昭和Black大好きが、令和BLACKSUNを見てみた②
仮面ライダー生誕50周年企画の一柱として生み出されたBlackのリブート作品。
メイン監督やメインキャストに特撮畑では無い人々を据え、脇は今まで東映特撮に実績のある人々で固める。
そして対するボクは、最もヒーローの影響を受ける幼少期にBlack(とRX)が直撃し、その後クウガまで唯一の仮面ライダーであった空白世代。
思い出補正込みで、別格化している。
そんなボクの目に、この作品はどう映るのか。
(後編)
6話
7話
8話
9話
10話
総評
後書きという蛇足
6話
そして怪人内ゲバ発生。
モブ同士の戦闘が相変わらず怪人の弱さが際立つ。
銃で死ぬなら何で変身すんの?
そもそも兵器利用なんか出来ないじゃん?
これは見せ場が来るかなと思ったのが、
ブラックサンvsダロム
シャドームーンvsバラオム(過去編)
シャドームーンvsビシュム
せっかくの主役級vs幹部級の連戦だが、どうにも主張を語らせたいがためにバトルがもたつく。念動力で動かない、マウントポジションで動かない、空中で衝撃波出すだけで動かない。
もうここまで来ると確信に変わっていた。
「ああ、この監督はバトルを、少なくともライダーアクションを撮る気はないんだな」と。
最後のブラックサンと創世王ご対面での次回への引きだけはワクワク感があったな。
7話
創世王とのバトル……
強いのか弱いのか分からん。
めっちゃ念動力使うけど(まぁそれは仕方ない)、あれだけ殺意剥き出しなヤツをよじよじ登らせるかな?かな?
ルー大柴さんの「今の」怪人の価値。
いよいよ価値が下がってきた。
それこそ国が動くような巨大なプロジェクトでも何でもない。その程度(ただの金儲け)ならWの園崎家のように、ただの金持ちを悪役に設定してる方がよほど納得がいく。
さらに全く本筋に関係無いニックを再登場させ、あまつさえ「I'm sorry」で済ませ許させる。
お前のせいでヒロインは怪人にされ、母も殺されてんだぞ?
許しを乞う方も、許す方もバグってる。
このバグった倫理観をなぜ視聴者に見せた?
再登場しなかった方がよほど良かった。
バトルをする気もないのに、ドラマパートでも萎えてしまった。
正直、そろそろキツい。
でも最後のシャドームーン覚醒でちょっとスッキリしたから最後まで頑張るよ!
8話
シャドームーンの変身、そしてクーデター。
ブラックサンの鏡写しの変身シーンはオリジナル要素としては非常に良い。
チュン助の自宅式中に警察が検死するよ〜
ってバカか!
あれだけしっかり葬儀屋が部屋を飾ってんのに後から警察とかあるかバカ!
怪人相手なら、医者も葬儀屋も警察もみんなガバガバなのか!
ドラマパートくらいしっかりやってくれ!!
変身前とはいえヒロインにボコされるビルゲニア。彼の転落は止まる事を知らない。
海の洞窟へ向かう引き。
……あれ?
ボクらは一般教養として分かるけど、説明何かあった?
9話
創世王の出自が明らかに。
何でもない一般人が、旧日本軍の実験で生まれたようで……
何にも「創世」してないし「王」でもない。
ただの記号というのは別にいいんだけど、それにしちゃあ気取った記号ですね。
主人公がヘブン(人肉+創世王エキスの怪人用ドーピング薬みたいなの)食べちゃうか〜 そうか〜
そう……かぁ………
ここでボクの中で何かが途切れた。
食人を主人公にさせちゃダメだ。映像作品としてじゃない「仮面ライダー」としてダメだ。
敵と力の源が同じ、同じ怪人でありながら「魂」は高潔であるが故の「仮面ライダー」だ。
「仮面ライダー」は平成に多い「システムの名前」でもなければ「商号」でもない。
「魂の在り方」だ。
目的のため、自発的にそこへ踏み切ったブラックサンは生きて帰るつもりもなく人類の為に戦う主人公かもしれない。
だが、彼にこの行動をとらせた監督なのか脚本なのかは分からないが、ダメだ。
絶対にゆ゛る゛さ゛ん゛!!!
