FIORH更新遅延のお詫び ~あるいは無双ゲーのストーリーモードをクリアできない3Dアクション弱者がエルデンリングで二人以上に勝てるわけがない~
ダークファンタジーの雰囲気が好きだ。いわゆるソウルライクと呼ばれるゲームを齧った事もある。けれど、ソウルライクの本家本元、『DARK SOULS』や『Demon's Souls』に触れた事はついぞなかった。3Dアクションゲーのプレイングが壊滅的だからである。
無双ゲーと呼ばれるジャンルがある。通常攻撃とダッシュ攻撃と必殺技を連打していたら雑魚モブ相手に無双できるゲームだ。
上記の解像度の低さで察する人は察せてしまうと思うが、タイトルにもある通り、その無双ゲーのストーリーモード(もちろん難易度は初期のノーマルだ)がクリアできた事がない。
理由は通常攻撃とダッシュ攻撃と必殺技を連打して雑魚モブ相手に無双する以外の事ができないからだ。
なのでボス格には敵の攻撃の合間に通常攻撃が通るかどうかのお祈りゲーになり、その祈りの難易度はステージが進むごとに上昇し、最終面ともなるとボタンポチポチに加え、必殺・ボタン連打、更には超必殺・ボタンガチャガチャを解禁した所で勝率は那由他の彼方に消え去って久しい。むしろ自分で遠ざけてないか? とは今書いてて思った。
さて、そんな私も3Dアクションかつ高難易度の代名詞ソウルライクの本家本元『ERDEN RING』をダウンロードする事にした。理由はまぁ究極的にはなんとなくである。
しかし勝算もある。それはこのゲームがオープンワールドゲームであるという事だ。
ならば、アホな思考ルーチンの敵モブを誘導して岩と岩の間に挟んでチクチク矢を射るだけで屍と経験値と財貨の山を築き上げ、俺は真なるエルデの王になれるのでは? 人生チョロかった! そんな輝かしい勝算を胸に狭間の地へと降り立った。
上記のSYO-SANは正しかったのか? 結論から言うと半分正しく、半分正しくなかった。具体的には「リアル技能を向上させる以外の手法での理不尽を回避不能にする事にマジ心血が注がれており、例によって最初のボスを倒せなくて詰むかと思ったけど、オープンワールドなのでなんとかなった」。
つまり当初の思惑通りだったと言えなくもなくなくなくない。
そしてそれこそが、オープンワールドである事が当方の三次創作FIORH更新遅延の原因なのであると主張したい。
・忌み鬼マルギット
まずこのゲーム、前提としてダッシュ、ジャンプ、回避、ガード、果ては攻撃行動にまでスタミナが消費され、消費しきるとそれらの行動が出来ず①棒立ちで敵の攻撃を喰らう ②歩行しながら敵の攻撃を喰らう ③攻撃を喰らいながら回復薬を飲み次の攻撃を喰らい死亡する 以外の行動が出来なくなる。出来なくなるったらなるのだ。
通常アクションが回数制。これは無双ゲーの理に浸りきった上に浸りすぎて当の無双ゲーですらクリアできなくなった真・3Dアクションヘタクソ勢には厳しい。本当に厳しい。
っていうか本当に剣を4~5回振ったくらいで息が上がって殺されるのどうかと思う。 何度でも生き返れるからちょっと怠くなっただけで「もうこれ以上頑張るくらいだったら死んでもいいや」って思ってないか? ゆとり世代か?
そんな体たらくなのでTwitterで見た最初の移動型強モブ・ツリーガードの脇をすり抜け、ついでに霊呼びの鈴というNPC協力者召喚アイテムもすり抜けたりしつつ(結局霊呼びの鈴を手に入れたのは、後述する"最初のボスを倒した"後になる)、主人公以上の速度で駆け回ってスタミナ消費が無い真なるエルデの王・霊馬トレントに跨り、あらゆるモブ敵を乗り越え、颯爽とストームヴィル城へと向かった。
なお、そこらを歩いている兵士に見つかると一人なら7割方倒せる(3割死ぬ)が、ここにもう一人兵士が加わったり、犬が加わったりすると逃亡成功率は2割を切る。だから霊馬で乗り越えたのである。頭上を。
そしていわゆる最初のボス、忌み鬼マルギットと見えたのである。
このボス、「ゲーム発売すぐは撃破率30%! これぞフロムソフトウェア!」などとTwitterで騒がれていたが、さっき確認したら討伐実績解除率は60%を超えている。やはり上げ底か。民草の囀る前評判などアテにならぬものよ。
忌み鬼のマルギット恐れるに足らず! かかれぇ!
