タスクシュートがもたらす「強度を楽しむ日常」 【ユタカジン】
あの特別な1日、「タスクシュート総決算2024」から早くも2週間が経とうとしています。
あの日は間違いなく、多くのタスクシューターがタスクシュートの新たな一面を目の当たりにした1日でした。
その新たな一面というのは、タスクシュート協会の理事である御三方(+おまけに認定トレーナーの僕)がそれぞれタスクシュートを実践していく中で辿り着いた境地でした。
タスクシュートは個々に閉じたタスク・時間管理方法なのに、同じ境地に行き着くというのはあまりにも不思議で、でもとても納得のいくものでした。
その境地についてはいろんな表現ができると思いますが、タスクシュート総決算2024直後に更新された同じ認定トレーナー仲間のしろうずさん・ありひとさんが見事にまとめてくださっていました。ぜひご覧ください。
大勢のタスクシューターとともにあの1日を過ごして、タスクシュートは単なるタスク・時間管理に留まらない、とてつもない可能性を秘めたメソッドであるという確信がより強固になりました。タスクシュートを全人類に広めたい、そんな思いがより強くなりました。
2025年も、タスクシュート認定トレーナーとして確固たる自信を持ってこの比類なく素晴らしいメソッドを世に広める活動をしていきます。
さて、そんな素晴らしいイベントとなったタスクシュート総決算2024ですが、僭越ながら僕がオープニングアクトを担当させてもらいました。
「かめりんさんのオープニングアクトがとてもハマっていた」とめちゃくちゃ嬉しいお言葉をいただくなどして、僕の役割は全うできたかなと安心しています。
とはいえ、このオープニングアクトを担当するということは、僕にとってなかなかに強度のあるタスクでした。というのも、
タスクシュート総決算というイベント自体が初(本イベントのオープニングアクトの前例がなく参考にできるものがない)
僕のあとに偉大な理事お三方が話すことになっていた
大勢の参加者が集まってくれた
参加費もなかなかのお値段(下手な話はできない)
20分間というなかなか長い持ち時間があった
準備時間はそこまで長くなかった(約1週間)
という状況から理解してもらえるかなと思います。
本記事では、そんな強度のあるタスクをどのように完成させたのか、ある程度時系列に沿いながらお話しようと思います。
もしあなたがタスクシュート総決算2024に参加して僕の話を聞いてくださっていたとしたら、僕が伝えたかったことがより深く伝わってくれるかもしれません。
自分が手を挙げるか…?と渋った1週間前
前回の記事にも書いたように、オープニングアクトに登壇するタスクシュート認定トレーナーが募集されている際、手を挙げるかどうか悩みました。
タスクシュートについて何かを伝えたいというという強い気持ちはある。でも全然まとまっていない。時間も迫ってきている。どうしようかな。
そんな感じで人知れず渋っているときに、まさかまさかの「かめりんさんが適任ではないかと!」という他薦。これはこの場に立てという波が来ているんだなと割とすんなりと理解して、「やります」と手を挙げることにしました。
とはいえ何を話そうか
「タスクシュートについて何かを伝えたい」という気持ちはありつつも、その「何か」は最初のうちは全然思いついていませんでした。
ただし、発表の半分くらいは手を上げるか悩んでいるときからぼんやりと頭に浮かんでいました。
1年間の総まとめ的なイベントになるし、かつイベントが始まる前座としての場なので、場を温める意味でも2024年にタスクシュート界で何があったかを事実ベースでお話しする時間を前半に設けよう、と。
理事お三方に尋ねてもそういったことを話す予定は特にない、とのことだったので、ネタ被りの心配もなく、20分のうち10分弱の内容はざっくり決まりました。
問題は残り後半。
TaskChute for Notionを開発したので、それに絡めた話をしようかなと頭をよぎったりもしました。
ただ、このイベントに来てくださる方々はいろんなタスクシュートのツールを使っている。それを考えると特定のツールに特化しすぎた話をするのもなあと思って、採用するのはイマイチかもしれない(万が一本当に思いつかない時のために保留にしておこう)、と思っていました。
ということで、この時は超ざっくりと「タスクシュートってやっぱりいいよね」という話をしたいな、くらいにしか決められませんでした。
