ウズベキスタン旅記録 #3:イチャン・カラを歩く
2019年に訪問したウズベキスタンの旅行記です。写真多め。
#2はこちら:世界遺産都市・ヒヴァ
朝のイチャン・カラ
昨晩の決意を胸に、朝焼けの中のイチャン・カラが見たくて早起きをした。
日中は人や露店で賑わっていた場所も、朝はちらほらと早起きの住民がいるだけでとても静かだった。
イチャン・カラの中でも特に目立つこの円柱型の建築物は、カルタ・ミノルという。
26mもの高さがあるが、実は未完状態のミナレット(塔)で、本来はもっと高いものになる予定だったらしい。
カルタ・ミノルの特徴は、なんといっても全面を覆うタイルだろう。青や水色、白などのタイルは角度によって朝日に照らされてキラキラと輝いており、さざなみのようで美しかった。
散歩していると、同じく朝の散歩中の観光客から「ギュナイドン」と言われた。咄嗟にそれがトルコ語の挨拶だと思い出し、反射的に「ギュナイドン」と返した。
トルコ語の勉強をしたのはほんの一瞬だしもはや忘れていたのに、不思議と思い出せるものだ。
日中に見た街は強い陽の光と影とのコントラストが印象的だったが、朝日の中で見る街は優しい色合いをしており、また別の美しさがあった。
ミナレットを登る
一通り散歩した後は、ホテルに戻り朝食を食べた。
ブッフェ形式。手前の薄いナンのような食べものは「ノン」と言うもので、ウズベキスタン各地で食べられる。地域によって厚みが違うらしい。
睡眠も食事もばっちり整ったところで、イスラム・ホッジャ・ミナレットに登ることにした。登るなら体力が一番ある今だ。
このミナレットは高さ45mあり、ヒヴァの中では最も高い。
1910年建造と比較的新しい建築物ではあるが、当然エレベーターなどは無いので己の足腰勝負となる。階段は全部で118段。
…軽い気持ちで登り始めたところ、違和感に気づいた。当たり前のように手すりが無いし、しかもひとつひとつの段差が高いのだ。加えてまぁまぁな角度があるので、うっかり落ちたら怪我をするか普通に死にそうな気がする。
そんなわけで写真を撮る余裕もなく、「登る」というより「よじ登る」形でなんとか登頂を果たした…。
ぜぇぜぇ言いながら登りきった後の写真がこれ。
軽い気持ちで登るものではなかった…。
後ろから男性2人組が登ってきたが、2人とも同じように息が上がっていた。
互いに言葉が通じなかったものの、辛い気持ちだけは確実に通じ合い、思わず一緒に記念撮影をした。
とはいえ、頂上からヒヴァを眺める経験ができたのはよかった。上から見るヒヴァは砂で作られた魔法の王国のようだった。
悲しいかな、降りる頃には速攻で筋肉痛になっていた。(この後、数日間苦しむことになる)
金曜日のモスク
再び散策を開始し、ジュマ・モスクに入った。
ジュマモスクとは「金曜日のモスク」という意味。10世紀に建立され、何度も修復を繰り返しながらこの地に残ってきたそうだ。
モスクなのでミンバル(説教壇)もある。
ミンバル好きなのでテンションが上がる。
ジュマモスク最大の特徴は、多数の木製の柱。
全部で213本あり、それぞれ異なる紋様が彫られている。
現在のモスク自体は18世紀に修復された姿らしいが、柱の中には10世紀に建てられた時点から現存するものもあるらしい。
確かによく見ると柱ごとにツヤも素材も異なる。このあたりは古そう。
また、モスクには中庭のような日が差し込むスペースもあった。
静寂の中、差し込む光が美しい。
が、だんだんと気づき始めたが、ウズベキスタンの人々は観光名所のど真ん中で商売をする傾向があるらしい。理には適っているが、本当に「ど真ん中」なのだ。
ここでもモスクの美しさに浸る間もなく、中庭で待ち構えていたおばちゃんに毛糸の靴下をゴリ押しされた。
お、おばちゃ〜ん。。
2$だった(負けた)
