ウルトラQ第28話「あけてくれ!」を観た
最終回その2。これぞウルトラQという感じで、素晴らしい。前回がレギュラーキャラクターの活躍によって締める最終回だとすれば、今回はウルトラQという作品全体が纏うミステリアスさと悲哀によって締める最終回。
こういう言い分けをするのなら、制作順での最終回「地底特急西へ」は子供向けSF作品としての最終回、脚本順での最終回「ガラモンの逆襲」は怪獣モノとしての最終回というのがいいでしょうか。
ともかく、今回はウルトラQというミステリアスSFの最終回としてもひとつの作品としても本当に素晴らしいものだったと思います。家庭は崩壊し、会社では怒鳴られるサラリーマンの悲哀。「2020年の挑戦」でもあったように作中作がヒントとして登場するのもいいです。「2020年の挑戦」にて宇多川刑事役だった柳谷寛さんがキーパーソンとして出てくるというのも、ウルトラQを代表する回を再演しているかのようで良いです。
誰もが一度は抱く「ここじゃないどこかに行きたい」という気持ちに強く突き刺さるお話。そういう想いを抱く当人を取り巻く環境と、事件の謎解きが交互に描かれる流れも美しい。ビタミン剤の瓶を放り投げると同時にカットが変わり車が走っていく演出、すごくおしゃれに感じます。
はじめは「あけてくれ!」と叫んでいた男は、最後には「連れてってくれぇ…俺も連れてってくれ!どこへでも連れてってくれー!」と叫びます。無慈悲にも男を置いて去っていく列車と「もしあなたが、理解ある異性や、温かいご家庭がおありでしたら、夜の電車はくれぐれも気を付けてお乗りください」という、描かれている人物とはまるで逆の人に向けたナレーション。こういうちぐはぐさもウルトラQらしくて好きです。そして「連れてってくれー!!連れてってくれー!!俺も連れてってくれーー!!!」気が触れたように叫ぶ男に、「終」の文字。素晴らしい。ハッピーエンドがどこにもない。これぞウルトラQ。友野さん、俺も連れてってくれ。
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