話す内容が決まらない。そうはいっても大事な12月14日は少しずつ迫っている。
ただ、全然焦りはありませんでした。これまでの経験から「色々と考えているときっといいネタが思い浮かぶ」と信じていたからです。
必要なものにさっさと手をつけちゃおう
うんうん頭を悩ませても仕方がないので、さっさと絶対に必要なもの(つまり発表スライド)の作成に手をつけちゃおうと思いました。
同じタスクシュート認定トレーナー仲間のまきのくみさんが、過去に以下のような記事を書いています。僕はこれにとても共感していて、とにかくコアとなる部分にさっさと手をつけちゃうのが一番近道で楽しいやり方だと思っています。
ということで、今回も例に漏れずさっさとスライド作りを始めました。
僕は学生時代からスライドを作成するのが好きです。その場にあったデザインやフォント、スライド構成を考えるのが性に合っていてとても楽しい。時間が溶けます。
少し前から、素敵なデザインをたくさん投稿しているノグチデザインさんという方をXでお見かけしてフォローしていたので、その方の投稿からいい感じの配色を拝借できないかと眺めたりしました。
クリスマスが近づいてきていたという時期というのもあって、以下のように少しクリスマス感のある深めの赤を差し色にした白赤配色を採用することにしました。
(ここに緑が入ると一気にクリスマス感が強くなっちゃうのでこのくらいがちょうど良さそう、といったことを考えたり。)
フォントはどうしようか。
色々とCanvaに搭載されているフォントを探していると、スライドにもマッチして「気付く人は気付く」かわいい要素があるフォントを見つけました。
こういう仕掛けも楽しいなと思います。実際に発表の時も気づいてくれた方がいて、オンラインのチャットが少し盛り上がっているのを見てニヤニヤしました。
時間が取れる時にガツンと時間を取る
発表当日まであと4日と迫った12月10日(火)、もともと有給休暇を取得していました。特に何か予定があったわけではなく、有休消化も兼ねてちょっと休もうかな、ボルダリングに行こうかな、とぼんやり考えていたところでした。
運よくまとまった時間が設けられていた(?)ので、この日にグッと力を入れてスライド作成を進めつつ、未確定の後半の発表内容を考えることにしました。
スライドを作り進めながら、アイディアが頭に浮かんではイマイチだなあと却下。そんな感じのことが何度かありました。
一方で、少し前から読み進めてきた『センスの哲学』という本がありました。前半部分のスライドを進めながら休憩がてらこの本も読み進めていました。
2週間ぐらい前から読み進めながらタスクシュートとの親和性が高い本であることをじわじわ感じていて、もしかしたらこの本に「自分が今タスクシュートについて語りたいこと」があるかもしれないということを予期しつつ。
その予期は当たりました。読み進めるうちに「これは自分が言語化したかったことだ」という実感が強くなっていきました。と同時に「これをオープニングアクトのネタにしよう」という決意も少しずつ強まっていきました。
問題は、自分がこの本の中で述べられていることとタスクシュートの関係をきちんと吟味・咀嚼して言葉にできるか。スライドに起こせるか。
そもそも抽象度が高めの本なので、ちょっと微妙なラインでした。
「ギリいけるかも」「いや流石に危ういか…?」そんな駆け引きが自分の中でありました。
その日の夕方に差し掛かったころ、とにかく本の理解を自分の言葉で言語化しようと思いがっつり時間をかけました。
大体思考が整理できたころには、この『センスの哲学』をベースとしたタスクシュートの魅力の話をしよう、と心に決めていました。
ようやく「いける」という感覚を手に入れる
がっつりと時間が取れた火曜日とはうって変わって、水・木はほとんど時間が取れませんでした。本業が結構遅くまでかかり、ある程度ちゃんと睡眠を取ることを優先した結果です。こういう日もあります。
火曜日の感覚を信じつつ、お昼時間に発表について思いついたことをメモ取ったりしながら、時間は過ぎていきました。
そして前日となった金曜日。朝早めに起きてスライドを作り、仕事に行って、仕事終わりにカフェに寄って再度スライド作り。
「これは絶対にいける」という感覚が得られたのは、前日の夜8時でした。