アイヴァン様式のモスク
ヒヴァにはアイヴァン様式のモスクが複数ある。
「アイヴァン」は「テラス」という意味らしく、その名の通り大きなテラスがあるのが特徴である。
クフナ・アルク
壁のアラベスク模様が綿密。
見事なアラベスク模様に感激しながら天井を見上げると、不思議とアジアを感じた。
壁は明らかにイスラム文化だが、天井の色や模様からは中国や唐の時代の影響を感じる…。シルクロードの一拠点として、やはり影響を受けているのだろうか。気になる。
タシュ・ハウリ宮殿のアイヴァン
こちらは柱が一本のアイヴァン。「タシュ・ハウリ」は「石の庭」という意味らしい。
こちらの天井は、クフナ・アルクとはまた違う印象だった。
こちらも朱色が特徴的ではあるが、先程と違いイスラムの印象を受ける。不思議。
二階のテラスの天井も、よく見ると何か模様があるようだった。
このあたりのタイルには、よく見ると番号が振られているものがあった。
繊細で複雑なアラベスク模様を間違いなく組み立てるには、番号が無いと難しいのだろう。作り手の様子が垣間見れて面白い。
なお、アイヴァンでもやはり「ど真ん中」でウズベキスタンのおばちゃんたちがたくましく商売をしていた。
ウズベキスタンの紙幣
どこだったか忘れてしまったのだが、小さなエリアにウズベキスタンの紙幣が展示されていた。
なんとなく文化の遷移を感じて面白いので載せておく。
ヒヴァの人々との交流
広場でにぎやかな声がするので向かったところ、人形のパフォーマンスをしていた。
昨日露店に人形の頭(の作りかけ)のようなものを見かけたが、完成形はこうなるらしい。
写真を撮らせてもらおうと近づいたら、「Oh〜! iPhone eleven〜!!」と謎の歓迎を受けた。
発売されたばかりのiPhone11、こんなところで人気になる。
イチャン・カラの入り口のひとつ・東門には、室内のお土産売り場があった。
お昼時だからかいつもなのかは分からないが、外のお土産屋と比較すると店員さんの押しが弱く、ゆっくりと見ることができた。
英語が話せるお姉さんがいたので会話していると、「日本人はどうしてそんなにお肌がつやつやなの? 歳をとってもつやつやよね」と言われた。
ウズベキスタンに行く前だったら答えは分からなかっただろうが、この二日間過ごした中で確信した答えがあった。
絶対に乾燥が関係がある!
というのもヒヴァの乾燥は想像以上で、二日目にして既に指先はささくれ、鼻の中まで乾燥していた。加えて砂埃もすごいので、シャワーを浴びると自分から砂色の水が出てくるのだ。
この乾燥と強い日差しの中で毎日を過ごしたら、そりゃ肌も乾燥するしシワも濃くなるだろう。
それに比べ、日本の湿度よ。夏は潤沢すぎる湿度よ。
美容品などの違いももちろんあるだろうが、普段は憎い湿度も、そう考えると悪くないのかもしれない…と思えた。
城壁内には多くのお土産屋があり、その中で青年が手づくりしているマグネットを購入した。
今朝見た朝日に照らされたカルタ・ミノルとミナレットを思い出す色だった。
別のお土産屋では、山盛りのスザニの中で猫たちが昼寝をしていた。店主は猫を起こさないように静かに接客してくれた。
再びのシュヴィト・オシュ
休憩がてら通りに面したカフェに入ると、ここにも夏季限定のはずのシュヴィト・オシュがあったので迷わず注文した。
再びのシュヴィト・オシュ。昨日のものより美味しい!
お茶のポットもウズベキスタンならではの柄でとてもかわいい。
この日は平日にもかかわらず、通りでは結婚式がやっているようだった。実は祝日だったりするのだろうか。
にぎやかな音楽に耳を傾けながら、この後はどこに行こうかとぼんやり考えた。
つづく
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