雑事2020年10月28日

最近、とある漫画家さんの「自分の描きたいものか、読者か」という話があって、私なりに要約すると「最初の読者は自分でアリ、自分を楽しませないものが、読者のことを考えて作られたとしても果たして読者に出せるものなのか」という葛藤というか、物作りには永遠について回る「卵と鶏パラドクス」なわけですが。
この手の話をする度に思い出すのは今から三十年近く前、西暦2000年、沖縄でコミケットスペシャルが行われたとき、たまたま沖縄県内をご案内することになった、官能小説家の睦月影郎先生が、ぽろりと仰った「プロ(の作家)はね、手を抜くんじゃなくて力を抜くんだよ」という言葉です。

当時私と、隣人で長馴染みで当人の中笈木六はデビューしたて&準備中で、プロ商売に乗り出すと言うことでかなり気負っておりました。

道中、一切睦月先生は創作論を語らず、砕けたお話しかなさらなかったんですが、それだけにこのひと言は長く脳裏に残っています。さすが武道を嗜む方は違いますね。

で、そのお言葉の意味が、恥ずかしながらこの年齢になってようやく判ってきた気がします……

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