加美遊庵路

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バイバイ、グッドバイ。

「コレ見た!?やばくね!?」 スマホ画面に写る映画ポスターを見せる。 「え、うん。どしたの?」 僕の彼女は僕に反応が薄い。 「え、なに、その反応?この映画のシリーズ好きだったじゃん」 長い前髪が顔を隠すので、本当に影のような存在にしか感じなかった。 「いつもなんだけど、元気ないの?風邪引いた?」 「いや、別に。元気だよ。」 あっそう。そう思ってしまった。多分、あんまり好意がないんだと思う。 例えば、風邪を引いていたとして、看病しても「大丈夫」ってしか返されない。 例えば、「ヤ

    • From僕to僕and「」エピローグ

      下がっていく。この気持ちも色んな現象も全て。怒りが悲しくなって、虚しさがみっともなくなる。「ありがとう」って伝えてる毎日が明日は来ないとしても、僕は今日も大声で叫ぶ。このキラキラで眩しく着飾った世界に。 「ありがとう」 僕だって、こんな毎日に辟易してる。誰かの心情を揺らす言葉じゃなくて、的当てにする言葉ばかりが「当たり前」であって、それを許される人間が多くて。 この前、レンタルで映画を1本みた。よくある青年の日常を切り取ったもので、オチが凄かった訳でもなくて、散歩したり、本

      • 夕羽振る図題③〜壮年期〜

        「今夜はこの空に大きな花火が上がります! 」アナウンサーがテレビで嬉々として話す。 「ゴミ袋だした?」 「おう!あれ、今日って燃えるゴミであってるよね?」 「うん、ありがと、じゃあ…いってくるね」 「行ってらっしゃい」 汗のかいたコップのオレンジュースに、手をつける。相変わらず地球温暖化だの、テレビからは、毎年のように同じ文言が流れる。 「あついなぁ。」 今年も40℃を突破したとか、祝いたくないニュースが流れる。 とりあえず、目の前のタスクをこなすため、それを飲み干す。

        • 夕羽振る図題①〜幼少期〜

          花が  ぽわぽわ  さいた 花びら  ふらふら  歩いた ともだち  きらきら 笑顔 大きいやつが  ドシドシ 先いった 黒いヒラヒラ なんか のぞいてみたい 赤はあたたかい みどりはいたい はい色つめたい 水玉のわくわく はだ色はやさしい 白はまぶしい ぼくは下むいてる みんなは高いところで下むく でもわらっていて いいね  うれしいな 花が  ひゅるひゅる  とび出した 花が  ぱらぱら  帰った おにいさん  笑った  1人で笑った 黒いかみの毛  ユラユラゆれて 

          夕羽振る図題②〜青年期〜

          「叫び続けて、笑って死んでしまえ」  イヤホンから響く音楽。 右耳から響くメロディー。 聞くのは1回目。これは五月蝿いってイラつく。この曲が初めてイラついた曲だった。 「心配なんかいらねぇ、皆同じ、下向いて笑ってるよ」 何故イラつく。全く思い当たらないか。 黙って反抗心。上を向く。 雨降り。 傘もささずに歩く間抜けでない。しっかり防寒。傘 さして いく。 3月の風は、そこまで体を冷やさない。 いや、厚手パーカーに頼るくらいには、寒くて。 画面の向こう、アナウンサーが

          夕羽振る図題②〜青年期〜