小説企画~二週目~
二週目です。
若干心折れそうになりつつ、何なら先週より短くなってしまいましたが、今週も投稿します。
こういう活動をしてて良かったといつか思えるように…。
本文
ごめんよ、少年。神様も二カ月孤独でいたら、対人関係の築き方なんてまるっきり忘れてしまうんだよ。雨の音が徐々に弱まっていくのを感じる。雨雲よ、今はどこにも行かないでおくれ。折れそうな僕の心を、慰めておくれ…。外国のアニメ映画みたいなことを考えて恥ずかしくなっていくにつれ、雨は完全に上がってしまった。神だぞ、と強気に出たくもなるけれど、大人げないのでやめておこう。神である前に、僕は大人だ。
「逆に聞きますけど、土砂降りの中何しに来たんですか」
少年が僕に言った。それはもう、質問でなく刃を向けるかのように。
「大人が、平日の午前中に何をしてるのか、ということかい?」
少年はうなずいた。が、「でも、」と続けた。
「ごめんなさい。僕がそんなこと言えた立場じゃないのに」
身の丈をわきまえ過ぎている。どんな事情があろうと、学校をさぼることは不誠実であると。
「ここが僕を呼んでいる、なんて言えたらいいんだけどね。本当のことを言ったら、会社を辞めたんだ」
それと僕は神様で、と続けるのは無粋だと思って言わなかった。少年からしても、それはもろもろの問題が解決してから知りたかった、となるだろう。そういうことも、僕はわかっているんだよ。
「やっぱり」
口を滑らせたように、そう言い終わる前に言葉をひゅっと呑み込んだ。
「それは…、大変でしたね」
「大変なもんか」
実際のところ、大分苦戦した記憶がある。苦悩し、十円ほどの範囲、毛が抜けたりもした。けれどそれも過去の話。その時にかかった靄はこの二カ月、いや、一週間足らずで晴れ渡り、神様だと自称するまでになった。
「清々しましたか」
「あぁ。何の障壁もなくて、これ以上の快適はないよ」
つまり、少年もそうなりたい、という話なのだろうか。
「たしかにね。学校へ行け、という説得力は僕にはないし、そんなこと思ってないからね」
「でも、不安じゃありませんか」
「不安じゃない」
「そう…、ですか」
共感性の示し方を忘れてしまった。もともと共感力の低い僕は、こうやって沈黙を生み出してしまいがちだ。
それから何時間も経った。僕は毎日ここへ来ているから一瞬のように感じるけれども、少年はいろいろと我慢しっぱなしだったろう。
「鳩だ」
いつもの鳩が集まってきていた。初対面の少年をじろじろとにらんでいるようにも見える。僕も最初はそうだったな。夕暮れの中、数十羽、数百羽ともなりそうな鳩からの視線は耐え難いものだった。
「鳩だよ」
「いつもここに?」
少年が僕に尋ねる。僕は頷いて、公園の入り口を指差した。
「あっち、見ててごらん」
傘を後輪に水平に刺した自転車を押して、女神がやってきた。自転車のかごに、袋詰めされたパンの耳をパンパンに詰めて。
ではまた来週
みじけ。
来週はもっと頑張ります。
がんばるぞ。
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