【読書日記】2/4 祝!江戸屋猫八襲名。動物俳句の楽しみ方。「夏井いつきの俳句道場」
今日は立春。梅に鶯、ホーホケキョ。
と、いうわけで。動物ものまね芸の江戸屋子猫さんのお話しを。
うちの子供は落語が好きです。
独り寝を寂しがるので、落語CDやNHKらじるらじるの聞き逃し配信「真打ち競演」をかけてやっています。
その中でお気に入りの演者さんのひとりが江戸屋子猫さん。動物好きでもあるうちの子にとっては「好きなもの×好きなもの」でパフェ状態なのでしょう。
先日、子猫さんが五代目江戸屋猫八を来月襲名するというニュースがありました。そんな話を家族でしながら、そういえば、夏井いつき先生との対談面白かったな、と思い出して探し出して再読。
本書の第一部では、夏井先生が俳句を詠むうえでの難題「孫」「不気味」「おいしそう」「オノマトペ」などを出題して、投句された句を分析しながら解説するもので、こちらも読み応えがあるのですが、今日の本命は第二部です。
第二部 「対談 夏井いつき×江戸家小猫 動物俳句の知られざる世界」
動物俳句、例えば『びいと啼尻声悲し夜の鹿 芭蕉』の句の鹿の声は、「びい」か「ぴい」か。
この鹿の啼声は、「縄張り宣言と雌鹿に対するアピールだから音が尾を引きずるような声」だから、と子猫さんが指笛で披露してくれる。
さらに、それ以外の時の親子のコミュニケーションの際は「扉がきしむような声」でぎいいうう~という声なのだとか。
本書では、子猫さんのものまねを文字の字体や大きさを変えて記載して何とか雰囲気を伝えようとしてくれているのがうれしい。
そんな感じで、啄木鳥、梟、熊などの動物、鶯やホトトギスなどがどのような季節にどのような行動によって動物たちがどんな音を立てるのか、を観察眼鋭い子猫さんが再現付きで説明してくれて、夏井先生がそれを俳人がどのように詠んでいるのかを解説してくれています。
対談のまとめとして、「先入観に囚われるべからず!」。
この動物・鳥はこんな鳴き声、と思い込んでしまうとちゃんと自分の耳で聞かなくなってしまうということ。
鶯も安易に「ホーホケキョ」と表現したらダメですね。
そしてもう一つのまとめ「曖昧に面白がるべからず!」
命あるものとして存在する生物だから、科学的な部分をきちんと検証したい、という夏井先生。
生き物は基本的に一年を通じているのに、特定の季節の季語になるのはなぜか。「食べておいしい」とか「人の目に触れやすい」とか、人との距離感によることにも言及して、気候変動や外来種の問題など、生き物の季語に向き合うにはまずその現状を知ることが大事、とまとめています。
子猫さんの「音を見るような感覚で、目と耳の両方を使って身体に音を吸収します」という観察法は、現状を「知る」ためだけでなく自ら再現するという芸のために培ったもの。ラジオを通じて聴いているとその観察眼の鋭さと生き物に対する暖かさがよくわかるのです。
生き物や自然への興味を掻き立ててくれる子猫さんの動物ものまね芸。
大きな名前、「猫八」を襲名してますますお忙しくなるのでしょうが、動物園のイベントにも招かれることもあるとのこと、地元の動物園にいらっしゃることがあれば行きたいね、とこどもと話しております。子猫さん、おめでとうございます。
【今日の一冊】
夏井いつきの俳句道場 (NHK俳句)
著者 夏井 いつき (著) NHK出版