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【雑感】第50回衆議院議員総選挙を終えて

久々の長文記事。

地元候補の選挙をほんの少し手伝いました

小選挙区でいう神奈川20区在住のわたしですが、今回応援したい候補者・大塚小百合さんが出馬するということで、去る10/24(木)、初めて選挙ボランティアというものに参加しました。

この日中は電話帳に記載の番号で電話掛け、夕方以降は演説の手伝いとビラ配りをしました電話もビラ配りの感触も思っていたより良好で、大塚さんや立憲民主党に対する期待が高まっていることを感じ取れました。

夕方の演説は大塚さんを公認する立憲民主党の野田佳彦代表を迎えてのもの。野田さんはノーベル経済学賞受賞学者の本で、わたしも読んだ『国家はなぜ衰退するのか』の話題に言及、軽妙だけど熱気のこもった頼もしい応援演説でした。

大塚候補と野田代表@相模大野駅前

そして投開票日当日(わたしは10/20(日)に期日前投票済み)。

結果は当選。おめでとうございます👏🙌🎊

今後のご活躍を期待するとともに、時間さえあればまた活動のお手伝いをしていきたいです。

大塚さゆり選挙事務所にて。注目の選挙区ということもあり、支援者の他報道陣が詰めかけていた

選挙結果についての雑感

今回の選挙結果。自公連立政権は過半数割れ

さて、ここからゆるふわモードからちょいシリアスモードへ。

自公政権が過半数割れを起こした今回の選挙結果を一言で表現すると、「安倍レジームの終焉」だと総括できると思う。憲政史上最長となった7年8か月の安倍政権時代が特殊だった。

2012年12月の民主党下野によって第二次安倍内閣が成立。安倍首相が何度も口に出した「悪夢の民主党政権」というフレーズが安倍レジームの象徴と言える。

第二次安倍内閣ではリーマンショックや東日本大震災からの景気や雇用情勢などの回復もあって、安倍政権は高い支持率を維持してきた。一方で、分裂気味の野党の支持率は低迷。いわゆるモリカケ問題などの疑惑は噴出したものの、与党議員や支持者は野党の追及を「モリカケなんてどうでもいい」「与党の批判ばかりするな」「対案を出せ」とばかりに非難し相手にしてこなかった。

多くの議員は安倍氏に依存し慢心、「悪夢の民主党政権」というフレーズは民主党の後身たる立憲民主党のみならず自民党自身も蝕む毒になっていった。この言葉で自民党は「自民党はダメだけど批判だけの野党よりはマシ」とばかりに10年にわたって甘やかされ続けてきたのだ。

しかし、2022年の安倍氏の死によって安倍派は空中分解しかけ、座長と5人衆が取りまとめる体たらくとなる。また統一教会問題や安倍派を中心とする組織的な裏金問題などは、安倍首相退任後も氏の存命中は表沙汰にはならなかった。こうして自民党内に驕りやたがの弛みによって生じた弊害が、党の組織そのものを腐敗させていった。

それは今回の選挙でこのような形で露呈する。

この記事の丸川氏や高鳥修一氏をはじめ、今回落選した議員はたびたび安倍氏に言及。先月の総裁選に出馬した高市早苗氏まで「安倍元首相に申し訳ない」などと口に出していたのは記憶に新しい。この期に及んで“安倍さん”頼みの政治家が多すぎた。

いずれにせよ、今回の選挙での自民党の敗戦が安倍一強にスポイルされた党を立て直すきっかけになることを祈る。

政治不信と安倍レジーム

今回の選挙では「裏金問題なんてどうでもいい」「それよりも政策について語れ」などという声も聞かれた。これは先に触れた、安倍レジームにおける「モリカケなんてどうでもいい」「与党の批判ばかりするな」「対案を出せ」の変奏であると言っていい。

しかし、「裏金問題なんてどうでもいい」というのにはまったく同意できない。裏金問題は一部議員の単なる過失による不記載ではなく、数多くの議員によって組織的に行われた故意の不記載であるからだ。一部野党議員の不記載とはその点で異なっている。

また、裏金問題によって生じた政治家に対する疑念や不信感が問題なのに、そのような問題に関与する議員の語る政策など信頼しようがない。政策を語られても、これでは話が噛み合うまい。

実際のところ世論は裏金問題をどう捉えているか。

世の有権者は裏金問題を、石破内閣の問題ではなく自民党、とりわけ安倍派という組織の問題として正確に捉えていることの証左だと思う。だから自民党は大きく議席を減らしたものの、石破首相については辞任する必要はないと捉えている。

疑惑に対して真正面から弁明せず「与党の批判ばかりするな」「対案を出せ」と一見もっともなことを言って話を逸らしたい、これが民主党の下野と第二次安倍政権の成立から今まで12年にわたって政治不信を生じさせてきた根源だと思っている。

わたしは政治の話題が日常的に上がり、公序良俗に沿う範囲であれば支持政党や政策が違っても互いに尊重される社会が望ましいと思っている。なので「宗教と野球と政治の話はするな」とばかりに本邦で殊更に政治の話題が忌避される風潮を懸念しているが、その原因は政治不信にあると思っている。毎回投票率の低さが問題になるが、それも政治不信が招くものだろう。

そういえば、今月初にある若手俳優の以下の発言が波紋を呼んだ。

不見識な発言だと思うけど、一方的に責める気にはならない。

長年「若者は政治に無関心だ」という嘆きの声が方々から聞こえてくるけど、政治を若者から縁遠いものに感じさせてきた社会や教育制度の問題でもあると思う。

正直こういう発言を聞くたびに「世も末だ」みたいに大袈裟に嘆いてみせたり、ヒステリックに「けしからん!」みたいな反応を取ったりする方が逆効果であるとすら思っている。

今後の展望(というか期待)

先に述べた衆院選の結果は安倍レジームの終焉、というのは期待がこもっているのかもしれない。というのも、わたしにとって安倍レジームとは、力のある者が力のない者に対して、恣意的かつ冷酷に振る舞った時代だからだ。

「モリカケなんてどうでもいい」はまかり通ったが、「裏金問題なんてどうでもいい」は民意の峻厳なる裁きによって否定された。

安倍氏の死や自民党の支持率低下に伴い、自殺者まで出した問題を問題ないかのように扱ったり、「募ったが募集していないという認識」「対案を出さず批判するな」などの詭弁を弄することは通用しなくなりつつある。マスコミも安倍政権に阿っていた感があったが、それも影を潜めた。

この選挙を契機として「国や権力に抵抗したり文句を言うのはダサい」「努力不足を世の中のせいにするな」「なんでも差別やヘイト扱いするな」といった冷笑的言説や差別的露悪趣味が蔓延る時代を終わらせたい。現状を変えようと努力する人が嘲笑され、貧困や差別、苦境に喘ぎ苦しむ人が責められる世の中は終わるべきだと思っているからだ。

もちろんそういった世の中がすぐにやってくると思うほど、わたしは無邪気ではない。ただ、今回の選挙結果は2009年の政権交代の時のような民主党大勝、自民党惨敗というような状況ではないため、どこか浮ついた雰囲気は影を潜め、落ち着いているように思う。

立憲民主党の小川淳也幹事長も選挙期間中の立民有利との報道に対して
「いろんな報道がある、が、しかしどうか立憲の候補者よ。とにかく浮かれるな。浮き足立つな。引き締めよ。地を這え。国民のために。自らに厳しく。」
と述べたくらいである。

いずれにせよ、政治に熱狂はいらない。必要なのは着実に少しでもマシな方に世の中を変えていくことであって一発逆転を狙うドラスティックな変化ではないのだから。

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