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ホル子のブラジャー紹介(4)チョコミント配色の水玉にピンクのレース

 ブラジャーに関する難問のひとつに「ブラジャーはどこまで見えてよいのか」というものがある。正直よう分からん。下着が見えてしまうのは基本的にはカッコ悪いことのはずだが、構造上、襟ぐりや短い袖からブラ紐が覗くくらいは仕方ないものとして許容されている気がするし、なんなら一時期「見せブラ」が流行ったこともあった。2006、7年だったかな? 「見せブラ」は「魅せブラ」なんて表記され、カップ上部や肩紐に一定の装飾をもつブラはどうやら見せてもいいらしい方向になった。そうすると、わざと見せる用の可愛い肩紐が売り出され、それに伴い肩紐付け替え可のブラが売り出され、さらにブラにつける用のアクセサリーが登場した。ひとつ買うとそれに付随して何か買ってしまう仕組みになっており「なるほど、こうやって消費が作り出されるんやな~!」と感心しつつ私もブラアクセサリーを買うなどし、俗にいうところの「経済回してる」感を味わった。そういうものは流行が過ぎると急に恥ずかしいものになるのもおかしなことである。ちなみに私が買ったアクセサリーは、キラキラがついたチェーンの両側がフックになっていてそれぞれ左右の肩紐にひっかけるとネックレスみたいになる……というものだったんですが、その後そんなものを使ってる人をとんと見ない。あれってほんまに流行ってたんか? 存在してたんか? でも物持ちがいいので未だに年に一回くらい使う。
 そんなわけで「ブラジャーはどこまで見えてよいのか」問題の答えは流行によるところも大きいと思われ正解はなさそうであるし、私は、「肩紐が可愛いやつ、及び、色が下着っぽくないやつ(すなわち白・ベージュ・薄ピンク等以外)は見えてもよい」という基準を勝手に設けている。

 ところで「魅せブラ」が流行った心理はなんか分かる。以前タモリが「女の人はいいよね、あんなに綺麗なものを身に着けられるなんて」というようなことをブラジャーについて言っており、そのときは、いや息苦しいし夏は暑いし面倒なんだよと思ったが、一方でタモリの感慨も分かる。ブラジャーって、多様な色やデザインがありレースやチュールや刺繍や繊細な装飾があの小さな生地に宝石箱の如く詰め込まれ、面倒な一方で魅惑的な存在だ。文明とはだいたい面倒かつ魅惑的なものかもしれないが(突然でかくなる主語)、ブラジャーはそれでいて基本的に他人の眼にふれることはなく、服の下に秘められている。そりゃあたまには外に出してあげたくなるよね。
 本日のチョコミントブラがまさにそんな、服の下でじっとさせておくのは勿体ないようなやつ。学生の頃にカナート洛北で買った(注:現洛北阪急スクエア。京都市左京区のショッピングモール。2018年名称変更とともにフロアも大幅に変わりこれを買った下着屋ももう無いが、住民の多くは今でも「カナート洛北」と呼ぶ)。見つけたときは「チョコミント!!」とテンション上がって迷わずレジにGOした。その後寄った大学で研究室の人たちに「さっき可愛い下着を買った!」と自慢したのを覚えている。「カナートで買った」と言うと「カナートかよ!」とつっこまれたけれど(カナートはまあそういう感じの扱いであった)。この日はもうちょい大人ぽい下着を買うつもりで百貨店の下着屋にも行ったのだったが買いそびれて、結局カナートでこれに出遭い、また安くてカワイイやつになっちゃったなあと思ったけれども満足だった。

 チョコミント配色の水玉模様。この類のデザインはときどきあるが、ミントグリーンが薄すぎたりチョコに当たる部分の色がなんか違ったり、水玉が小さすぎたり(私は大きめの水玉が好き)、なかなか好みのチョコミント柄に出会えない。そんな中でコレは文句無く好きなタイプのチョコミントである。ベビーピンクのレースも良い。
 チョコミントはデザインとしてだけでなく食べ物としても好きだ。ここ何年か急に流行り始めた気がするチョコミント、日本で最初に導入したのはサーティーワン・アイスクリームで、2016年頃からTV番組で特集されたり「映え」が注目されたりしてブームになったらしい。自分のチョコミントとの出会いはいつだろうと思い返せば、中学の頃セブンティーン・アイスのチョコミントを買ったのが最初だった気がする。それまではそもそも薄荷のキャンディも食べられなかったっけ。当時のチョコミントはまだ舶来感もあり、大人ぽい食べ物だった。友人らと塾をサボってしけこんだダイエーで、自販機で買って階段で食べるやさぐれ感もよかった。
 当時の塾サボリ仲間のひとり・ナメちゃんとは、つい数年前も一緒にチョコミントツアーに行った。チョコミント好きのオーナーのお店でチョコミントパフェを食べた。鮮やかなミントグリーンが美しく、「チョコとミントの配分が絶妙」「ミントの強さもちょうどいい」「同じチョコミン党員が作ったのが分かるね」と言い合った。チョコミント好きはなぜか女性が多いようだ。芋も蛸も南瓜もさほど好きでもない自分は味覚にどれほど男女差があるのかよく知らないが、食べ物の趣味が合う男性とチョコミントにおいてのみ相違する、ということがそういえばあった。彼らは一様に「チョコミントなんて歯磨き粉の味じゃないか」と言う。これはアンチチョコ民党員の決まり文句らしい。なのでナメちゃんとのチョコミントツアーは、女学生が秘めたるときめきを共有し合うような趣きもあり愉快だった。後日、ナメちゃんが「チョコミント味の歯磨き粉」をプレゼントしてくれた。使ってみたがガチチョコミントすぎて、食物として認識すべきか否か舌が困惑していた。逆説的(?)に、本来歯磨き粉はチョコミントの味ではないのだな、ということがよく分かり、「チョコミントは歯磨き粉の味」説の反証が得られた。


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