2021/07/26読書感想「クローズアップ藝大」国谷裕子+東京藝術大学著

クローズアップ現代のキャスターだった国谷裕子さんが現在は藝大の理事になっているようです。

そこで、箭内道彦さんが「クローズアップ藝大っていうのやりませんか?」と持ち掛けたようで。

国谷さんが藝大で教鞭をとっている方たちにインタビューをするという内容。

前半はぼちぼち読んでいたので、よく覚えてないですけど、

最後の方の高木綾子さんと日比野克彦さん、箭内道彦さんとのインタビューで感じたことを書いておきます。

まずは高木綾子さんのインタビューから。

「何が悪かったか”言葉”で言いなさい」と学生には教えているそう。

これは自分にとっても大事なことだと思ってます。

学生時代まではイラストを感覚で描いていました。そして、社会人になり仕事をすると、仕事は理屈でひも解いていくんだ、と初めて知りました。(今は理論も感性も大事だと思っています)

そこで初めてイラストを言葉を使って理詰めに組み解いていきました。

今までそんなことはしていなかったので(メモはしてました)、イラストはスランプに陥り、数年間イラストを描けなくなってしまいました。

ただ、このときの経験でイラストを描くときに何に気を配るか言葉で考えたのが、後々財産になったと思います。

「世界観」「物語性」「空間」

こういったものを優先順位の高い位置に置いて描くようになりました。

その後、病気になり、理詰め&感覚の両輪でイラストを描くようになります。

現在は第一テーマは「かわいい」。
それに付随して、「柔らかい感じ、のびのび感」なんても気を遣ってます。

たださっき書いた、「世界観」「物語性」「空間」はイラストを描く際の
困ったときの指針にはなってます。

それと、国谷裕子さんが「学生たちに一番学んでほしいことは?」と高木綾子さんに尋ねると、

「それは自分で探してほしい。学ぶことを自分で探せる人になるということを学んでほしい」

と言ってました。

何かで聞きかじった話ではありますけど、「今の時代は良質な”答え”より”質問”を持つことが力になる」ということを聞いたことがあります。

それにもリンクするのではないかと思います。

「技術がある程度までいくと次は個性を求められる」

たぶん日比野克彦さんがおっしゃっていたと思うのですが、これもなるほどな、と感じました。

技術も突き詰めるとどこまでも限りがないので、どこかで個性にシフトする必要があると思うんですよね。

だからといって技術を疎かにして良いわけではないので、基礎練習は必要だと思ってます。

ただし、その基礎練習は、個性を表現するために、頭の中のイメージを作品に落とし込む力なのではないか、と自分は思ってます。

箭内道彦とのインタビューでは、国谷裕子さんが「人ってどうしたら動くんだろうってずっと思ってます」とありました。

わからないですよね…。

D.カーネギーの「人を動かす」も読みましたけど、結局書いてあったのは「謙虚さを持って人と接する」ということが書かれていたように感じます。

ただ、それだけでは人は動かないかも、と今は思ってます。
答えはわからないですね…。

「クローズアップ藝大」は社会と藝大(もしくはアート)をつなげる目論見があったのようです。

自分は社会とつながったものを描いているとは思っていませんが、それでも何か考えるとしたら、

「このストレス社会に、気持ちをほんの少し緩められる、”かわいさ”、”やわらかさ”、のびのびした気持ち”を表現していきたい」

と思わされました。

あとは

「なんで今こういうものにこだわっているかの背景には、一人ひとりの原体験、いいストーリー、いい問いがあるんです」

っていう言葉が好きです。

歴史は不得意ですけど、そういう掘り下げ方もモノの観察には必要なんでしょうね。

「体験の中の、何かざらついたものに、自分が表現すべきもののヒントがある」

なんかもためになりました。