【6:37の旅立ち】
そのとき綿毛はわたしを呼び止めた
あなたは何処へ向かうのか
わたしは屈んで
しばらく綿毛を見つめる
春の終わりはみんな巣立って
見送るうてなが自慢げに屹立している
うらやましい
わたしは何に縛られているのだろうか
今よりも先へ向かいたい
自分の奥を探りたい
そんな気持ちで
まだ丸いままの子らに
風をおこす
ふっ
巣立ちの慶びに綿毛が舞った
もう一度綿毛はたずねる
あなたは何処へ向かうのかと
ひと呼吸おいて立ち上がりながらつぶやいた
しばらく共にまいりましょう
風に乗るあなたを見ていたいから