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HAMLET 2 #003 陽光

■トリニティ・ストリート(ケンブリッジ)

●車いすのメアリーを押して、ケンブリッジの街並みを行くジム。
二人とも笑顔

「う~んっ!……ねぇ、ジム。地球って、空気に味があるんだね!」
「えっ、そ、そうなの??」
「ん~、ジムには分からないかぁ。。HAMLETの空気は、いつも、なんか淀んでいて、美味しくないの。でも、地球の、お外の空気は、とっても美味しいの」
「ハハハ……まさか、メアリーが空気で喜んでくれるとは思わなかったな」
「空気だけじゃないよ。お日様の光も暖かくて、風は心地よくて、食べ物は美味しくて、街は賑わっていて、地球は、どこも、とっても素敵」
「そんなに気に入ってくれて、嬉しいよ」
「ねぇ、ジム。なんで今日、あたしとデートしてくれたの?」
「ん??……俺がデートしたかったからだよ」
「ウソつき。ほんとは、お姉ちゃんに頼まれたんでしょう?」
「……」(頭をかくジム)
「分かり易ぅ」
「……」(さらに頭をかくジム)
「でも、嬉しい。デートしてくれて。
あたしが元気になるように気を使ってくれたんだもの」
「メアリーに元気になってもらいたいのは、本当だよ。噓じゃない」
「わかってる。だから、とっても嬉しい!とっても楽しいの!」

■ケンブリッジ各所をデートするジムとメアリーのイメージ。

「うふふふふっ……あ~、今日はとってもいい日~」
「よし、じゃあ次は、あそこに行ってみようか?」
「うんっ!」

■聖メアリー教会

●メアリーと同じ名前のついた、ケンブリッジ大近くの教会

「ここは、君と同じ名前がついた教会なんだ」
「なんか、親近感湧くなぁ…」
「メアリーが歩けるようになったら、ここの屋上から一緒に街を見ようね」
「今はダメ?」
「階段を上るのは大変でしょう?」
「えー、ジムが、おんぶしてくれればいいのに~」
「恥ずかしいだろう、そんなの」
「あたしは、大丈夫だよっ♪」
「恥ずかしいのは、こっちなんだよ……」
「わかった。絶対歩けるようになって、もう一度ジムと一緒に来る!」
「その意気だ」

■ボタニック・ガーデン

●ボタニック・ガーデンで、メアリーを歩かせてみる

「じゃあ、ちょっと歩いてみようか。
ここは土の上だから、裸足だと気持ちいいよ」
「うん……」

●ジムに手を引いてもらい、恐る恐る地面に足をつけるメアリー、足が震えている。

「……あっ!」

●二・三歩進んで、力が抜けたようになるメアリー。それを庇って尻もちをつくジム。傍から見ると、いちゃついているように見える。

「おっと……あー、いたたたた。
メアリーは、地球の重力だと、破壊力抜群だ!」
「ちょっとジム、大げさ!あたし、そんなに重くないでしょ!」
「あはははっ!」
「うふふふふっ!」

■マーケットスクエア

●フランシスへのお土産を探していると、ジャックから声をかけられる。

「ねえ、これなんか、お姉ちゃんに似合うんじゃない??」
「ああ、いいじゃん!」
「ん??……おい、ジム!ジムじゃないか!?」
「ジ、ジャック……」
「お知り合い?」
「ああ、俺の甥っ子だ」
「なんだよ。久しぶりに会ったと思ったら、つれない顔してくれるなぁ」
「ジャック、復学したのか?」
「ああ、誰かさんと違って、コネが無いからな」
「……」(バツの悪い顔をするジム)
「ジム、あたしも自己紹介したい」
「ああ、ごめんごめん」
「あたしは、メアリー・レイクウッド。月人だよ」

●握手しようとするメアリーとジャック。ジャックは車いすに合わせて、しゃがむ。
●ジャックの胸元のルナ・ティアーズに気づき、メアリーが伸ばした手が止まる。

「??……どうかした??」
「あ、うぅん。よろしくね、ジャックさん!」(握手)
「君は、月人なの?」
「うん!」
「お嬢さん、ちょっとジムを借りていいかな?」
「ええ、もちろん!」

