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男子校・女子高のススメ


別学校の論争に正式回答がなされるタイミングじゃが、埼玉県の公立高校における男子校のススメをお届けしようか。最初にお断りじゃが、当方は一般的なジェンダー平等は大事な取り組みじゃと考えておるが、そうした視点とは切り離して、埼玉県で公立高校を志望する際の一つの見方として、男子校・女子高の良いところ、そして気になる点も併せて呟いてみようと思っておる。

1.昔の男子校・女子高

これはワシが埼玉県の公立受験をしていた子神の頃の私見じゃが、いまほど「男子校」か「女子高」か?などという議論も意識もなかった。当時は学区制があったので、例えば県南地域であれば、偏差値の順番で、男なら、
🔴浦和高校(男)
🔴春日部高校(男)
🔴大宮高校(併学:男女別クラス)
🔴浦和西高校(共学)
的な順番で学校を決めておった気がする。大宮高校の偏差値がそれほど高くない時代じゃで、男子校がよいか共学がよいか、という選択肢がなかったとも言える。さいたま市の合併で名前がロンダリングされた市立浦和も、当時は浦和市立とよばれていて、偏差値で言うと現在の大宮北高校的な位置づけじゃった。
同じような構造は、おそらく他の学区でも見られていて、川越地区、熊谷地区などでも同じように優秀な子は別学校に行くのが当たり前じゃったのではないかのう。
ついでに言うと、埼玉県の私立高校は完全に「滑り止め」じゃった。北辰テスト(アチーブテスト)はあったが、確約が無かったので今の制度とは違っていた。公立中学から早大本庄や慶應志木、立教新座を受けるような生徒も今ほどはおらんかった。むしろ都内の私立御三家じゃった開成、麻布、武蔵あたりを受ける受験生はおったな。

2.浦高か春高か

埼玉県立の男子校、といっても浦高と春日部高校ではマインドが違う。学区制のあった頃の川高などは浦和に似ていた気もするが、学区制が廃止された現在、浦和高校の持っている学校の制度や集まって来る生徒の特異さは突出している感がある。浦和高校を受験する層は「これまでの積み上げから余裕で合格」するグループと「リスクを冒しても受験したい」グループがある。後者のうち、県立の男子校が良くて最終的にリスクを回避した層は春日部高校に志望を下げる。以前、学校公開で春高の授業を廊下から覗いたことがある。どうも、前任校が浦和高校だった数学の先生のようで、学校公開の親子を意識してか、

「すぐに解けなくても大丈夫。浦高生だってほとんどは即答できなかった問題だ」

ということを繰り返していた。浦高にチャレンジしなかった事実、そして入学してからも、こうした2番手以下に甘んじたことを上塗りする様な環境に居たとなると、高校生活やその後の社会に出ていく大人としての人格形成にあまりよろしくない印象もあった。もちろん浦高に入ったものの学力だけで見れば低迷して、春高の中間層が入るような大学にも現役合格できない浦高生も居る。しかし、チャレンジして入った高校で、さらに凄い熱量をもった同級生と切磋琢磨して勉強外の価値観に意味を見出した生徒と、捲土重来的に良い大学に入ればいいやという高校生活を過ごした生徒では、人間力に大きな差が生じる気がせんかのう。
もちろん、春高の良さを感じて、或いはチャレンジして春高に合格して、高校生活を楽しんでいる子羊さんたちもたくさんいるはずじゃが。

3.東大の合格者数ではない

浦高の進路指導を見ていると、やや東大や医学部に固執したようにも見える。昔から上を目指せという雰囲気はあったが、神の子の様子を見ていて、さらにそう感じる。凡そ教科書通りの授業は行われておらず、地力とかある種のセンスが無い生徒さんにはつらい。近所の浦和西とか市立浦和とか、おそらくは一女の方が、中堅の国立大学に現役合格するには向いているし、そうした学校の多くは塾や予備校に通う生徒も多いのでな。はっきり言って、浦高の授業は学年順位100番台前半くらいまでに入っていないと、受けていないのと一緒であっという間に置いていかれて浪人まっしぐらじゃ。また、私立対策のように絞り込むこともしないので無駄は多い。それどころか、浦高の生活は、私立の経営的な勉強面だけで言えば無駄しかない。良く知られているのは「浦和体育学校」といわれる運動イベント。
・新入生歓迎マラソン10km
・運動会は裏門付近に救急車が待機しているという都市伝説
・1年生はすぐに臨海学校で遠泳数km
・毎月行われるスポーツ大会
・11月の50km強歩
・武道系
・器械体操(今はあるかわからんが、普通に跳び箱の上で逆立ちさせられた)
・冬場のラグビー
これが繰り返される。共通テスト(センター試験)直前までラグビーを全力でやる3年生や、松葉づえで試験を受ける強者もおった。
無駄(にみえること)でも全力投球。部活もあれば文化祭の門もある。東大や医学部に現役で合格するような子の多くはガリ勉ではなく、運動が出来てピアノが弾けて、絵も描けるダ・ヴィンチのような子がたくさんおる。
これを別学校の議論や、他の予備校と変わらんようなカリキュラムで東大合格者数を競う高校と並べて語ることの違和感と言ったらないわな。はっきり言って受験の価値観だけで見たら無駄だらけなので、スマートに育ちよく良い学校に行きたければ、付属校や他の面倒見の良い学校に進学した方がよいな、笑
ただし、この浦高の凄まじいカリキュラムと自主の校風、そして一生の糧になる仲間との出会いは、何物にも代えがたいものじゃ。こればかりは浦高に通ってみんと真の凄さはわからんし、通わせているご子息のおっかけのように熱心な親御さんにも本当のところは理解できんじゃろう。