そしてもうボッコボコ。これぞ無双といった有様で見敵必殺(※)、そうしてエルデの王・霊馬トレントと共にストームヴィル城を堂々退場したのであった。
※「敵が見えた! 来た! しんだ」の意味
まぁ勝てないっすね。『ENDER LILIES』のボタン操作が脳に残っている(+パニックになり適当にボタンを押す)せいで、咄嗟に回避とタメ攻撃を間違える致命的後遺症を背負っているのを差し引いてもひどかった。差し引けねぇよ。
しかし上記の症状が出ず、イメージする最強の自分を超える立ち回りが出来たところで、HP2割も削れずにブチ殺されるのである。つまり忌み鬼マルギット戦の敗北は、8割の自業自得と12割のフロムソフトウェアの鬼畜さで構成されていると言える。
そして主人公は呟いたという。「俺より弱い奴に会いに行く」と……。
俺より弱い奴を探しに行くと意気込む主人公
・そして放浪へ……。
と言ったものの、厳密にはこのゲームはオープンワールドではないと(これは批判的でなくあくまで分類的に)述べられているのをTwitterで見た事がある。大切なことはみんなTwitterに書いてある。その万倍大切でないことが存在するだけである。
閑話休題。オープンワールドではない、というのは、フロムソフトウェアも「広大な世界」とは述べていても「オープンワールド」という売り方はしていない、という気付きから敷衍された考察である。
つまり、ある敵モブAが主人公に気付いたからと言って、必ずしも隣の敵モブB以降それにリンクして周囲の敵が襲い掛かってくるわけではないし、またその広大なフィールドを永遠に追ってくるわけでもない。エルデの王・霊馬トレントより優れた機動力と狂気的な殺意を感じるモーションを持つ獣エネミーの類であってもそうなのだ。
一部例外を除きエリア切り替えこそ無いが、それぞれの敵モブはエリアに紐づいており、逃げに徹すれば敵の密集地帯をも通り抜け、地図を広げる事は可能だ。……と言っても、境界のちょっと向こうで矢を射って勝つ、みたいな事は出来なくはなくも難しい様に、自分からは出ないものの追ってくる時は多少エリアを越境してきたりする。
というかそもそも弓矢やボルトもタダじゃない。買うと高く、作ると手間。全国のお母さんの苦労が偲ばれる……といった不経済の壁もある。つまりやはり勝算は瓦解が約束されていたという事だ。
いやさ魔法職なら違うのかもしれない。なんか今作純魔使いやすいし強い、みたいな事聞くし。
誰だ私の素性を放浪騎士にしたのは。私だよ。だいたいオンゲでは最初に遠距離職をやり、次いで盗賊職をやり、引退前に剣士を使ってみてその性能の丸さに驚く、みたいな事を永遠にやっていたせいで遠距離職を……信じきれなかった……!
3Dアクション下手であるという事はつまり当然にスニーキングもヘタクソなので、まさに鬼に金棒ならぬ餓鬼に豆鉄砲、出来る事は何もなく、あちこち逃げ回りまくってセーブポイントを開放しつつ、砦にちょっと入っては死ぬ、洞窟をちょっと覗いてみては死ぬ、みたいな事を繰り返し、銀の弾丸を探す放浪の旅をしていた。
これがまぁ実際楽しかったのもある。
崖の縁に留まる鳥や、ローリングで逃げる獣といった牧歌的な動物。そういうのかと思ってたら普通に超音波攻撃してくるコウモリ。海辺のモンジャラ。HOYA。なんか急に追ってくる巨人。
そして転機は訪れた。Twit(略)で見た「竜に焼かれた廃墟」の宝箱に仕込まれた転送罠である。
いや正直T(略)で見ていたので宝箱を開ける時は常に警戒していたし、その時も玉手箱の如く湧き出た白煙をびっくりローリングで避けた。避けられるんだこれ……と思いながら開けてはローリングで逃げを3回くらいやってみたりした。特に意味はない。
少し遊んでから、収穫がなかったな……と肩を落として立ち去りかけて、そして思い直した。
どうせ最初のエリアでは一発逆転の"何か"を得る事は出来ないだろう。ならばいっそ遠くの地へ……。
新天地で心機一転、がんばります! そう宣言し「サリアの結晶洞窟」なる場所へと転送した先の洞窟で待ち受けていた多脚型労働監督官に雑に処理され元鞘に戻されたりしつつ、それでも”何か"を求めてチャレンジを続けた。
そして橋頭保としての祝福に辿り着き、リアルで一回お茶を淹れつつ期待に胸膨らませ、サリアの結晶洞窟を出たのであった。10分くらいだけど、今までクソお世話になりました!
