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ラオス旅行記 #5:朝市とルアンパバーン散歩

2022年に訪問したラオスの旅行記です。写真多め。


ルアンパバーンの朝市

ルアンパバーン初日は順風満帆だったが、最後の最後で持ってきていた常備薬の一部を蟻によって失うという事件が起きた。
どうやら糖衣錠の「糖」部分に目をつけて侵入してきたらしい。慌ててピルケースごと水没させたが、巻き添えでビオフェルミンが水に溶けて消えていってしまった…さらばビオフェルミン…。
図らずも「糖衣錠も蟻にとってはごちそう」という教訓を得た夜であった。

気を取り直して、ルアンパバーン2日目。
ホテルの朝食は2種類あり、この日はエッグベネディクトをいただいた。日本だとあまり食べる機会のないドラゴンフルーツ付きなのも嬉しい。

とはいえできればもう少しラオスらしいものも食べたい。ということで朝食後に朝市に向かってみることにした。

朝市はホテルのすぐ裏で開催されており、人でにぎわっていた。昨日夜に同じ通りを歩いた時は暗くて閑散としていたが、朝はまるで様子が違った。

食材もあれば、その場ですぐに食べられるようなものも売られている。
網の上ではごろりとした肉が焼かれており、香ばしい匂いがあたりに漂っている。

青々とした野菜たち。日本でよく見るような野菜もあれば、名前がわからないものもある。

魚も豪快に売られている。ラオスは海に面していない内陸国なので、これらは川魚だろう。それにしても大きい。

肉屋。魚同様、豪快に塊で売られている。

蜂の子や花や豆、黒い羽毛の鳥など。羽をむしる前とむしった後ので売り分けているのは値段が違うのだろうか。その横の花も食用なのだろうか?

生きている小鳥もいたが、これは恐らく食用ではなく、放鳥用であろう。「放鳥」は仏教の世界において徳を積むための行為だそうだ。

これまでの国でもいくつか市場は見てきたが、ルアンパバーンの朝市から受けた印象は「エネルギーの塊」であった。
新鮮な野菜や果物と、生きものの肉塊。並べられた肉の塊をかじる大きなハチに、売られる蜂の子。籠に入れられた小鳥たち。飛び交う言葉と、充満する網焼きの香ばしい煙。
あらゆる”生”がここに凝縮されているようで、これまで見てきた市場とは全く違う印象を受けるばかりであった。だから市場は面白い。

せっかくなので朝市でも軽めのものをテイクアウトすることにした。言葉が通じず品物の名前も全くわからないが、ココナッツっぽい食べられそうなものを購入した。

天気も良いので、ホテルのバルコニーでいただくことに。
ラオスは基本包みが葉っぱでエコである。食べてみると、ココナッツの餅菓子のような食べものだった。中に餡のようなものも入っている。予想以上に美味しいが、名前が分からないのが残念だ。
昨日のパンケーキといい、ラオスのお菓子とは相性が良いかもしれない。

ワット・シェントーン

ルアンパバーンにはたくさんの寺院があるが、今日はその中でも有名なところに行くことにした。

ワット・シェントーンは1560年に建立された寺院で、本堂の裏にあるモザイク画が有名だ。ここは有名どころということもあり、暑い中でも観光客がちらほらと訪れていた。

これが本堂裏のモザイク画。「マイトーン」というそうで、「金の木」を意味するそうだ。大樹と鳳凰、その下に人間とさまざまな生き物が描かれている。モザイクは日に照らされキラキラと輝いていた。

本堂裏のモザイク画を代表に、この寺院の装飾は全体的に鮮やかでキラキラしていた。
大乗仏教と上座部仏教の違いはあれど、日本と同じ仏教でもこんなに違いがあるものなのか。もしかしたら、その地の気候や日の強さが影響してこんなにも鮮やかで力強い色合いなのかもしれない…など、ジリジリと太陽に照らされながらぼんやりと考えた。

また別のお堂の中には、巨大な神輿のようなものが収められていた。龍のような蛇のような。なんとも迫力がある。

寺院の壁は黒地に金の模様がほどこされており、モザイクとは違う華やかさがあった。塗装は新しく見えるが、塗り直してるのだろうか?

黄金の仏様。周囲だけみると日本の寺院を思い起こさせるのだが、やはり仏像の金色がより派手である。
日本の仏教寺院に通ずる部分もあれば、少しずつ異なる部分もあり、文化の派生と土地固有の色合いを感じた。

伝統芸術民芸センター

ワット・シェントーンの後、ラオスの民芸品を紹介する施設も訪問した。
入場料は25,000キープ。

ラオスは多民族国家である。53%はタイラオ族が占めるが、もう約半分は異なる民族が複数占めている。それぞれが特徴的な言語や宗教、文化を持っているそうだ。
この施設では、複数の民族の工芸品や暮らしを紹介している。

天蓋や刺繍が施された布たち。

民族の衣装。刺繍の模様は民族ごとに異なるそうだ。ロングスカートがあればほしい…。

展示の終わりには、フェアトレードの販売エリアがあった。各民族の展示を見た後だとより欲しくなってしまう。迷った結果、ここでは馬の人形を買った。

トゥクトゥクとナムカン川

この日もルアンパバーンは暑かった。
暑がりなため日本なら日傘を持ち歩くタイプだが、海外では野暮かしら…と思い置いてきたものの、現地のお坊さんが日傘をさしている姿を見て拍子抜けしてしまった。暑いものは暑いよね。

