5歳向けのお金の教育

4歳半頃から数字やお金に興味を持ち始めた長女。経済学部で投資理論や行動経済学を専攻していた夫は、おもしろがって5歳にもわかるお金の教育を始めてみました。

夫:「チョコ1個あげるから、ガム10個ちょうだい」
娘:「いやだ」
夫:「じゃあ、チョコ1個はガム何個と交換できるの?」
娘:「1個」
夫:「うーん、それならチョコはあげたくないなぁ」
娘:「そしたらー、ガム2個あげるからチョコちょうだい」
夫:「いいよ」

最初はこんなやりとりでした。お金の教育では「増やし方」に目が行きがちですが、貨幣の成り立ちや前提について体感することが欠かせないと考えます。

ガムとチョコの交換を「物々交換」と言います。物々交換はとても人間らしくて好きなのですが、娘と私が合意できるチョコやガムの個数(バランス)を決めるのが難しく(尺度機能)、娘がチョコを欲しくがらないタイミングだと私はガムを手に入れられません(交換機能)。じゃあ「1年後に交換しようね」と言っても、賞味期限が来てしまって交換できないこともあります(保存機能)。

お金はこうした物々交換の不都合を、解決するために生まれました。モノやサービスに値段をつけることで尺度を持ち、いつでもモノやサービスと交換でき、価値を保存する機能を持っています。

100円=アイカツ1回分

お手伝い1回で10円を稼げるようにしてみました。お皿を運ぶ、洗濯物を畳む、荷物を持つのを手伝うなど。「アイカツプラネット」というゲームセンターのアイドルゲームが大好きな娘には「10回お手伝いをするとアイカツが1回できるよ」と教えます。

大人の論理でつい「10円が10枚で100円」とテーブルに並べて説明してしまうのですが、それでは「100円」がどのような価値を持つのか子どもには想像できません。

「アイカツの楽しい時間を1回味わうためには、お手伝いを10回する必要がある」この発想はとても重要です。つまり「100円を手に入れる労力」と「100円を使う喜び」のバランスを理解することができるからです。

さらに、「100円を使う喜び」にバリエーションがあることも長女は次第に理解していきます。回転ずしに行くと「お寿司1皿はアイカツ1回分」ですし、100円ショップに行くと「シール1枚はアイカツ1回分」です。すみっコぐらしの手乗りぬいぐるみはアイカツ5回分~8回分で「めっちゃ高い」と発展的な理解につながります。

その結果、「おとーさん、いまお手伝いない?」とよく聞かれます。

両替という仕組みを理解すると、コインの意味が一気にわかる。

それまでは、100円と50円、どちらが価値が大きいか分かっていませんでした。コインをたくさん並べては、ただ喜んでいるだけ(笑)。そこで両替を教えました。「10円10枚で100円」「100円5枚で500円」。すると、どの貨幣が価値が大きいのかに興味が湧いてきて、『紙のお金』でほしいものがたくさん買えることを知って大興奮。昔ながらのブタの貯金箱にあるコインをお札に替えること目標に、お手伝いをせっせと続けたのでした。そして、3月下旬の誕生日。お店に行って、すみっこぐらしのぬいぐるみハウスを買いました。「誕生日だから、買ってあげるよ」という私からの甘いオファーを退け、「ううん、自分のお金で買いたいの!」の一点張り。不足分を私たちが補うという条件で、2,500円のすみっこぐらしのぬいぐるみハウスを2,000円の自腹を切って購入したのでした。その時の誇らしそうな顔が忘れられません!

1万円札は最強。アイカツ100回分

「このおうちはいくら?」「1万円札がどのくらい必要?」「ISSに行くには?」と大きなお金の世界を少しずつ見るようになる。

じゅう、ひゃく、せん、まん…もうおしまい?もっと大きな数はないの?という質問から生まれた『無量大数』。数学への興味も相まって世界が一気に広がりました。

まだまだお金への興味は尽きず、「お父さんはお仕事のお金はいつもらえるの?」「どうやって増えるの?」「どこにもらうの?」と質問攻めが続いています・・・。

お金との向き合い方の素地ができた

娘は、100円を使うことの簡単さと、100円を増やすことの難しさ(お手伝いを10回もやらないとアイカツはできないだなんて無情だ…)を理解することができました。これは人生とお金を考えるときにものすごく大切な理屈です。お金との付き合いは一生続きますからね。これからも、発達に合わせたお題を出しながら(たとえば、1,000円を6ヶ月間父に預けておくと1,100円に増えるよといった話)、娘へのお金の教育を続けていきたいと思います。




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