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【アカペラで歌ってみた】浜田省吾「もうひとつの土曜日」

浜田省吾さんの「もうひとつの土曜日」をアカペラで歌ってみました。

 この歌を元に書いた短編「親友の彼女」は【切ない恋愛短編集 11】の105話になります。

 少しだけ作品を紹介します。

「目が赤いよ。どうしたの?」
「そう? 多分、寝不足かな」
「あいつ、電話しなかったの?」
「うん……」
「あんなに電話しろって言ったのに。全く、ひどい奴だ」

 下を向いて肩を落とす石黒奈央を見つめながら、堀田史郎はいきどおりを隠せない。

「ごめんね。堀田くんに迷惑かけちゃって。私の事は大丈夫だから、心配しないで」
「でも……」

 顔を上げて笑顔を見せる彼女。しかし、その瞳に輝きがない事はすぐにわかる。いつもなら吸い込まれそうなほど魅力的な瞳なのに、今は史郎の優しさを受け入れる余裕がない。

「仕事が忙しいんだって。邪魔しちゃ悪いから」

 青柳琢磨は大手メーカーの社員。責任ある立場を任されてから、恋愛よりも仕事を優先するようになった。新入社員の時、琢磨が奈央に告白して付き合い始めた。琢磨の親友で同期の史郎は、二人の事情をよく知っている。

 以前は毎週のように二人で出かけ、みやげ話を聞かせてくれた。それが今は、彼女よりも仕事仲間との付き合いを優先している。チームリーダーとして部下に信頼されるために必要なコミュニケーションなんだと理解しているが、会えない寂しさがつのってしまう。史郎はそんな彼女を励ますために、時折食事に誘った。

「悲しみを胸に秘めていたら病気になるから、愚痴でも何でも俺に言ってよ」

 親友の彼女だからフォローするのは自分の役目。最初はそんな動機だった。

「ありがとう。堀田くん、優しいね」

 アルコールが入って紅く染まった頬。ぷるんと艶のある唇。時折聞こえてくる甘い吐息。バーのカウンターで隣り合って座っていると、彼女の体温までが伝わってくる。

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