紙ヒコーキ

胎界主と堕天作戦とSBRを読んでください。

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最近の記事

(web魚拓文字起こし記事)4階について

この記事は、肥土泥炭 さんのnoteシリーズ「小麦と白粉話」のweb魚拓(https://character-sheets.appspot.com/insane/edit.html?key=ahVzfmNoYXJhY3Rlci1zaGVldHMtbXByFwsSDUNoYXJhY3RlckRhdGEY66ylwQUM)から、同タイトルの実話怪談記事を文字起こししたものです。特に例の件とは関係なく、だから創作怪談になりました。創作怪談です。  ────じゃあレコーダー回すね。

    • FIORH更新遅延のお詫び ~あるいは無双ゲーのストーリーモードをクリアできない3Dアクション弱者がエルデンリングで二人以上に勝てるわけがない~

       ダークファンタジーの雰囲気が好きだ。いわゆるソウルライクと呼ばれるゲームを齧った事もある。けれど、ソウルライクの本家本元、『DARK SOULS』や『Demon's Souls』に触れた事はついぞなかった。3Dアクションゲーのプレイングが壊滅的だからである。  無双ゲーと呼ばれるジャンルがある。通常攻撃とダッシュ攻撃と必殺技を連打していたら雑魚モブ相手に無双できるゲームだ。  上記の解像度の低さで察する人は察せてしまうと思うが、タイトルにもある通り、その無双ゲーのストーリ

      • ファイア・イズ・アウト、リメイニング・ヒート 11

         ZOBEEEEEEAM!  衝撃を受けて吹き飛ぶキャタリナの目前を黒線が走る。右から左へ広がるように、上に、下に、上に……空間を掻き混ぜた。空気中の塵が焼き切れるオゾン臭。  CABOOOOM!  キャタリナの目前を爆風が走る。左から右へ広がるように、紫色の毒々しい煙……目や鼻の粘膜を刺激する。「ゲホーッ! ゲホ、ゲホ!」  宙に浮くキャタリナは接地寸前、ナックルダスターを嵌めた両手で強く床を叩き、身を起こす。「ゲホーッ! ゲホ、ゲホ!」これまでの狩りめいたイクサで

        • ファイア・イズ・アウト、リメイニング・ヒート 10

           月は天頂に至り、薄く細く頼りない三日月だけが見下ろす鳶28区、地理的にもマネーゲーム的にもその中心である地上 百階建てのビルディング、ヨロシ鳶ビル ──その外壁、非常階段を昇る影、二つあり。  存在しない筈の四十四階から出てきたそれは、俄かには信じがたい速度で色付きの風めいて駆け上がる。ブッダ? 機動特化サイバネ置換したパルクーラーであろうか? それとも夜に遊ぶヨーカイヘンゲの類であろうか?  だが仮に酔狂なヨタモノがハイスピードカメラで撮影していれば分かっただろう。そ

          ファイア・イズ・アウト、リメイニング・ヒート 9

          ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆   フレデリカ、否、ファイアキャリアーと名乗った少女ニンジャは、その青き双眸を見開き、仲間のルカの遺品である黄色偏光ゴーグルを通して、メカバイオイーグルじみた戯画的かつ威圧的なグリーン・アイを顕した。  ペスト医師めいた鳥型のフルフェイスメンポ。身の丈に合わぬフライトジャ

          ファイア・イズ・アウト、リメイニング・ヒート 9

          ファイア・イズ・アウト、リメイニング・ヒート 8

          3.クロス・ファイア 「ドーモ、皆さん。サタナキアです」大和撫子めいたニンジャの新月めいた目が、気絶した一人を除く八人のニンジャを射抜く。遅れて、左右の手に一つずつ保持したニンジャの首を床に転がし、血に染まった両手を合わせて優雅にオジギ。 「ドーモ、サタナキア=サン。ミゼリコルティアです」「サボターです」「モスキートです」「アンバーンドです」「アングバンドです」「ノーボーダーです」「……コックハートです」残るキャタリナは黙りこくっていた。  コックハートはサタナキアが棄

          ファイア・イズ・アウト、リメイニング・ヒート 8

          ファイア・イズ・アウト、リメイニング・ヒート 7

          「うおおッ……」キャタリナとミゼリコルティアのカラテ衝突により空気が歪み、クレーンアームが揺れる。アングバンドは両手のチャカ・ガンをそのままに、両手の小指を薬指で祈るように掴まる……クレーンアームの先端より滑車を介し垂れさがるワイヤーの先、フックの鈎にだ。 「……サイオーホースッてか……アイツが加速してくンなきゃヤバかったかもな」 『キャタリナの正面突撃にカウンターを合わせる』、それ以外に勝つ方法はないという同意の元、アングバンドはキャタリナが左右から攻めるルートを銃弾で

          ファイア・イズ・アウト、リメイニング・ヒート 7

          ファイア・イズ・アウト、リメイニング・ヒート 6

           ……下方。重機の林が燃え上がる。「何?」キャタリナはずるずると足を滑らせ、腰かけるような姿勢、あるいは見様によっては尻餅をつくような姿勢で、それを見た。中心部……燃えるもののないエレベーター周辺地は古代演芸の舞台めいて浮かび上がっている。 「ハ、ハ、バーカ!」キャタリナは壊れたように哄笑した。「バーカ! アンバーンド=サンが独りだ! 私……私の勝ちだ!」キャタリナは円柱エレベーターへと跳躍、当然のように垂直の壁面を駆け下りていく。  アングバンドはチャカ・ガンを袖に仕舞

