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【アカペラで歌ってみた】南こうせつ「夢一夜」

南こうせつさんの「夢一夜」をアカペラで歌ってみました。

 この歌を元に書いた短編「姉妹の夜」は【切ない恋愛短編集 9】の85話になります。

少しだけ作品を紹介します。

「お姉ちゃん、頼むよ!」
「わかった、可愛い妹よ。ちょっとそこで待っていなさい」

 とある一軒家の二階。部屋に訪ねてきた妹の志乃を座らせる綾乃。彼女はおもむろに、愛用のタロットカードを並べ始めた。そして、大きな瞳を閉じた後、カードの上に右手をかざしながら、どれが最適なカードなのかを探ってみる。

「お姉ちゃん、それさ……」
「ちょっと黙ってて。集中してるから」
「ごめん……」

 志乃は慌てて口に手を当てる。そして今度は黙ったまま、姉の右手の動きをじっと観察する事にした。綾乃の長い髪が、ほうきくようにカードをでている。その様子が気になって仕方ないが、声を出さないようにひたすら我慢する。

 一分近く彷徨さまよった右手が、ようやくカードをとらえた。綾乃は志乃を優しく見つめて、微笑みながらこう言った。

「色は深紅しんくだわ」
「深紅って事は、赤ね。ちょっと待ってて」

 そう言って志乃は立ち上がり、隣続きの自分の部屋に駆け込んだ。クローゼットを開け、赤系統の服を探しては、手当たり次第にベッドに放り投げる。気に入った服はすぐに買いたくなる志乃。値札がついたまま、着ていない服も多い。みるみるうちに、ベッドに服の山が出来上がった。

「お姉ちゃん、お姉ちゃん。どれが良いの?」

 両手いっぱいに服を抱えて部屋に入ってきた志乃。想像を超える量に驚きながらも、綾乃は微笑ましく彼女を迎え入れた。自分を信頼して頼りにしてくれる妹。そんな彼女が、この上なくいとおしいのだ。

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神野守
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