もう一度お世話になろうかな、と思うほどの朱き地獄──ケイリッドがそこには広がっていた。これ噂に聞く「狂気」の状態異常とか……かかんない? マジ? 主人公胆力すごいな……。
もし初見さんがいたらネタバレになるので写真とかはない
ケイリッド、それは海面が下がって陸地になった浅瀬みたいな所でたくましく生きる人々の修羅の地。
近くの町に身を寄せようとすると一市民に至るまで徹底抗戦の構えを見せられたり、騎乗せず歩くと数秒で病気にかかる沼地を駆け抜け(真なるエルデの王・霊馬トレントを讃えよ)ていたら急にボスのHPバーが表示されどこどこ!? と速度を落としていたらモブに気円斬を喰らい馬から落ちて落馬したり、騎乗せず歩くと数秒で病気にかかる沼地を駆け抜けTAKE2していたら急に霊馬が消え毒の沼に放り出され代わりにエントリーしたダンサーに切り殺されたり、犬と兵士が相争うの戦場を潜り抜け、大きい橋を渡ろうとしたら上空からメテオが迫ってくるのが見え「ハハ……」と渇いた笑いを漏らしそのまま爆死したり……。
その場所を不落の大橋と言い。数限りない自軍からの爆裂砲弾を受けても崩落しなかった事からその名がついたという。〔独自研究〕
そしてこの場所の、その少し手前。そここそ運命の土地でもあった。
心折れ、不落の大橋近辺をうろうろし、犬と人間の戦争のすぐ横をスカして闊歩する騎乗騎士にちょっかいかけて死んだり、カラスにつつかれて死んだりしていると、おかしな事に気付いた。
ルーンが増えるタイミングがあるのだ(無論すぐ死ぬので失われるのだが)。
よくよく見ると戦場で犬あるいは兵士が倒れた時に黄金の流れが生じ、主人公の懐にお金が入ってくるのである。
・タイトル変更のお詫び ~あるいは戦場すべての死をお金に変換するチートで鬼畜3Dアクション世界を無双します~ じゃん。
丘の上でソシャゲのタスクをこなしているだけで3, 4000ルーンとそこそこ……否、当時(開始3日目・ボス討伐ゼロはもちろん、強モブからは逃げの一手)の基準からすれば持った事も無いようなお金が懐に転がり込んでくるのだ。
そして犬か兵士が勝利し、戦争が終わればセーブポイントに帰還してリスポーン、また丘の上から戦争を眺める。これで何もせずともレベリングし放題である。
だが、これで本当にいいのだろうか?
自分をまったく蚊帳の外に動いていく戦いを見ていると、そう思う事が増えた。
体格差が圧倒的に見える犬と兵士の戦争であったが(言い忘れていたが、犬は四脚を地面に着けた状態で人間の倍の体長がある)、戦闘自体は最終的に兵士が圧倒的優位に進め、時に10人以上生存する。すごい。人間ってすごいな。
でもあれ、もったいなくない?
真なるエルデの王・霊馬トレントに跨り、放浪騎士の初期装備を握り締めると、繰り返す永劫の戦争を生き残り、僅かな休息を得た生残兵たちへと踊りかかっていく。一撃、二撃……慣れぬ馬上攻撃である。スカしまくり、反撃を喰らいロストしつつ、やはり敵方のHPバーは1割2割しか残っておらず、いくらかの兵を道連れにする事が出来た。
こ れ だ 。
そうして試行錯誤を繰り返し、最終的には『戦場を半時計回りに巡り、少し遠巻きに見ている犬をトレインしつつ騎乗騎士になすりつけ、犬に応戦する兵士を背中から切りつけて数を減らす事で最終的な生残兵を減らし、無駄なくお金を回収する』ルートを構築した。
以下は元気に戦場を駆け回る主人公の言動。
「どうも! フリーの督戦隊です!」
「おっはようございまぁーす!(騎乗騎士にすれ違い様にハルバードを叩きつけトレインした犬をなすりつけながら)」
「消極的試合態度により退場!(遠巻きに火炎瓶を投げる兵士はダメージソースとして優秀過ぎる為処断)」
「弱いものイジメはいけませんよ!(兵が多数で囲むと犬が何も出来ずにフクロにされる為処断)」
「まだお腹が空いてるんですか? しょうがないですね!(周囲の兵を蹴散らし暇そうにしている犬の尻を叩き、他の兵士にトレイン)」
「犬だ!(戦場の端で無害な鳥にジャンプ攻撃)」
「おっ生き残りましたか! おつかれさまでーす!(生残兵の肩を叩く。ハルバードで)」
おそらく犬
これらのひと手間を加える事で、無理なく命を使い切る事が出来、収入も5000ルーンで安定。さらにカラスも巻き込めれば1800追加!
