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ネココミュニケーション

メコン川に浮かぶ島で、人と触れ合いたくない私は島中のゲストハウスを探し回り、ようやく見つけたもっとも人気のなさそうな、蜘蛛の巣が張る埃まみれのバンガローに荷を下ろした。

こういう最悪な部屋に入ると、私はまず部屋を徹底的に掃除する。日本から持参したアルコールウェッティーで床を拭き、ベッドを拭き、壁を拭き、扇風機を分解して洗って干す。
この一仕事をするだけで人が嫌がる最低の部屋は、見違える程居心地の良い最高の部屋になる。

扇風機も乾き、思いきり風を浴びながらくつろいでいると、一匹の子猫が現れた。

ニャーニャー猫なで声を発し、今しがた完璧に掃除したばかりの部屋に入って来ようとするので、足で追い払う。しばらく押し問答が続いた後、入り口のドアに落ち着いた。

それでも隙を見ては侵入を試みるので、その度に足で追い払うとやっと観念したご様子。

とその時、近くの草むらでカサッと音がしたと思いきや、いきなり子猫はバルコニーから高低差2メートルはあろうかという草むらへとダイブした。

何事かと思い下へ降り見てみると、そこにはかなりデカいトカゲに貪りつく子猫の姿が!

余程腹が減ってたのだろう。ひたすら喰う。

喰う!

体半分になったトカゲがバタついても喰らいつくす!

ラオス子猫の野良サバイバル力と共にこの島の食物連鎖を垣間見たのだった。


その日の夜、コイツは部屋の横に立てかけてあった竹ぼうきの上でゴロゴロとくつろいでたのだが、翌朝見ると姿はなく、代わりに竹ぼうきはゲロまみれになっていた‥。

〜南ラオス・デット島〜

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