コントラバス弦 使用遍歴と所感
全国4000万人のコントラバス奏者の皆さま、こんばんは。かみこざわです。
突然ですが、弦の交換って大出費ですよね。
特に弦が太く長いコントラバスともなれば、あらゆる弦楽器で最も手痛い出費となるのです。
しかし、気になる弦があるのに使用者が近くにいない・・・なんてことは、特に同期や先輩の少ない中学~大学吹奏楽バス弾きの方々は一度は経験したことがあるかと思います。私も長い間、団体で一人だけのバス弾きでしたので、楽器に関する周辺情報がほとんどない状況で弾いていました。
この記事では、バス(吹奏楽・オケ他)を12年ほど弾いている私が、一度でも使用したことのある弦の所管をつらつらと書いていきます。
ネットで探し当てられる情報も少ない中、全国4000万人の誰かに届けばいいなと思います。
それでは参りましょう。
1.PIRASTRO CHROMCOR
(ピラストロ クロムコア)
高校生からコントラバスを弾き始めた時に、少ない部の予算からなんとかこしらえてもらった、思い出深い弦です。テンションが強く、明るい音というのが通説です。
音色がややガリガリギラギラとしており、音の頭の立ち上がりが早いです。吹奏楽バスでは相性が良いでしょう。オケでは少し浮くかも。
2.PIRASTRO FLEXOCOR
(ピラストロ フレクソコア)
大学備品に張ってあった弦その1です。順当にレベルアップ(?)しました。とりあえず張っておいて間違いない弦の1つでもあります。
クロムコアとよく似ており、比較して金属音が減って丸みがあり、サスティーンがやや短くなった弦です。テンションはそのままほんのり強い目です。
3.Daddario Helicore Orchestral
(ダダリオ ヘリコア オーケストラ)
大学備品に張ってあった弦その2です。上記フレクソコアと交互に使っていました。(今思えば頻繁に交互に張り替えるのは良くないと思います)
ピラストロ社弦よりテンションが若干弱いため、ボウイング、フィンガリング共に扱いやすくなります。フレクソコアから芯を細くした音が出ます。これは扱いやすさとトレードオフですね。音量も少し弱いです。同じ音量を出そうとすると指板がビビります。(当然弦高等調整にもよりますが)
安価で導入しやすい反面、寿命がピラストロ社弦より短い気がします。
3~4回/週の練習で、1年半で錆びさせてしまいました。
4.PIRASTRO Permanent
(ピラストロ パーマネント)
合宿所での合同レッスン時、講師の方が張っていた弦です。ちょっとしか弾いていないのでアテにならないかも。講師曰く『変な弦』
とにかく倍音が豊富で音がざらざらしています。私の当時の腕ではまともに鳴らせず、かなり鳴らしにくい弦でした。
今使うと評価は変わると思います。
5.Thomastik Belcanto
(トマスティーク ベルカント)
念願のMy楽器購入時、前オーナーさんが張っていた弦です。
楽器・ジャンル・弾き手を選ばないオールマイティー弦であり、私の周りで最も多くの人が張っている弦です。Pizzメインのジャズ界隈でも人気なんだとか。
ピラストロ社弦より圧倒的にテンションが弱く弾きやすいのに、丸く温かい音が出ます。音量というより響きが楽器から出てくる感覚になります。
そして何よりピラストロ社弦より安く、導入しやすいともなれば人気であることもうなずけます。
欠点としては、どの楽器に張っても同じ音がする(気がする)ところでしょうか。しかし、それは楽器を選ばないということでもありますので、迷ったらこれを張っておけば間違いありません。
あと、音の芯およびパワーは控えめです。
6.PIRASTRO Passione
(ピラストロ パッショーネ)
上記ベルカントD,G線の音量が物足りなく、張ってみた弦です。
弦の太さが無印(ノーマル)とStark(シュターク・太め)の2つあり、私はシュタークを使用していました。
比較的弱いテンションにも関わらず、暗くパワフルな音が出ます。
パワーこそすべて。
悪い点はStarkの入手の難しさでしょうか。東京の大手弦楽器店にて通販で購入申込をするも、在庫切れでキャンセルになったことがありました。
結局、個人輸入でアメリカから取り寄せました。
ネットの海を探せば、在庫を常に置いてあるショップさんもあるか思います。
7.PIRASTRO Origenal Flatchrome(SOLO)
(ピラストロ オリジナルフラットクロームソロ)
所属するオケのパートリーダーの方が張っている弦を弾かせてもらいました。彼はソロ弦(A/E/H/Fis)をオーケストラチューニング(G/D/A/E)にダウンチューニングして使用しています。
(この手法は昔、ベルリン・フィルが採用していたとか)
ダウンチューニングのためパワーはありませんが、その分有り余る倍音を出すことができます。無印のオリジナルフラットクロームのイメージであった、金属的なキラキラした倍音が楽器を中心に球体で出ているよう。
そして当然ではありますが、ソロ弦で細いためフィンガリングのし易さが光ります。
パワーの求められる吹奏楽を除けば、ソロから室内楽、オケ等万能に活躍できそうです。
8.PIRASTRO Evah Pirazzi
(ピラストロ エヴァピラッツィ)
6に挙げたパッショーネの次の張りました。パッショーネほどではありませんが、使用人口が少なめです。
弦の太さが上記すべての弦より太いです。ナイロン芯の弦なので強度を確保しようとするとスチール弦より太くなるためと思われます。
そのためか、やや細いライトゲージのラインナップがあります。使いたいけど指の形状や楽器・駒の溝に余裕がない方はライトゲージにするとよいでしょう。
また、スチール弦よりチューニングが下がりやすい気がします。楽器のテンションに慣れるのに時間がかかるようです。
とある奏者の方から聞いた、『エヴァの弦は回る』という話ですが、概ねその通りかと思います。ただ、大きなネガにはならないと思います。
で、音ですが下手したらパッショーネよりパワーがあります。やはりパワーが正義。
それでいて、スチール弦でたまに出るギャリっとした嫌な音は少ないです。
弱点はやっぱり太いことと、テンションが高めなことによりフィンガリングはしにくいです。
以上、参考にどうぞ!