          ファイア・イズ・アウト、リメイニング・ヒート 6

          ファイア・イズ・アウト、リメイニング・ヒート5

           オカメは八つの目を持つ。モニターから戦況を俯瞰するノーボーダーは、戦況の不味さを結論せざるを得ない。「ヤバイ……ヤバイすぎるでしょ……」  アンバーンドはスネークフットに他の用途に使われていたディスプレイ、キーボードをも集めさせ、複数のキーボードをタイプしながら機能掌握を続けている。だが戦闘に寄与する手札は少ない。  緊急警報コントロール掌握…………光源コントロール掌握…………。  単体のカラテでは……キャタリナ=サンには勝てない。複数で当たってようやく攻勢に出る事が

          ファイア・イズ・アウト、リメイニング・ヒート5

          ファイア・イズ・アウト、リメイニング・ヒート 4

           ミゼリコルティア、アングバンド。そしてアンバーンドとコックハートの四人が、『第四搬入路制御室』を出る。そこには奥行き百メートル程の何もない空間が……「ッんだよ……コレ……?」アングバンドが呻いた。  先程まで、確かにそこには何もない空間が広がっていた。今も……何もないと言えばない。だが床には超自然の朱色のラインが浮かび上がり、左右対称な十二の長方形に区切り、四方の壁には何か……バタフライや、イカ……? 人物画じみたモチーフ、ネコ科の生物などが浮かび上がりつつあった。  

          ファイア・イズ・アウト、リメイニング・ヒート 4

          ファイア・イズ・アウト、リメイニング・ヒート 3

          2.ランズ・オーバー・ア・サウザンド・サウザンド  三番目の部屋には、いくつかの鉄扉がある。ノーボーダーは自信ありげにこれだと指さし、揚々と先へと進む。その先にもまたいくつもの鉄扉を持つ部屋。「ッ気が滅入るな」アングバンドがうんざりと言った。「この先もずっとこんな感じなのか? "目的地"まであと何分だよ」  探索の指針となるノーボーダーが取得した経路データ。それはベンダー搬入路が描くアリアドネの糸じみた一本の……そしてカトリセンコじみたループ線であり、地下──ヨロシ鳶ビル

          ファイア・イズ・アウト、リメイニング・ヒート 3

          ファイア・イズ・アウト、リメイニング・ヒート 2

           ノーボーダーは大量のクローンヤクザが待機していた隣の部屋に踏み込む。最初の部屋の半分ほどの面積のトーフ部屋。剥かれて中身を失った銀色のパッケージが隅のゴミ袋にまとめられていた。印字を見ると消費期限間近のバイオインゴットを包んでいた事が分かる。クローンヤクザ維持用の物資だ。  ゴミ袋の横に先へと続く鉄扉……僅かに押し開く。その先には広く無機質なトーフ部屋が続いている。更に複数の鉄扉。無音が耳に痛い。「……そんな気はしてたけど、全然これで終わりじゃなさそうね」鉄扉を慎重に閉め

          ファイア・イズ・アウト、リメイニング・ヒート 2

          ファイア・イズ・アウト、リメイニング・ヒート 1

          1.クレッシェンド・スカー 「ニンジャ消失事件?」コンクリートの床にブッダ涅槃のポーズで寝そべるミゼリコルティアの口からもたらされたコトダマに、他4人のニンジャはそれぞれ異なる……しかし、一面では似通った反応を返した。 「ッんなの知らねぇぞ……言ってなかったし……言ってなかったよな? タブン……」普段重要な事でも聞き落とし気味な自覚がある為か、どこか自信なさげなアトモスフィアを滲ませるのはソウカイヤ所属のアングバンド。  ザイバツの一員たるノーボーダーは素早く見栄を取り繕

          ファイア・イズ・アウト、リメイニング・ヒート 1

          ファイア・イズ・アウト、リメイニング・ヒート プロローグ

          コックハート  ネオサイタマ、鳶28区。ヨロシサン膝元の労働街のとある裏路地で、上弦の月の下、スシ職人見習いである青年カズヤ=カワゴエはデポジットスシオケを洗っていた。  日々に倦み疲れた労働者に容器を返しに行く代わりにいくらかのクレジットを返却するデポジットの手間を呑み込ませるのは実際手間がかかったが、始めは小銭惜しさに、段々と返却率が上がってきたという。  師匠に深いリスペクトを抱くカズヤ=カワゴエは「使い捨てでないデポジット容器を使う事で、労働者もまた使い捨てではな

          ファイア・イズ・アウト、リメイニング・ヒート プロローグ

          季節限定・もし平均明日くらいに世界が終わるとしたら(2個入り)

          ・夏 夏は影が濃い。夜であっても。  年中変わらない白く明るい屋内から、空の端に赤く残照が主張し、やがて途切れていく、だろう、という予感を見ていた。  カップの底に残った細かな茶殻を眺めながら、そういえば紅茶占いというものがあったなぁ、などと思い出す。スマホで調べてみようか。占いは好きな方だと思う。けど、自分の事を占うのは好きではない。  大学正門から坂道を下り、一本の車道を挟んで立つ、四角く切り出された黒曜石のような建物。  入学当初は異物感を感じていたこの喫茶店も、そのメ

          季節限定・もし平均明日くらいに世界が終わるとしたら(2個入り)

          死体埋めピクニック

          ・秋 悪質に付きまとってくる男について相談したい、ぜひ、ぜひ私のおうちで!と主張する後輩のアパートの扉を開けると玄関口で佇む釘バットを持った後輩。そして死体。  バットと死体の頭からは後輩の汗と同じくらいのペースで血やらピンク色のやが流れ落ちている。  色々言いたい事、言うべき事、それから同じ個数くらい言うべきでない事が泡みたく思い浮かんでは溜まっていく。けど、一つ、これだけは確認しておかなければ。 「……それ、私物?」 「ちがいます!」 ※  死体の彼を誰だろうと同定し

          死体埋めピクニック