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HAMLET 2 Season 1を書き終えて

みなさま、お疲れ様です。
本日は、HAMLET 2 Season 1を書き終え、セルフ解説をしたいと思います。
…と言っても、ほぼ、フランシス・レイクウッドという女性キャラに対する思いを、ただ垂れ流すだけに、なりそうですけどね。
今回も、Youtubeの原稿に、いろいろと書き足して、お送りします。

■前作『HAMLET』の直後を書くという縛り

私が、PC-98版のHAMLETを書いたのは、1992年~1993年のこと。
プレイステーション版のSpace Griffon VF-9が発売されたのは、1995年です。
続編を作れずに終わったので、続きのシナリオをnoteで書いたのです。
商業的には、サイドストーリーなどで稼ぎ続けるのが王道です。
まあ、私の場合は、もうゲームを作る気はないですし、自分が人生に未練を残さないように書きたかっただけなので、前作の発売直後から考えていた通り、すんなり主人公たちを地球に降ろしました。

HAMLETがSF作品で、今と地続きの世界観であることを活かした上で、
・どうやったら、21世紀の今の現実が、この世界線に繋がるのか?
・どうやって、A-MAX FACTORIESが生まれたのか?
・どうして、日本人が一人も出てこないのか?
…などを描くのは、続編を書く上で、避けては通れない道です。

このうち、「どうして、日本人が一人も出てこないのか?」に関しては、ナカモトというキャラを出すことで、概ね示すことができたと思っています。このへんを細かく書くのは、私は好きなんですが、ウケないでしょうね…。
だから、詳細はボカしたままで、シーズン1を書き終えました。
「そういうのを、細かく書くのがSFだ!」という意見もあるでしょうが、日本人として、暗い未来を、あれこれ書きたくもなかったので。

「どうやって、A-MAX FACTORIESが生まれたのか?」については、私の頭の中では、筋道が出来上がっているので、あとは、今年の米国大統領選挙や自民党総裁選挙など、現実の流れを受けて、詳細を付け加えていくだけです。
ifの世界の話という感じに、書くことになるでしょうね。

SFって、現実の出来事に虚構を重ねていけば、自然とリアルさを持てる。
そんなふうに、私は思っています。だから、2024年の現実が、『HAMLET』というゲームの世界にスムーズに繋がっていけるように書ければ、それが一番です。最近はAIの台頭もあって、30年前とは様相が変わっていますが。

月の地下に見つかった“空洞”は、月面探査に役立つかもしれない

なんて最近の記事もありますから、うまくパズルのピースを埋めたいです。
ただ、もうゲームのシナリオではないし、この辺を描くだけだと、ただの状況説明になってしまいます。まぁ、年表で示すという手も、ありますが。

私としては、主人公のまわりの女性キャラを深堀りして書きたかったので、このシーズン1は、前作で狂言回しの役回りだったフランシスをメインに、英国での話を描いたものとして終えることにしました。
ここで公開した、同人誌の『ALL About HAMLET』で書いたプロットとは、既に、かなり流れも違っています。
こういう違いは、実際のゲーム製作中にも良くあったことですし、それでも書くのがシナリオライターのお仕事でしたから、全く心配していません。
今回は、誰かの意見に左右されることもないから、好き勝手に書けます。

■フランシス・レイクウッドという女性を深堀りして書く

……さて。
フランシス・レイクウッドというキャラは、ゲームの後半で出てくることから、そろそろストーリー自体を畳む必要もあり、彼女の内面を掘り下げることは、前作では出来ずじまいでした。
それを、時間をかけて掘り下げてみたかったのです。

私自身がオッサンになってみると、このフランシスというキャラは、実は、とても素敵な女性に見えるんです。
まあ、私に、このくらいの年齢の娘が居ても、おかしくないですが。
(PC-98版の製作時に嫁がいたら、この年頃の娘がいたかもです)

