない。立憲民主党を結党し、共産党と共闘した枝野幸男氏では、信用できないだろう。彼らは保守層を切り崩すことはできない。

だが、野田氏が立憲民主党の代表になると、保守層の中から「自民党が立ち直るまで、短期間任せてもいいかな」と思う人が出てくる。自民党は本当に政権交代の危機に直面することになるかもしれない。

問題は、野田氏が立憲民主党の代表選で勝てるか。前述の野田政権時の消費増税の決定→野党転落をいまだに恨みに思っている議員が、立憲民主党内には多いようだ。

また、国民民主党はともかく、維新の会との共闘をまとめることができるか。

維新の会の馬場伸幸代表は、野田氏が新代表に選ばれても立憲民主党との選挙協力は「一切ない」と否定している。馬場氏は「国民側から見て勝手に談合しているのではないかという批判が大きくなる」と指摘した。

はたして、野田氏はどういうロジックで、維新の会を説得し、国民を納得させて、シン野党連合の結成に持っていくのだろうか。





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