あらためて「タスクシュート」とは?(後編) 【ユタカジン】
本記事は僕(かめりん)なりの「タスクシュートとは?」を言語化した記事の後編になります。
僕なりのタスクシュートとは何か?という問いに対する回答として、
と書きました。
前編では、タスクシュートに使われる言葉の説明と、1つ目の「自分なりに納得した1日を過ごせるようになる」という点について説明しました。
以下からお読みください。
さて、後編では2つ目の要素として挙げた
「1日で終わらない複数のことも着実に進められるようになる」
という点について説明していこうと思います。
1日で終わらない複数のことも着実に進められる
前編の記事で、タスクシュートは1日にフォーカスした「やること」管理・推進方法だという話をしました。
そのような話をした際によくある質問として、
というものがあります。
タスク管理や時間管理、プロジェクト管理といった話では、長期にわたって逆算的に計画を立て物事を進めていくようなやり方が一般的なので、こういった疑問はごもっともだと思います。
これに関しても、タスクシュートは明確な答えを持っていると僕は考えています。
それが「ルーチン」です。
前回説明したように、ルーチンとは
ログ(やったこと)をもとに翌日以降も繰り返し実行するタスク
のことを指します。やろうと思っていることではなく、実際にやったこと(できたこと)をもとにルーチン化するので、「理想の自分」にがんじがらめにならずに、翌日以降も続けていきやすいというわけですね。
アプリ上の挙動としては、一度ルーチン化したタスクが設定した周期でその都度日々のタスクリストに自動で生成されたり、ボタンを押して自分でタスクリストに追加したりします。
ルーチンと聞くと、定期的にやっている生活習慣を想像するかもしれません。例えば「歯磨きをする」や「お風呂に入る」などです。あるいは、自己研鑽のようなイメージもあるかもしれませんね。たとえばランニングとか英語の勉強とかでしょうか。
タスクシュートでは、もちろんこれらを記録したい場合はルーチンタスクとしておくことで、日々の記録が楽になるという側面もあります。
しかしながら、タスクシュートにおける「ルーチン」はもっと広く「定期的にやること」全般に当てはめます。いわゆるプロジェクトと呼ばれるようなことにも適用していきます。
たとえば、今まさに僕が書いているこの記事は、1日で書き上げることは考えていません(実際に1日以上かかっています)。毎日の執筆作業の積み重ねで完成に近づいていくので、「ひと記事書き上げてユタカジンに寄稿する」ことが、個人的な小さなプロジェクトと言えるでしょう。
そして、もちろんその毎日着手している内容は違います。同じ文章を繰り返し書いても記事にはなりません。
実際に、どのように記事を毎回完成させているかということに関して、過去に記事を書いたのでもしよければ覗いてみてください。
5ヶ月前の記事ですが、今も書き方のスタイルはほとんど変わっていません。
上では例としてユタカジンへの寄稿記事を執筆することを挙げましたが、他にもいろんな仕事が考えられると思います。
論文を書く
絵を描く
動画を制作する
プレゼン資料を作る
本を執筆する
などなど。
1日で終わらないような仕事を進める鉄則は「早めに着手して、定期的に(できれば毎日)小さく繰り返し進める」ことです。上に挙げたこと以外にも、このような進め方が適用できそうだと思うことはルーチン化してどんどん進めていけるはずです。
また、冒頭で挙げたタスクシュートとは?の回答として「1日で終わらない複数のことも着実に進められるようになる」と「複数のこと」とあえて明記してあるところもポイントです。
これまで説明してきたように、タスクシュートのルーチンは早めに着手して定期的に少しずつ進めていくというスタイルです。
そのため、 締切間際になって1日がそのタスクで埋まってしまい他のことができなくなる、ということにはなりづらく、他の「1日では終わらないこと」も並行して進めていくことができるのです。もちろん、数が複数になろうとやることは変わらず、着手したらルーチン化して、定期的に少しずつその時々の最適なことに手をつけていくわけですね。
タスクシュートは定常業務にしか向かない?
タスクシュートのよくある誤解
タスクシュートは定常業務にしか向かない
ということにも触れておきましょう。おそらく、ルーチンの考え方がまだまだ浸透していないんだろうと思います。
しかし、きっとそんなはずはないはずです。タスクシュートが定常業務にしか向かないのであれば、とてもじゃないですが僕は5ヶ月間さまざまなテーマでこのnote記事を書き続けることはできていません。
また、僕は3年前に博士論文を書いて博士号を取得しましたが、その時もまさにタスクシュートのルーチンを活用して「毎日少しずつ」博士論文を書き進めていきました。
同じタスクシュート認定トレーナーであり研究者仲間のKeiさんも、まさに「タスクシュート論文執筆術」を推しています。タスクシュートを相棒にすれば、論文も書けるのです。
これまでの説明で、タスクシュートは定常業務だけでなくその都度やる内容が変わる、先がなかなか読めないことにも使えるイメージが浮かんだでしょうか。
縦の流れと横の流れで日々を織りなす
さて、前編と後編にわたって、僕なりの「タスクシュートとは?」を言語化してきました。あらためて掲載しておくと、
です。
一言でまとめればより簡潔でわかりやすいところを、あえて2つの項目に分けて、かつ前編と後編に分けたのには理由があります。
それは、縦方向の流れと横方向の流れを明確にしたかったからです。
前編で説明したように、タスクシュートは1日単位で物事を考えます。
1日のプランを立てて、そのプランをベースとしつつ実際にやったことのログをとる。これが基本の動作です。
タスクシュートの見た目どおり、タスクひとつひとつが縦に直列に並び、時間の流れに沿って上から下へと進んでいく縦方向の流れがあります。そしてその「下流」では、自分のその日1日にやったことを眺めることができて、その1日に納得することができるようになる。これが前編で1つ目の特徴として述べたことでした。
そして、今回後編として紹介したルーチンは「横方向の流れ」を作り出すものです。もちろん個々の単位を見れば1日の中でこなすわけですが、それは中・長期にわたって繰り返し実行していくタスク群です。その特定のルーチンだけに着目すると、日を跨いで進んでいく「横方向の流れ」があるということに気づきます。
これが、今回後編として2つ目の特徴として述べたかったことでした。
上記の縦方向の流れと横方向の流れを図にすると以下のようになります。今日1日では縦方向にプランをログにしていく。1日で終わらないことはルーチンにして横方向に翌日以降も続けていく。タスクシュートがプラン・ログ・ルーチンの3つの要素で構成される意味がわかってもらえるのではないかと思います。
1日に限って見れば縦方向の流れがあり、ルーチンそれぞれに着目すると横方向の流れがある。縦糸と横糸によって織物が織られるように、縦方向の横方向の流れに沿った「やること」の実行によって、日常が織りなされていくようなイメージが湧かないでしょうか。
こうした各人の日々の積み重ねによって「時間的豊かさ」は各々にもたらされていくのだと思います。
もしもしかめよ かめりんでした。
本記事はタスクシュート協会メンバーが運営する「ユタカジン」への寄稿記事です。
ユタカジンとは「自分らしい時間的豊かさを追求する」をテーマとして、時間や習慣、タスクシュートなどなどにまつわるお話が連載されていくマガジンです。
明日以降も続々と「ユタカジン」に記事がアップされていきます。
ぜひ本マガジンをフォローして日々のささやかな楽しみにしてくださると嬉しいです。