「5つの小」がしっくりこない理由
東京都の小池都知事は2020/11/19の会見で、会食時に気を付けることとして、「5つの小(こ)」というキーワードで呼びかけました。
2020年流行語大賞にまでノミネートされた「三密」と違って、私は何かこの言葉にしっくりきませんでした。
なので、その理由について考えてみました。
「5つの小」とは
「5つの小」とは何かと言うと、
会食は『少人数』で、
『小一時間』で、
『小声』で会話して、
料理は『小皿』に分けて、
『小まめ』に換気や消毒をする
というものです。
単純で分かりやすいように思えますが、しっくりこないのはなぜでしょう。
「三密」とは
「5つの小」のしっくりこなさを考えるために、世の中に定着した「三密」について改めて考えてみたいと思います。
「三密」とは
感染のリスクを下げるために、
『密閉』された空間
多くの人が『密集』した場所
人との『密接』
を避けよう
ということです。
「5つの小」と「三密」の比較
『密』と『小』という漢字について調べてみました。
広辞苑によると
みつ【密】
①すきまのないこと。ちかしいこと。「連絡をーにする」
②きめのこまかいこと。行きとどいていること。
③ぴったり閉ざして外から見えないこと。内々。ひそか。「はかりごとはーなるを以ってよしとす。」
④〔仏〕密教。↔顕
しょう【小】
①ちいさいこと。わずかなこと。おさないこと。↔大
②自分側を謙遜していう語。「小社」
③同名のものと区別するとき、下位または二次的な方に添える語。「ー
④小の月。太陰暦で一ヶ月の日数二十九日、太陽暦で一ヶ月の日数三十日または二十八日(閏年は二十九日)の月。
⑤太閤検地以前の地積の単位。一段の三分の一、すなわち百二十歩。小歩。→大歩。
⑥小学校の略。
でした。
『密』はいろんな意味で日常的に使われるのに対して、『小』はほぼ1つの意味でしか使われていないことが分かりました。
では、しっくりこない理由を3つ考えていきたいと思います。
理由① 数が多い
「三密」は3つだったのに対して、「5つの小」は5つです。
「四天王」でも4つなのに、5つはちょっと多いですよねー
理由② 使われる場面に違い
冗談はさておき、これは大きいと思っていて、『小』とつく熟語は上記のもの以外に、「最小」「縮小」「小豆」に加えて、「小樽」「小倉」「小岩」などの地名や、「小杉」「小林」「小野」など苗字に使われたりと、日常生活に溢れています。
意味が1つしかないにもかかわらず、多用されていたのですね。
一方で、『蜜』は他にも「秘密」「密輸」「密着」など単語はたくさんあれど、使う場面は限定されます。
理由③ 単語のイメージ
『小』と『蜜』はどちらもマイナスのイメージがあります。
『蜜』に関しては、「してはいけません」ということなので、それで良いと思いますが、
『小』に関しては、「そうしてください」ということなので、そのイメージはあまり良くないのではないのでしょうか。
結論
以上のことから、「5つの小」がしっくりこなかったのは、使う漢字の選択が良くなかったのではないかと考えます。
「三密」に味をしめて、流行り言葉を作ろうと考えたのだと思いますが、おおらく失敗になるでしょう。
それならいっそのこと箇条書きの注意事項を読み上げた方が良かったと思います。
まぁどちらにせよ、みんなでいろいろ気をつけていきましょう。