過去や未来を射程に入れた今を生きるということ。

「今のこの時を生きよ」とよく言われる。過去を悔やみ、将来を煩い、今目の前のことができないでいる状態をうつ病と言ったりする。でもそもそも、人間は、過去や将来のことを考えずに、今だけを生きることは無理なのではないかしら。

チンパンジーと人間を比べてみた実験がある。1から10までの数字が書かれた10枚のカードをランダムに並べて、数秒両者に見せ、7枚くらい伏せたカードの数字を当てさせる。すると、チンパンジーは全て正解するのだが、人間は3つか4つしか覚えていない結果となる。人間の方がはるかに大きな脳を持っているのに、チンパンジーより劣る。チンパンジーは一瞬で敵かどうかを見極める必要があるから、その能力は突出している。また四肢を失ったチンパンジーが、楽しそうに餌をもらい食べていたりする。「あの時あーしてたら」とか「将来どうなってしまうんだろう」とかの後悔や心配は彼らにはない。チンパンジーは見えるものしか見ていない。過去や未来は考えない。そう、彼らは今だけを生きている。

こんな話を聞いた人が、人間は修行してチンパンジーになるんだと言った。修行して退化するのだ。そんなことは嫌だし、冒頭に書いたように、人間が過去や将来のことを考えずに、今だけを生きることは無理なのだ。だから、人間が今を生きる、目の前のことをするには、過去も未来も射程に入れることが必要だ。そうすると自然に今を生きれるようになると思う。過去や未来にまつわる不安や恐怖の感情を認識し、それが身体のどこで感じるかサーチして、その部分を伸ばすことで、その塊をほぐす。そうすると元あったエネルギーに戻り、それを巡らせることができる。それは過去や未来から感じる不安や恐怖を受け入れている状態。そして自然に目の前のことをすることができ、今を生きることができる。(この方法は人に教えてもらいました。素晴らしい方法です。)