「狭き門だから諦める」という因果関係の脆さ
「狭き門」だからやめるというのは私には理解しがたい思考回路です。
ミュージシャンになりたい。スポーツ選手になりたい。
みなさんそれぞれ夢を持っていたり持った経験があったりすると思います。
夢って必ずしも全員が叶られるわけではないですよね。
特に多くの他者に認められることでなれる職業やポジションならなおさら。
狭き門。なれる確率の低いことを言います。
「好きなことを仕事にできる人なんてほんの一握りだよ」とよく言いますよね。確かにそうなのかもしれない。
誰もが今の仕事を心から楽しんでやっているとは限りません。
好きなことだけしてそれが給料としてお金になって手に入り、それで生活できるのなんて多くの人からしたら叶わぬ理想でしかないことでしょう。
夢を叶えたと自負する私でも、きっとこれからしたくもない仕事をするときが来ることと思います。企業に就職して社会の一部として生きていくんですからそれは当たり前のことですよね。
でも、そんな中で「狭き門」を潜り抜けた人は必ず存在するんです。狭くはあっても門である限りそれを潜り抜けられる人間はいるんですよ。確率0%ではないんです。
自分で言いますが私も潜り抜けられた一人だと思っています。
入社予定の企業はエントリー者数推定1000人超え、内定者はわずか30名ほど。
「狭き門」の数的定義がないので何とも言えませんが、これはきっと多くの人が「狭き門」だと思うでしょう。自分でも書いていて驚きます。確率的には3%、倍率で言えば33倍(あくまでも推定)。それを潜り抜けてきたんです、私は。
970人は不合格なんです。その中にこの企業を第一志望として強く入社を望んでいた人はどれだけいるのでしょうか。どんな思いがあるにしろこれが結果で、現実。
でも、30人は「狭き門」を潜り抜けた人なんです。実力、運、いろいろ要因はあるにしろ、確実に他者に認められて選ばれた人間。
私は、高倍率になることを分かったうえでこの業界・企業にエントリーをしました。エンタメ企業です。普通に生活していて名前を聞く可能性の高い企業です。テレビを見ていたら耳に入る。好きな俳優の事務所やアーティストのレーベルの一つや二つは知っている人だっているでしょう。言ってしまえば就職活動の際にそのような名の知れた企業に対して記念受験をする人だって多くいる。まあそういう人はESの時点でなんとなくわかるそうで、採用には至らないといいます。それを加味すれば実質倍率はもう少し低いかもしれませんが、明らかに志望する母数が多いのは予想できることでしょう。
「受かるわけない」
そう思ってエントリーすらしない、つまりは挑戦さえしない人はどれだけいるのでしょうか。
「狭き門」
これを理由に物事のスタートラインにすら立とうとしない人はどれほどいるのでしょうか。
あるエンタメ企業のインターンシップで出会った学生が就活を終えたことを、SNSを通じて知りました。彼女がエンタメ企業に就職予定ならもしかしたら今後もお付き合いがあるかもしれないと思い、連絡を取りました。
ですが彼女は「エンタメは早々に諦めた」といって全く業界の違うところへの就職をする予定だそうで。
インターンシップの際、興味深い人だなと思っただけあってさみしい気持ちになりました。もったいない。そう感じてしまいました。
夢を叶えた人すべてに必ず共通すること、とまでは断言できませんが、「諦めなかった」ということは多くの人に当てはまることなのではないかと思います。
私の話で言えば、エントリーしたエンタメ企業の中で内々定をいただけたのは入社予定のその一社のみです。他の企業からはすべて不採用通知を受け取りました。面接途中で落とされたものもあれば、ESさえ通らなかったものも。
それでも私は諦めませんでした。
というか諦めるという選択肢がなかった。頭に浮かびもしなかった。
手札にある企業は全力で受け切る。全て落ちたらそれはその時に考える。その時点での私の気持ちと相談して。
『倍率が高い。選ばれるのはほんの一握り。だからやめる。』
そんなのは逃げるもしくは諦める言い訳にしかなりません。
誰しも平等に挑戦できるフィールドが用意されているところならなおさら。
私は自分の感情に正直に生きているのでこのような考えなのかもしれません。
諦めたところで苦しむのは私。私という、人生を楽しみたいと思っている人間が、したくもない仕事をしながら生きていけるわけがない。
私はこういう人間だし、そんな自分を誇りに思うし、こういう人間だからこそ努力して生きている。
これ以上ないくらいに努力した結果NGで諦めるといった結果になってしまうのは仕方ないというか、努力した自分を誇って次のステップに進んでほしいと思いますが、何もしないで無理だと初めから思い込んでチャレンジさえもしないのは単にもったいないことだと思うんです。それで諦められる程度の気持ちなんだ、とも思ってしまいます。
まあこれも何もかも、私がとてもいい結果を手にしたから言えることです。
これでエンタメ企業全て落ちていたらこんなメンタルになれていません。
就職予定の企業の方が私という人間を認めてくれて、一緒に働きたいと思ってくださったから今の自分に自信を持てています。幸せなことです。
努力することが好きで、人と違うことが好きで、自分の気持ちに正直で、嘘をつけない。
人生を後悔したくないからなんとなく生きていくことが怖い。自分の感情に嘘をつくことで自分自身が壊れていくことを体感しているからこのポリシーを曲げられない。
私はそんな人間です。
初期段階で諦めないでほしい。
外的要因というか、周りの環境のせいにして物事を判断しないでほしい。
あなたは何がしたくてどうなりたいですか。
それで生きていけるのか、叶えられるかどうか、ということを考えるのは夢を掲げて具体的な目標を設定してからにしてください。
あなたが幸せな未来を描き続けられますように。