この感覚が得られたら勝ったも同然で、まとまってきた内容をスライドに起こし、楽しみながらスライドの構成やデザインを整理して、完成に向かう。
スライドを作りながら、発表に自分が使うであろう言葉も頭には浮かんでいたので、発表自体にもそこまで大きな懸念はありませんでした。
強いて言えば「発表時間が大幅におしたらどうしよう」ということくらい。
(実際にちょっとおしました。ごめんなさい。)
そして当日、ちょっと睡眠時間を削りつつ朝早く起きて、一度通しでスライドを送りながら発表してみる。だいぶ時間が過ぎちゃうかもということがわかったので、削るかもしれないと思っていたスライドを2,3枚削り、ようやく完成して本番を迎えました。
大きな差異も手中に収めて楽しむ
以下の画像は、僕のTaskChute for Notion上のスライド作成に費やしたログです。トータルでかけた時間は約700分。
1週間でかけた時間としてはかなり長く、冒頭で述べたようにとても強度のあるタスクだったな、と思います。
ただ、辛かったかと問われると全く辛くはありませんでした。
むしろ、この1年でタスクシュートは大きく進化したなあとか、このデザインいい感じだな、とか『センスの哲学』面白すぎるとか、「いける」という感覚の気持ちよさとか、いろんなことを考えながら取り組めたので、とても楽しみながらオープニングアクトに向けて準備をすることができました。
これはまさに、僕がオープニングアクトでお話しした「大きな差異を経験したとしても、それをパターンのうちの1つだと捉えて自らの手中に収めることができる」ということだと思うのです。
冒頭で述べたように、オープニングアクトを担うのはなかなかにタフなタスクだということは最初から理解していました。ただ、だからといって変なプレッシャーを感じたり、話す内容が確定しないからといって焦ったり、どうにでもなれとやけになったりすることはありませんでした。
むしろ(あえて少し言い方を変えて)大きな波が来たからこれに乗って楽しもうという感覚で取り組んでいました。「オープニングアクトの準備をする」といった大きめのタスクに取り組む中でも、いろんなところに想いを巡らせながら楽しんでいた様子が伝わったでしょうか。
ただ、そうはいってもそれをすぐ実践することは難しい。それは僕もよくわかっています。だからこそここにタスクシュートを長期で相棒とする(1つの)意義があるのです。
この1年間で、タスクシュートにまつわる強弱さまざまな活動をしてきました。どれも始まったら必ず終わってきました。そしてどの活動も日常の中に溶け込んでいました。
そういったタスクやプロジェクトの強弱そのものを味わっていく。それによって見出されるパターンを受け入れる。波に乗る。そしてそれを味わうにはタスクシュートを通じた記録が不可欠だと思うのです。
タスクシュートというタスク管理・時間管理というものは、本当にいろんな魅力があります。この魅力に気がついて体感できたら、きっと一生物の相棒となるでしょう。僕にはそんな気がしています。
リズムを感じる、パターンを捉える、波に乗る。そんなことを可能にするタスクシュートの面白さをぜひあなたにも体感してもらえたら嬉しいなと思います。
今年はタスクシュート認定トレーナーとしていろんな活動ができました。
その振り返りとこの記事にも書いたようなことを、タスクシュート認定トレーナー仲間のうさぼうさんのPodcast「プロジェクトcast」にお邪魔してお話ししてきました。
僕とうさぼうさんは「うさぎとかめ」ペアとしてユタカジンの木曜投稿を担当しています。僕がかめ。うさぼうさんがうさぎ。
プロジェクトcastぜひ聴いていただけると嬉しいです。
タスクシュート総決算2024のアーカイブ動画は以下から購入ができるようになっています。タスクシュートの新たな一面を見たい方はぜひご覧ください。僕の動画もおまけに見てみてください。
もしもしかめよ かめりんでした。
本記事はタスクシュート協会メンバーが運営する「ユタカジン」への寄稿記事です。
ユタカジンとは「自分らしい時間的豊かさを追求する」をテーマとして、時間や習慣、タスクシュートなどなどにまつわるお話が連載されていくマガジンです。
明日以降も続々と「ユタカジン」に記事がアップされていきます。
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