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108歳で、その生涯を終えたユウさんという老人がいた。

子供と孫、ひ孫に看取られて眠るように旅立ったのである。
いま思えば彼の人生は壮絶の一言に尽きる。よくぞこんな長寿まで生き延びたものだ...と思ってしまう程であった。
彼の人生が落ち着くまで、多くの人々が彼を操ろうとした。平気な顔で裏切りを行った者もいた。多くの人が彼を通り過ぎて行った。
生まれた時から傷ついて、傷つけられて、ひとりの人が流す涙以上の涙を流し続けた男。どうして、この男の周りには敵ばかりだったのだろう? 普通の人なら身体に受けた傷が元で、精神が崩壊して死んでも不思議ではなかったであろう。

そんな人生も今日終わりを告げたのだ。

「今日までお疲れ様でした。次に生を授かる時はこんな手違いがないよう...」

私が言い終わる前にユウさんは扉の向こうへと行ってしまった。

私は彼に対して罪悪感を持っている。
ユウさんの運命を悪戯に悪くした要因を作り出したからだ。あのとき言った言葉が、また彼を動かしているのかもしれない。

...

...

...

その言葉通り...本当に「心」をついでもらえますかな...?

本郷猛の「心」を...。

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