某国民的マンガでも「命がも”ったいだいっ!!!!」という名言がありましたね。そういうことです。
何よりワンミス=死ではない環境でこそプレイ技能も伸びるもので(死にゲーをやりこめる技能・精神的超人の事は考えない事とする)、騎乗技術も少しは身につき、時々ヘイトを買いすぎて犬と兵士の種族を超えた友情攻撃を受けて撃沈したりもしましたが私は元気です。なにせステータスをヤケクソのように生命力と持久力に振ったので。
そうしてうっかり一徹した頃にはレベル50に到達していたのであった。
見違える程に上がったレベル。そして騎乗戦闘を経ていくらかついたアクションへの自信。
さようなら、お金を今までありがとう。私、エルデの王になってくるね……!
忌み鬼マルギット戦に馬は持ち込めないので、死ぬまでに殴られる回数が増えただけでした。はい。
・再びの放浪、そして最初のボス
その後、やはりオープンワールドしか勝たんという確信を深め、あちこちの砦にがんばってスニーキング(からの押し込み強盗への華麗なる転身)を仕掛けたり、イージーマネーに飽かせて各地の放浪商人から商品を買い占めたりしつつしていると、何かの拍子に地下世界、シーフラ河へと辿り着いた。
地下、永遠の夜空とでも言うべき紫色の幻想的な世界。そこは魔法生物(雷)とゴルゴ13の因子を埋め込んだミノタウロスがクソデカ矢を打ち込んでくる地獄でした……ほんと地獄のパターンが豊富だな。
クソデカ矢を撃ち込まれる主人公。盾を背負っていなければ即死だった…。
しかし思い返せば地獄でない場所など現世にはないので、八つの燭台に火を灯すギミックを見つけたのもあり、その地獄で少し頑張ってみる事にした。
馬で駆け込んでジャンプ! 一つ灯す毎に周囲を守るミノタウロスに射撲殺(クソデカ矢で射られ動きを止めた所を撲殺される事、またその様)もしくは撲射殺(殴られて動きを止めた所でクソデカ矢で射殺される事、またその様)を受け、お前らフレンドリーファイアを知らんのか??????という気持ちになりつつ進めていった。
こうして少しずつでも有利を積み重ねられるのはいい。ルーン稼ぎの手段を持っているので幾ら落としても怖くないし。そもそもそこらの敵モブ一体にだってまともに勝てないので落とす金もないし。ヘッ。
そうしてとうとう八つの火が灯り、いかにもな獣の骸が有効オブジェクトに。
「伝説の武器防具くだしぁ!」
そう叫びながらタッチすると、そこにいたのは"祖霊"なるボス。うん。そんな気はしてた。
けれども。だけど。その時に、本当に腑に落ちたのだと思う。「このゲーム、本当に死の上に死を積み重ねる以外の方法で何かを得させる気がねぇな!」と。やってやろうじゃねぇか!
逃げて逃げて地の底を駆け回って探索したその挙句に「死ぬ権利をやろう」と言われ完全にキレていた。幸い攻撃は大振りである。会敵数回目で5回に2回はローリングで避けられる。
ここで初めて腰を据えて装備を色々と替えてみたり、人もすなる「両手持ち」というものをやってみたり(ゲーム内ヘルプを見てもわからなかったのでスマホで検索した)……。
そうして、文字通り何十回。記憶ではおそらく四十回かそこらだと思うが、もっとかもしれない。とにかく迷走と試行の果て、"祖霊"は倒れた。最後に握っていたのは初期装備のロングソードだった。
倒した後、広い広い空間をふらふらと他プレイヤーが残したメッセージを漁っていると『雑魚とはな…』というものがあった。シリーズプレイヤーや、3Dアクション強者からすればそうなのだろう。評価も悪評もせずに帰還した。
そうして最初の地、リムグレイブ周辺に戻ってきた時、初期地点の近くで取り逃していた「霊呼びの鈴」を手に入れた。
それは"祖霊"を倒した事で、"祖霊の民"、すなわち散々クソデカ矢を撃ち込んでくれたゴルゴ13の因子を埋め込んだミノタウロスを召喚する力を得ていた。
あの探索が、少しずつ力になっていた。
協力NPC・魔術師ロジェール召喚!
協力霊・祖霊の民召喚!
そして俺様は「不落の大橋」で培った無防備な背中を見極める技能でタイミングを見極めザク切りよ!
そうして最初のボス"祖霊"に引き続き、忌み鬼マルギットを討伐したのだった。
概ねそんな感じで楽しく『ERDEN RING』をやっていたので遅れました。
そもそもこの記事を書くのにも3日くらいかかっており、「まぁこれだけ楽しそうにしてたなら遅れるのもむべなるかな」とかそういうあれでご勘弁を……アッ ハイ。続きは書きます。エタりません。ゴメンナサイ。