もし、「メアリーとフランシスのどちらが好きか?」と聞かれたら、私は躊躇なくフランシスと言います。

地球生まれのフランシスは、
「お姉ちゃんなんだから、シッカリしなさい」
「お姉ちゃんなんだから、我慢しなさい」

と、父親に言われて育ち、自分は愛されていないと感じていた。
継母との関係も、恐らくは良いものでは、無かった。
継母との間に生まれたメアリーは、月で生まれた初の世代として、父からも周囲からも可愛がられ、奔放に育った、という設定にしてあります。
だからメアリーからも、ちょっと棘がある感じで語られるんです。
そういう感じに、『HAMLET』で二人の関係を描いたつもりです。

フランシスが一番好きなのは、どこまで行っても、お父さんなんですよ。
今作で、フランシスがジムを見るのは、お姉さんからの視点、もしくは母親からの視点になるよう、描いたつもりです。

でも、そうなると、お父さんが、いつ、どんな状況で亡くなったのか?
それが問題になってきます。
メイビル博士とフランシスの研究が、父親の死に、影響したのか否か。
それは、今も考えていないし、考えても、結論を描くつもりは無いです。
彼女のお父さんがどんな人かは、前作でも描かなかったし、今作でも描くつもりはない。実母と継母について、あれこれ描く気もない。
それが、フランシス・レイクウッドというキャラクターに対する、私の親心でも、あります。
クリエイターの方は、この感覚を理解してくれるんじゃないかなぁ……。

ともあれ。
フランシスは、父親に愛されなかったと感じているせいで、自己評価が低い。だから、自分に厳しくなった。
本当は愛されていなかった訳ではないけど、妹のせいで、気づけなかった。
それで、無意識に、父親のような年上の男性に惹かれる,という設定も、前作の時点から、あります。
これは、当時のPC-98版『HAMLET』の絵師さんから「フランシスとメイビル博士って、デキてますよね??」と見透かされた時点で、既定路線です。

ちなみに、このトップの画像がドリームキャスト版のもので、ボトムの画像が、PC-98およびプレイステーション版の設定資料集から取ったものです。
絵師さんは違いますが、私が書いた「美人だけど、地味なので、それを感じさせない」という設定を上手く咀嚼して、どちらもスラッとした美人に描いてくれました。
玉川紗己子さんの声が、知的美人という感じで、とっても良くってね。

フランシスが、妹のメアリーに負けているのは、年齢だけに思えます。
頭もいいし、仕事もできる。
見た目はまぁ、好みによるでしょうが。
人生で、いろいろと背負っちゃう女性だから、それだけに気苦労が付きまといますが、それは、彼女が、とっても真面目だから。
役目を担うと、それを果たそうと、頑張っちゃう。
簡単には、逃げ出さないし、投げ出さない。
そんな女性として描いています。

きっと彼女は、お父さんに褒めてもらいたかったんだと思います。
きっと彼女は、お父さんに愛して欲しかったんだと思います。

だから、年下設定の主人公に対して、母親的ポジションに収まります。
こういうタイプは、都合のいい女性にも、なりがちですね。
たぶん、キレたら、怖いでしょう。
彼女を裏切ると、そのスキルからして、ゆっくりと毒殺されそうです。
彼女に毒を盛られるのも、ある意味で、幸せかもしれませんが。

■シーズン2も、頑張ります!

さて、『HAMLET』という作品は、基本的に暗い話です。
『HAMLET2』という作品も、基本的に暗い話です。
前作を書いて約30年、まったくクリエイティブなことをしていなかった割には、うまく書けたんじゃないかなぁ、と思います。
ここまで書けただけで、自分を誉めてあげたいです。
ほとんど誰の目にも止まっていないのは、元のゲームと同じですけれど。

シーズン1の最期にジュネーブという地名が出て来たのは、シーズン2の冒頭で、ノストラダムスの諸世紀の、有名な4行詩を使う為でもあります。
すでに当初考えていたプロットからはズレまくっているのですが、なんとかなるでしょう。
女性キャラを書くのは、妄想が捗るので、楽しいです。
暗いシーンは、書くほうもキツいんですけどね。

シーズン2では、女性キャラが増えます。
ある意味、それだけが楽しみとも言えます。
相変わらず、女性キャラは、シンドイ目に遭いますが。
まあ、それは私の書くシナリオでは、良くあることです。

さて、シーズン2に向けて、少しロシア語でも調べてみることにします。
ではでは、また、いつか。

上の画像はドリームキャスト版本編。この画像は、プレイステーション版の設定から。

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