4.女子高について

これも浦和一女と春日部女子とでは状況が違い過ぎるし、ましてや鴻巣や久喜をや、という感じで、これらを一律に別学の議論で語るのは、真の争点がずれるだけで意味がなかろう。
浦高や川高のような男子校が、応援団に象徴されるバンカラ気質を伝統の根っこに持っているのに対して、伝統女子校は昔ながらの良妻賢母的な女子の教育に根差しておる。もちろん現代風にアレンジされている部分も多いのじゃろうが、OGや教員の醸し出す雰囲気は、まさに宝塚的な厳しさを思わせる規律がある。
浦高などは休み時間に校外に食事を取りに行ったり買い物に行くことまでできるが、最近の一女は原則的に禁止。学食がないのにじゃ。ワシも男子なので神の子からのまた聞きになるが、かなり封建的な校風であるのは間違いなさそうじゃな。もちろん携帯の扱いとか、校則などは一般の共学校に比べれば自主の部分が大きいと思うが。
女子校の真骨頂は、共学校に比べた場合の、いわゆる男子を意識した女子特有の人間関係もなく、のびのびと自分たちの生活を送れるという点で、男子校と共通したポテンシャルを引き出す環境を提供しているのではないかと思う。これを「男性恐怖症の駆け込み寺」的な表現で別学維持の理由に挙げているメディアもあったが、そうした書き方は少し病的で、ネガティブな気もする。別学校はLGBTQのような新しい概念のために作られたわけではないのでな。
一昔前の埼玉県の女子校と言えば、川女の小宮悦子さんのようにアナウンサーとして活躍されるイメージが強かった。そこまで目立たずとも、様々な分野でリーダーや働く女性として活躍されているOGも多いことと思う。
高校生活は学校で恋愛をして、と思っている女子には共学校がよいのじゃろう。じゃが、中学校で空気を読んで我慢していた自分がいたり、疑問をかんじていたのであれば、3年間限定で自分の社会の中での立ち位置を見つける機会として女子高を選んでみるのも悪い選択ではないな。

5.デメリット

埼玉県立の男子校・女子高を推す身としては、おそらく偏った内容になっておるとは思う。そこを是正する意味で、デメリットについても触れておきたい。
一つ目は生活が荒れる、笑。特に男子校は汚い。身の回りの整理整頓ができない天才肌の特性の子が多いのもあるし、男があつまると教室の中も大変なことになる。それは自然と家庭にも持ち込まれ、忙しい生活もあって身の回りの整理整頓が幼稚園レベルに退行する。ここは意識して矯正しないと、社会に出た時に困るな。結婚できなくなるぞ、笑
それから、女子が止めてくれないので、時々、社会的な非常識に足を突っ込んでしまう可能性がある。それは他人に迷惑をかけたり、自分の命にかかわる状況を生み出すこともあるかもしれん。
こうした男子校らしい問題点を、直近の社会である大学に入学してから強く認識することが多いじゃろう。そこで修正できれば良いが、周りがチャラく見えて、うまくコミュニケーションが取れなくなったり、二次元に逃げ込んだりということは避けたいところじゃな。
女子の方も同じで、男なんて汚い動物よ!みたいになると、それは人生として悲しいかもしれんな。何にせよバランスが大事という事じゃ。
別学校でも部活や文化祭など、出会いの場はあるし、最近は中学校の卒業生ともSNSで繋がっておるから、そこまで男子・女子ということを気にしなくても健全に生活できる気もするがな。

ということで、取り留めのない話になったが、埼玉県の男子校・女子高は、本当に素晴らしい環境を提供してくれるということじゃ。是非、チャレンジして、立派な先輩たちの後を継いで、楽しい高校生活を送って欲しいのう。


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