そして警察一個小隊に制圧されるビルゲニア。
折れるサタンサーベル。
上級怪人ちゃいますのん?
彼の転落は止まる事を知らない。
10話
唐突なてつをOPからスタート。
本来なら大興奮だったかも知れないが、ここに辿り着くまでに蓄積され過ぎた「仮面ライダー」観の相違からか、素直に受け止められない。
悲しいくらいに価値観が違うのだ。
「君たちこういうの好きでしょ、チョロい!」くらいの事を思ってるんじゃないかと裏読みしたくなる程に、もう監督との価値観の違いが歴然とし過ぎているんだ。
ラストバトルは本当に良かった。
このシーンだけは本当、本当にカッコ良かった。
いいキックだったし、いいパンチだった。
だがそれほどまでにカッコいいシーンの後に
「怪人も人間だ!」を言わせるなら、何故ヘブンを食わせた!?
それをしてしまったら、この台詞がどれだけ白々しく響くか想像しなかったのか!?
ラストは石ノ森版「俺は誰だー!?」のオマージュになるのかなとも思ったが、ブラックサンなんかい。
つーか、ヒロインが急にベルト出るの何で?
一々説明不足だなぁ。
結局、ヘイト集めのルー首相のトカゲの尻尾切り、ヒロインの主人公殺し、創世王を生むキングストーンは残り、怪人差別社会はそのまま。
「私が継ぐ」といったヒロインはテロリスト堕ち。シャドームーンの方継いでるやんけ。
そして最後に仰ぐ旗印は昭和版ゴルゴムマーク。Blackのライダークレストとして認知されてるけど、アレはゴルゴムマークだからね?!
アイツのせいだな、一応言っておくか。
おのれディケイドォォッ!!!
総評
まず、個人的にだが「仮面ライダー」として認められない。
10話でも書いたが、覚悟の描写だろうが「食人」だけはダメだ。
他の誰が何と言おうと、ボクはこの作品を「仮面ライダー」とは絶対に認めない。
仮にこの意見を引っ込めるとするなら、石ノ森先生に「こらっ!」って言われた時だけだ。
次に特撮としてだが、スーツデザインや楽曲、主演俳優陣の演技はかなり良かった。
ただ、ダークな世界観を壊さないようにと普段スーツアクターをしてない人達を採用したために、アクションにキレは無い。
全話通して、何回マウントポジション殴りしてた事か。泥臭い戦闘シーンは改造人間同士だからパターンをもっと生み出せると思うんだけどなぁ。
そもそも特殊能力を使わない戦闘だけがリアル描写だっていうなら、改造人間の必要性ないじゃん。ヤクザ映画撮ってなよ。
最後に映画(リブート作品)としてだが、気になるたびに言ってたが、とにかく雑。
設定がガバガバ過ぎてストーリーに入り込めないし、随所に入れて来たBlack要素も全く説明が無いので一見さんお断り状態。
「分かりやすい特撮は撮らない」けど、「オマージュ要素の説明は無い」ならどの客層に向けて作られた作品なのか。
ラーメン屋はナルトとメンマが入ったケーキを出さないで、ラーメン作って下さい。
後書きという蛇足
ここからはもう、思想面になるので完全に蛇足の文章。読み飛ばして一向に構わないです。
これは監督のなのかな。
政治思想が強過ぎて、鼻につく。
笑っちゃうくらい麻生さんに似た(俳優さんは凄い)キャラを据えて分かりやすい自民党批判。
後日談で、何の前触れもなく「怪人」じゃなく「移民」政策のデモが映されるし、
信彦も「あの頃(学生運動)に戻りたい」と呟いて絶命するし、
ヒロインが「差別やめろ」って言いながら、マイノリティ(怪人)側になったらテロリスト堕ちするの何でしょうね。
「やはり暴力!暴力は全てを解決する!」
いや、アレはギャグ漫画だから面白いのであってシリアスドラマでやられると、ただのプロバガンダ……
……プロバガンダを仮面ライダーでやるんじゃねぇ!!!
(結論)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?