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【書評】『たばこ規制をめぐる法と政策』

文献:『たばこ規制をめぐる法と政策』(日本評論社、2014年)
著者:田中謙
担当:丸

1.選択理由
 私はたばこ規制をめぐる問題について興味があり、研究したいと考えている。今回この文献を選んだ理由としては、まずは初歩的なタバコをめぐった法律であったり政策についての知識が得られるためである。またそこから得た情報をもとに今後の研究の方向性をより具体的なものとするためである。
2.内容
 本書は、タバコの特徴であったり、問題、法システムまた、たばこ訴訟などのような具体的なことが書かれていた。具体的には日本の事例であるが、2012年時点で、たばこを合計100本以上または、6か月以上吸っている人のうち、1か月または、時々吸っていると回答した人は20.7%であった。つまり現在、習慣的に喫煙をしている人の割合は、男性は減少傾向にあるものの依然として3割以上であり、女性は横ばいで約1割である。数字からもわかるように、日本人の5人に1人はタバコを吸っているということである。 これらの現状を踏まえ、この問題について解決するためたばこについて規定されている、「未成年者喫煙禁止法」、「たばこ事業法」、たばこ税法、「労働安全衛生法」、「健康増進法」で定められている法システムを中心に考察が書かれている。行政的規制という視点で見た場合、たばこは、口から煙を吸うという消費財であるにもかかわらず、「食品衛生法」の対象にはなっていない。また多くの重大な病気を引き起こし、ある程度継続して消費をすると、それを断つことが極度に難しくなる消費財であるにもかかわらず、「麻薬及び向精神薬取締法」の対象にもなっていない。さらに、たばこの主成分であるニコチンについては、その毒性の高さから「毒物及び劇物取締法」で「毒物」に指定されているものの、植物としてのたばこ自体は「毒物」には指定されていないということなど様々な問題点が浮上した。
3.批判、感想など
この文献は書き方が少し難しく理解するのが難しかったように感じたものの現在どのくらいの人がタバコを吸っていてその問題を解決するのにどのようなほうがあるのかまた、それらに付随する新たな問題点について知ることができ、今後の調査課題とできそうである。


ー編集者コメントー
 個人的にたばこを規制する理由は何かと考えてみると、受動喫煙などからはじまる健康被害を抑えるということがまず一番に来ているような気がします。喫煙者を減らすという意味では、「新たに吸う人を減らす」「今吸っている人を減らす(なくす)」など様々な側面からのアプローチがあると思いますが、結局何を目的に規制をするのかというのが大切だったりするのではないかと思います。たばこ規制をめぐる動向として、2005年にはWHOでたばこ規制枠組み条約というものが発行されています。その中の6つの主要政策にMPOWERと名付けて各国の評価をしているようですが日本よりも英国のほうが取り組みとして評価されているようです(厚生労働省e-ヘルスネットより)。そんな英国ではたばこの陳列販売が禁止されていたり紙巻きたばこのパッケージが均一化されていたりするようです。
 普段なにげなくあるものに対して、それが何のためにあるのかを考えてみるのもたまには楽しいかもしれないですね。
*編集者コメントは編集者の個人的な見解になります。

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