●ジャックは、ジムを建物の陰に連れていく。ジムを詰問。

「お前、なんのつもりだ?エイリアンを連れて、観光案内か?」
「エイリアンって……その言い方は、無いだろう」
「自分からルナリアンって言うくらいだから、事実だろう」
「だからって、その見下した言い方は」
「見下すのは当然。相手は人間じゃないんだぞ。基本的人権が無いんだ。
それとも何か、ジム?……お前は、あの子に親切にして、昔の罪滅ぼしでもしているつもりか?」
「……」
「お前は、いいよな。親父さんが全部、モミ消してくれるから。
それで、自分は良い子ちゃんで居られるんだから、親ガチャ成功者は羨ましいぜ」
「そんな俺にタカッていたお前は、なんなんだよ」
「フッ、俺は遊びに付き合っただけさ」
「俺は、お前と知り合ったのが、運の尽きだった」
「そんなこと言うなよ。なぁ、ジム。これでも血は繋がってるんだ。
俺たちは支配する側になれる。あんな、人間以下の女なんて相手にしないで、一緒にパブで弾けようぜ!」
「俺は、ゴメンだ!」
「チッ……なんだよ、つまんない男になりやがったな」

●ジム、フランシスのところに戻る。

「あれ?ジャックさんは?」
「用事が出来たらしいよ。
……さあ、俺たちも、そろそろ帰ろうか」
「うん!」
-場面転換。

■ドクターの屋敷(夜)

●ベッドに寝かされているメアリー。熱っぽく、顔が火照っているが、幸せそうに眠っている。傍らで、ジムとフランシスが話している。

「ありがとう、ジムさん。
こんなに楽しそうな妹を見たのは、すごく久しぶりよ」
「少し、無理させちゃったかな?それで熱出ちゃったんでしょう」
「ええ、まるで子供に戻ったみたいに。今も、とっても幸せそうだわ」
「いい息抜きになってくれれば、と思います」
「おかげさまで。妹が生き返った感じ」
「次は、フランシスさんも生き返らないと、いけませんね」
「えっ」
「メアリーより我慢しているの、わかりますよ」
「私は、いいの。そんな気分になれない。
……怪物のニュース見た?ジムさんは、どう思う?」
「本物でも、おかしくない、ですよね」
「そう。だからこそ、気が気じゃないの。
ルナ・ティアーズは、この国でも流行っている。
ドクターたちはアクセサリに無縁だけど、この近くには、大学もあるし」
「きっと地獄になってしまう」
「その原因を作ったのは、私。……だから、街を歩く気に、なれなくて」
「ごめんなさい。フランシスさんの気持ちを汲めませんでした」
「あ……ウフフッ、ジムさんは、すぐ、そうやって気を使っちゃうのね。
妹が夢中になるのが、よく分かるわ」
「あ、あはは……」(ジム、照れる)
「ありがとう、ジムさん。その優しさ、私にも沁みちゃう」
(チュッ)
●フランシス、ジムにキス。軽く手を振って、自室に向かう。
「おやすみなさい、ジムさん。良い夢を!」

-フェードアウト

#003  陽光、了。

■新規登場人物紹介
●ジャック
ジムの甥。実は、昔からジムと、つるんでいた。20歳。

※本作品について(再掲)
本作は、1993年にPC-98版ゲームソフトとして販売された『HAMLET』および移植版の『SPACE GRIFFON VF-9』の続編となるストーリーで、西暦2149年を舞台としたSF作品です。登場人物や組織などは、実在するものとは、一切関係がありません。前作は、wikiやプレイ動画等でご確認ください。
なお、筆者は当該タイトルの原作と脚本を担当した張本人ではありますが、現在は、いち個人で執筆しており、HAMLET2の権利は筆者に帰属します。
しかしながら筆者は、この作品の二次創作・三次創作を制限するものではありません。どなたか奇特な方がキャラ絵を描いてくれると嬉しいです。

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