そんなわけでこの日は我慢せずにトゥクトゥクに乗ることにした。日陰が少ない中歩き続けるのは限界がある。

向かう先は、川を越えた場所にある。ランチを食べに行くのだ。

今日のランチはDyen Sabai Restaurantという場所でとることにした。人気そうな口コミを見て訪れたが、時間の問題なのか時期の問題なのか、訪問した際は全く客がいなかった。

人がいなさすぎて、川沿いの広い席を独り占めしてしまった。もはや寝られるスペースだ。日陰が心地よい。

とりあえず、ビアラオ。
他のドリンクも考えたが、やはりこの暑さには氷入りのビアラオが最適なのだ。いくらでも飲めるような気がしてくる。

ここでは気になっていたラオスの海苔料理を食べてみたかったのだが、googleマップに載っていた写真を見せると今は無いとのことだった。残念。
どれがラオスらしいのか見当つかず、豚肉団子と豆腐のスープというヘルシーなものを頼んでみた。

運ばれてきた料理は、思いの外大きいサイズだった。鍋…壺? もなんだかかわいい。一緒に餅米(カオニャオ)もどうだとのことだったので、合わせていただくことにした。

が。私はうっかりパクチーの存在を忘れていた。ラオス3日目にして気が緩んでしまっていたようだ。
注文の際に「ノーコリアンダー」と伝えることを忘れていたため、泣く泣く時折スープに浮かぶパクチーと出会うことになった。やはりパクチーは全く克服できる気がしない。

食べ終わり、相変わらず客のいないレストランでぼんやりと過ごす。ふと目の前の川を眺めていると、橋に人が集まり始めていた。

レストランの前にかかる橋は竹製で、雨季になると毎回川の増水に伴い水没するそうだ。そして再び作り直され、また雨季になると流される。
毎年これを繰り返しているそうで、今回はちょうどその「作り直し」のタイミングだったようだ。
爆音の作業用BGMと共に、手際よくてきぱきと作業は進んでいった。

しばらくぼうっと眺めていたものの、どうやら私は何もせずにぼうっとするのが苦手なようだ。だからあまりリゾート地に惹かれないのかもしれない。
耐えきれず、クロッキー帳に落書きを始めていた。
これに気づけただけでも今回の旅は価値があると思おう。

ランチを食べて回復したところで、レストランを後にした。
近くにあった雑貨屋を見た後は、川を越えて戻るために橋へ向かった。

先程の橋以外にも丈夫な橋はあるのだが、木製な上に隙間が空いている。スマホを落としたら終わりだな。サンダルが挟まれても嫌だな。隙間にヒヤヒヤしつつ、橋を渡った。

ワット・ヴィスンナラート

橋からホテルの方に戻る途中、ワット・ヴィスンナラート寺院に立ち寄った。ここはルアンパバーンに残る寺院の中でも最古のものだそうだ。
入場料は20,000キープだった。

入口に近づくと、私の服装が黄色のワンピースだったからか、入口にいたおばちゃんに「お坊さんと同じ格好(色)ね!」という感じで大笑いされた。意図してなかったが確かに色味がそっくりだ。

中は大量の仏像が並べられており、ここはちゃんと説明書きがあるタイプの寺院だった。

説明によると、仏像のうち指先が反り返っているものはルアンパバーン式の仏像だそうで、「雨を呼ぶ姿勢(Calling for the rain position)」というらしい。ルアンパバーンにも雨季があり全く雨が降らないわけではないが、やはり雨乞いという文化があるのだろう。

こちらの仏像は「お断りします」に見えてしまうな…。

すぐ近くにも別の小さな寺院「ワット・アハム」があったのでお堂の中に入らせてもらった。

やや暗いな…と思っていると、なんと仏様の後ろに電飾が飾られてるではないか。更に周囲の壁画もよく見ると派手である。急なパーティー感。同じ地域の寺院でも、こんなに違いがあるのは面白い。

再びのナイトマーケット

ゆるゆるとホテル付近に戻り始めると、昨日同様ナイトマーケットの準備がはじまっていた。
今日の夕飯は、ナイトマーケットの近くにある屋台でカオソーイを食べることにした。

2回目のカオソーイ。ここもなにかで評判を見て探したお店なのだが、昨日よりもピリ辛で濃く、挽肉もたっぷりで美味しい。日本でも流行りそうなのに。

昨日同様野菜は別添えだったのだが、ここの「いんげん(?)」がめちゃくちゃに美味しくてビックリしてしまった。えぐみが全く無く、ポリポリした食感がとても美味しい。いんげんに感動したのは生まれてはじめてだ。

思い返すと、果たしてあれは本当にいんげんだったんだろうか? 今でもいんげんを見る度に、「ルアンパバーンのいんげん、美味しかったな」と思い出してしまう。

食後、再びナイトマーケットをふらふらと練り歩く。昨日も一通り見たはずなのに、今日は今日でまた発見があり楽しい。こうしたマーケットは2日目からが本番に思える。

昨日も訪問した刺繍作品のお店にも再度訪れてしまった。やはりここの刺繍が一番かわいい…。

こうしたモチーフはどこの店にもあるのだが、何かを参考にしているのだろうか。

思い返せば朝市にはじまり、ナイトマーケットで終わる1日だった。劇的な何かがあったわけではないが、のんびりと気ままに過ごすことができた。まさに今回の休暇に求めていた時間だ。

たっぷり歩き回り、最後は昨晩同様バルコニー飲みで締める。今日は白のビアラオ。残り数日でどこまで種類を飲めるだろうか。

明日はルアンパバーン3日目。行きたい場所があるため、少し早起きをする必要がある。
明日の準備をしつつ、ナイトマーケットのにぎわいを聞きながら眠りについた。

つづく


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