ラオス旅行記 #7:クアンシーの滝
2022年に訪問したラオスの旅行記です。写真多め。
クアンシーの滝へ
ルアンパバーン4日目。朝のメコン川は曇り。
のんびりすることが目的でルアンパバーンに来たが、なんだかんだ毎日早寝早起きをしている。これはこれで健康的で良い。長時間のデスクワークで鈍った身体も元気になってきた気がする。
メコン川を眺めながら、宿の朝食を食べる。お粥とたまご…だけだと絵面がやや質素だが美味しい。パクチーが好きならもう少し彩があっただろう。
この日はルアンパバーン中心部から少し離れ、クアンシーの滝を見に行く予定だ。
クアンシーの滝に行くには車が必要で、あちらこちらにいるトゥクトゥクで行くことも可能だが、私は宿のオプションで連れて行ってもらうことにした。
同行者は同じ宿に泊まるフランス人ファミリーだった。親子でルアンパバーンとは思い出になりそうだ。
車でひたすらに道を進むと、野良犬ならぬ野良牛が出てきた。水牛だろうか。どこか近くで飼われているとは思うが、道端で出会うとびっくりする。
クアンシーの滝は観光地化されており、エントランスに向かうまでもお土産屋が立ち並んでいた。とはいえ呼び込みなどはなく、あっさりしているところがラオスらしい。
入り口でチケットを買い、中に入る。
クアンシーの滝についてはよく調べず訪問したが、道を行くと熊がいた。どうやらここで保護されているらしい。熊グッズまで売られており、ここだけさながら動物園のようだった。
更に進むと、大木に囲まれた開けた道に出た。マイナスイオン…とか言うと急に浅い感じになってしまうが、清々しく癒される空間である。
もう少し進むと、念願の滝の前に池が見えてきた。
ところがこの池が既に信じられないくらいに美しい青色なのである。エメラルドグリーンの絵の具を溶いた後の水のようだ。
ここからは美しい水を眺めながら道を進んだ。どこを見ても絵になる。
少し大きめの池では、観光客が泳いでいた。欧米人はすぐ泳ぐな?
鬱蒼とした木々が晴れたところに、クアンシーの滝があった。美しすぎて作りもののようだ。ディズニーシーあたりにありそうだ。
一見ここが終着点のようだったが、噂では「更に上に滝壺がある」らしい。その道はどこに…? と探していると、滝の奥の方に登れそうなルートを発見した。
全員ではないが数名登っていく観光客がいたため着いていったが、ここからが計算外であった。こうした観光地では「舗装されていない」道が当たり前にあることを忘れていたのだ。
滝壺へのルートもそうで、段差はめちゃくちゃ、手すりも無し、土はぬかるみ、少なくとも運動不足の人間が容易に登れるものではなかったのだ。
それとも恨むべきは己の身長なのか。ふと前を見ると、脚の長いフランス人ファミリーがすいすいと登っていくところが見えた。
それでも登り始めたからにはやるしかない。
脇目もふらず、写真を撮る余裕もなく登り続けたところ、ようやく開けた場所に出ることができた。
噂の滝壺は、噂通りに実に美しい場所であった。
滝も美しかったが、ここは青色がより濃くなり、楽園のような空気がある。これは頑張って登った甲斐があった。
思わず水に足を浸してみる。疲れた足にひんやりとした清らかな水が心地よい。
登り切ったご褒美をしばし堪能しつつ、この後のことに再び気持ちが沈みかけていた。
そう、山は登ったら降りる必要があるのだ。
先程の道を今度は降るのか? 無理では? と嘆いていたところ、どうやら奥に別のルートがあるようだった。
きっとこちらは楽に違いない…! と考えたのも束の間、同じくらいにハードな山道を降りていくはめになった。
急な登り道も怖いが、急な降り道もまた怖い。手すりがろくにないため、案の定ぬかるみに足を取られて尻もちをついてしまった。
ルート案内もろくになく、二手に分かれた道の一方は階段が水没していた。これは正規のルートなのか、”だった” ものなのか。
幸いもう一方は通ることができたが、人もまばらなため「ここで落ちたら発見されないだろうな」という気持ちになる。つらい。
それでもなんとか下山することができた時は喜びで一杯だった。そこに山があるから登るのだとか言う人間の気持ちが全く分からん。
ほっとしてお土産屋で焼きバナナを買って食べ、帰りの時間まではトゥクトゥクのおじちゃんたちに絡まれお喋りをして過ごした。
夕暮れのメコン川
クタクタの状態で宿に戻り、再びメコン川をだらだらと見ながら休憩することにした。川沿いの船からは、地元の少年たちが代わるがわる飛び込んでいる。
またまたビアラオ。不思議なくらいに本当にこの気候と開放的な景色に合いすぎる。東京でもきっと飲めるだろうが、この時感じた美味しさはきっと味わうことができないだろう。
クアンシーの滝でスカートがお釈迦になったので、昨日のナイトマーケットで購入した巻きスカートを履いてみる。宿の庭で会話して仲良くなったインドネシアのマダムに撮っていただいた。
朝は曇っていたものの、幸い夕空は綺麗であった。だんだんと空が暗くなり、山々の影が強くなる。静かな水面に時折小舟が通り、空にコウモリが羽ばたく。終始穏やかで特別なことは無いが、ラオスに求めていた時間と景色を達成できたひとときであった。
最後のディナー
明日にはルアンパバーンを発ち、帰路に着く。
最終日のディナーは迷った挙句、レストランで水牛を食べてみることにした。
入ったのはElephant Restaurant。幸い予約なしで入ることができた。ビアラオにするつもりが、ルアンパバーンビールを見つけたのでこちらにした。
注文したのは水牛のステーキ。これで1600円程なのでとてもリーズナブルだ。
昼に遭遇した水牛を思い出しつつはじめて水牛を食べたが、筋肉質で固く、さっぱりとしたお味だった。
そして何より、パンとバターが美味しい。ベトナムもそうだったが、やはりフランス植民地時代の名残でこの手のパンが美味しいのだろうか。
食べ終わり、ルアンパバーンのメインストリートをふらふらと歩く。ナイトマーケットから外れた場所はだいぶ暗い。
なんとなく、またナイトマーケットに寄り道をした。
なんだかんだ毎日訪問していたし、お気に入りのポーチのお店にも三日間通ってしまった。さすがにお店のお姉さんも「あんたまた来たの?」とでも言いたそうな少しばかりの笑顔で、長時間吟味する私のためにプラスチックの椅子も貸してくれた。そしてこの日もまたポーチを買う。
これでナイトマーケットでの買い物も終わりだ。
宿へ戻るトゥクトゥクの座席から、遠ざかるナイトマーケットを眺める。キラキラとにぎやかな明かりが遠ざかると、少しだけ名残惜しさを感じた。さよならルアンパバーン。
いよいよ明日ラオスを発つ。
つづく
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