【アカペラで歌ってみた】アン・ルイス「六本木心中」 14 神野守 2024年11月30日 08:42 アン・ルイスさんの「六本木心中」をアカペラで歌ってみました。 この歌を元に書いた短編「紅く染まる桜吹雪」は【切ない恋愛短編集 11】の109話になります。 切ない恋愛短編集 11 www.amazon.co.jp 250円 (2024年11月30日 08:26時点 詳しくはこちら) Amazon.co.jpで購入する 少しだけ作品を紹介します。 深夜の薄暗い部屋に、戸外こがいの喧騒けんそうが聞こえてくる。酔っぱらいのケンカや男女の言い争いは、この街では日常茶飯事である。石田アンナはテーブルに頬杖をつきながら、ウイスキーを注ついだグラスに口をつけた。ヤクザの情夫に殴られた傷が痛々しい。「俺、アンナさんのためなら死んでも良いです」「……あんた、軽々しくそんなこと言っちゃダメだよ」 そう言ってアンナは、ソファーに横たわる村田健次郎の髪を優しく撫なでる。「アンナさん、俺の桜吹雪さくらふぶきはどうですか?」「……良いいよ、すごく綺麗だよ」 ボコボコに殴られ、背中は傷だらけ。桜吹雪は血で紅あかく染まっている。何度となく見てきたその彫り物が、今までで一番輝いて見えた。「アンナさん、俺、カッコ悪くてすいません」「なに言ってんの健次郎、あんた、最高にカッコ良いよ」 アンナは傷だらけの背中を優しく撫でた後、真っ赤な桜吹雪に口づけをする。「ごめんね、あたしがあんな事、言ったばっかりに……」「なに言ってんですか。俺が好きでやった事ですから」 健次郎は、兄貴分の古田浩市にアンナを開放してくれと頼んだ。しかし、古田の逆鱗げきりんに触れてボコボコに殴られてしまう。「アンナさん、俺で良いんですか?」「あんたが良いんだよ」「俺、ヤクザ向いてないっす」「うん、あたしもそう思う。あんたは人が良すぎるもん」「ですよね。借金の取り立てに行って、相手の話聞いて泣いちゃいますから」「そこがあんたの良いところだよ」「兄貴みたいに非情になれないっす」「あいつは鬼だからね。平気であたしを蹴飛ばすんだから。この入れ墨だってやめてって言ったのに」 右腕に彫られた薔薇ばらをさすりながら俯うつむくアンナ。「俺、アンナさんのそれを見て、入れ墨入れようと思ったんです」「そうなの? なんで?」「アンナさんが無理矢理されたって聞いて、俺も本当は怖かったけど、同じ立場になりたかったから」「あたしのために?」「同じ気持ちになりたかった。アンナさんが体を傷つけたなら、俺も傷つけたかった」「健次郎……」 瞳を潤ませながら、アンナは健次郎の胸に顔を埋うずめる。いつもモノのように扱う浩市に比べ、不器用ながら全身全霊で愛してくれる健次郎が愛いとおしい。Amazon.co.jp: 切ない恋愛短編集 11 電子書籍: 神野守: Kindleストア 歌ってみた|神野守|note ポケカラで歌った歌です。 良かったら聴いてください。 note.com ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます! チップで応援する #歌ってみた #アカペラ #アカペラで歌ってみた #アン・ルイス #切ない恋愛小説 14