週刊誌に嘘のコメントを求められたこと
サッカー日本代表・伊東純也選手の女性スキャンダルを週刊新潮が報道したことが波紋を広げています。アジアカップという大きな大会中の報道で、伊東選手が代表を離脱することになったことで、週刊新潮に対するバッシングがネット上で広がっています。
箕輪厚介氏のXでは、過去、週刊誌に嘘を書かれた人たちが、それを暴露する動きが広がっているといいます。
また、古市憲寿氏によれば、文春記者のスキャンダルを探しだして暴露しようという動きもあるというのです。
これまで、やりたい放題だった週刊誌に対する怒りが爆発しつつある状況と言えます。
私は、有名人でも大物でもありません(笑)。週刊誌に嘘を書かれるようなことはない。ただし、週刊誌に「嘘のコメント」をするように、圧力をかけられたことはあるんです。
10年くらい前になるでしょうか。某週刊誌から電話で取材を受けた。お題は
「政治とカネ」であって、当時も様々な問題が起きていたのを記憶しています。今も何も変わってないなとつくづく思う。
電話をかけてきた記者は、しきりに
「政治家が私腹を肥やしている」「そういう話を教えてください」
と言いました。あまりに一方的な話に聞こえたので、
「それはそういう人もいるかもしれないが、多くの政治家はお金に苦労していますよ」「例えば、前原さんでも、野田(佳彦)さんでも、若い頃はミカン箱の上に立って街頭演説して、苦労してきたんです」
と言いましたが、記者は
「そんな話を聞きたいんじゃない」
と不満そうでした。続けて私は、
「政治にお金がかかるのは、有権者側にも問題がありますよ」
といって、いつもの自説を展開しました。まあ、こんなような話です。
そうすると、記者はそれを遮って、
「私腹を肥やした政治家の話をしてくれ」
としつこく言うので、
「私腹を肥やした政治家って誰のことですか?」
と聞いたみた。すると、
「○○○○○○○○(某タレント議員)」
だというので、
「いやいやいやいや。それは例外中の例外でしょう。政界に起きている話を代表していませんよ」
と返した。すると、記者の声色が一変した。
「お前、何様のつもりだ、若造が。こちらの言う通りにコメント出せばいいんだよ」
と、怒りだしました。
「お前なんか、いつでもひねりつぶせるんだぞ。偉そうなことをいうな!」
というので、「さようなら」といって電話を切りました。あの後、私の身の回りにほんとに怖いことが起こるかなとしばらく警戒したくらい、恐ろしい恫喝でしたね。
要するに、今回バッシングされている系統の週刊誌というのは、自分の都合のいい情報だけを集めて、最初から結論ありきの記事を出すということです。その記事というのは、要は「売れればいい」ということだ。
なにより、当時の私のような若手の学者が、自分らの欲しいコメントをしてくれない時、脅すようなことをいって「嘘のコメント」を取ろうとしたわけです。
あれから10年くらいたって、私も偉くなったんでしょうか(?)。そういう怖い態度を取る記者はいません。丁寧で謙虚な方ばかりです。
私も余裕が出ているのでしょう。記者の立場もわかります。週刊誌からの取材があると、最初に聞くのです。
「こういう記事を作りたいのでしょ?」
ってね。だいたいわかりますからね。そしたら記者の方は喜びます。
「先生、宗なんです。助かります」
識者コメント取るのも大変ですからね(これから、もっと大変になりそうですが。。。)。
私は、雑誌が考える記事のテーマには触れません。それを変えさせようなんて大それたことはしちゃいけないくらい、歳をとってわかるようになりました。
ただし、「嘘は言わない」ことだけは守ります。そして、事実や理論に基づいて、記者が記事にしやすいようなコメントをしてあげます。その辺、ある意味「熟練の技」になりましたね。
記者は感謝してくれます。内心、私のコメントは「やや小難しいな」と思うのでしょうが、記事にうまく1-2行のコメントを入れてくれます。
一応、こういうこともバランスを取って、公平に記しておきたいと思います。