高木康子さんインタビュー⑦「いま生きとるんが天国ちゃうかな、確かに」
・ビビるかもしれへんけどね
――「人の縁」についての話なんやけど。
高木先生が以前「人と人とを繋ぐのが自分の
役割やということが分かってきた」っち言い
よったやん?
どうしてそんなことが分かったん?
康子さん(以下・康):
あ、人と人を繋ぐ役割?分からんよぉー!。
何となく?笑。
えっと、Facebookをやっててもそうなんや
けど…Facebookってさ、新しいテレパシー
ツールやと思うんよね、あたしは。
で、よう考えたらもうブログは11年前から
やってて。Facebookはもうちょっと後かな。
やっぱこう、いっぱい人がおるやん?やけど
ウォールとか見ても何となく「この人が気に
なるなぁ」って分かるやん?そんでそのうち
出会うやん?
で、すっごい面白いんやけど「この人はこの
人と合うんちゃうんかな」とか思って、紹介
するやん?そしたらなんかやっぱしすんごく
合ったりするんよ。ほんでまた、その様子を
見られるやん?。ここにいて、テレビ見てる
みたいに。笑
――可視化やな
康:うーん、せやから、まあその、いろんな
意味でビビることもあるかもしれへんけどね
――わたし(聞き手・三浦)も、ビビってた
もんな、最初は。
・人として「繋がってる」って感じ
康:SNSって怖いなぁていうのもあるけど、
それがなかったら出会ってないような人たち
いっぱいおるもん。
あたしは(32歳のときインドを旅するまで)
孤独感あったんや。自分って誰にも分かって
もらわれへんのちゃうんかなというのが心の
どっかにあった。
ほやけどインドに行ったらさ、あたしと同じ
ように思とる日本人が、わんさか旅してた。
(SNSが普及した今)そういう感じの人が、
ここまで会いに来てくれるようになったんよ
何人も。
それで、あたし(インドに行った頃と)何も
変わってないんやなーて思いよったんよ。
――同じ思いをしている人たちを見よったら
自分が分かったりもするよな。
康:機織り教室でもそうやけど、ただ教室に
来てるから「先生と生徒」ていうよりもな、
人として「繋がってる」って感じやんか。
その繋がりって切れへんで、なんとなくこう
ずっと、あるやん。これが縁やったりするん
やんかー。面白いなーて思う。
自分は、人と人を結びつける一つのツール?
…お役目みたいなんがある気がするんよ。
これは直感なんやけど。
――そやけどそういう役割もありつつ、高木
先生には「作りたい、生み出したい」ちゅう
使命みたいなものがあるやんか。
康:あなたが昨日「自分が好きなところとか
好きなものを教えて」っていうたやん。
その時にね「そうや、一番好きなのは、自然
なんよ」と思った。あたし、こんなに人間の
ことばかりやってるけど…
だから自分が小学校の時のこと、ほんと思い
出す。山とか川とか木とか風とか、なんせ草
とか。そして、それと会話してた自分。
大人になるとその感覚はどんどん薄れるけど
結局今、あたしはそこに戻って来てるんよ。
また引きこもってるけど、フフフフ。
簡単なんよ、もの作るのって。空っぽせんと
入ってきやへん。展示会もあって、外へ出て
行くこともあるけど、普段、ほとんどは家に
おって創作してるわけやん。で、その空っぽ
の状態を作れへんかったら、なんにも入って
きいへんねん。
――今大事なことを言った!
・頭ん中に何かあったらあかん
康:そうなん?
山に行って草や木とか、そういうものと対話
するとか。自分にとっては、そっちの時間が
すごく大事なんよ、もの作る時に。
「人と喋ってる間になんか思い浮かぶ」とか
いうんじゃない。
頭ん中に何かあったらあかんのよ。
自分が空洞みたいな状態でね、天に向かって
「バシコーン」とそのパイプを突き刺さへん
かったら、降りてきえへん。
天からのメッセージなんよ、もの作りって。
その降ろしてくる役割のパイプを、いっつも
きれいにしとかんと……それが詰まってたり
すると、あたしには何にも降りてきえへん。
で、あたしが作り出してるんじゃないんよ。
あたしは、ただ、道具やねんで。手とか。
上からすうっと降りてきた瞬間ってね、もう
自動筆記的なんよ。
ほら、もの作るために「いろんな人の作品を
見たりしなあきませんよ」って言われること
あるやん。それとはちょっと違う世界で制作
してん、あたし。
そっちの世界やったらもっとほら「どっかに
講習会行ってーワークショプ出てー、新しい
技術を学んでー」ってするやろ?あたしこの
過去28年間、そういうのには1回も、行って
ないもん。フッフッフッフ!
ほいで人の作品て、見いへんな。
だってあたしにとって必要じゃないねん。
――空洞なパイプがこう、上のほうへと伸び
ちょんのやな
康:あ、そうそう。中まで空洞なんよ。
やから、絶えずやってる作業っていうのは、
煙突掃除みたいなもんやな。そのためには、
独りでいることも大事なんよ。
その煙突掃除っていうのは、ほら、思い悩む
とか苦しむとかさ、何かそういうことがダメ
なんよ。
日常の人間的な悩みみたいなんとかは、ある
程度それはすぐ、きれいにしないと。
――きれいにした時にパイプがつながる?
康:きれいにていうか、なんせスコッとして
なかったら入ってけえへんねん。
でも人間て、独りで生きてるわけじゃない。
人と出会って喋ったりするんもな、もちろん
楽しいんやで?。それとは別で、ものを作る
時のエネルギーは、どっちかというとあたし
人間を介せへん方ができる。
もうボーっとするとか、草をじーっとみてる
とか、笑。
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