#選択の代償 第45話
おはようございます、#選択の代償、私、亀川がお送りしております。
いよいよ、妻との交渉が始まりましたが、考えてみれば資金調達を考えた末に、その交渉相手が自分の妻になるとは考えてもみませんでしたね。(笑)
さて、昨日までの話に戻しましょう。
当時の妻は、東京に移って以来、専業主婦でしたが、そもそも、結婚するまでは小さな会社の経理事務にも携わっていたので、多少の事は理解できても、今のこの状況は全くと言っていいほど理解できていません。少なからず、私が社長になったら大変になると漠然と意識していたに過ぎなかったでしょう。
そして、現状において何が、どうなるのか?まだ何も考えることが出来なかったのは確かです。
高価な色紙の真意を知って、ゲンナリした事は確かです。そして、私「7月に資金調達したんだけれども、並行して進めていた本業そのものが結構、トラブル続いて、大赤字なんだ」・・・妻「そうなの?それも驚きだけど、始めた当初は、それなりなんじゃなかったの?」・・・私「まあ、これまで仕事してきた環境も、相手も、大きく変わっていて、思った以上に厄介事が多い」・・・と、これまでの仕事の
大まかな状況を説明した。すると、妻「まあ、最初はそんなに簡単にいかないのが当たり前でしょ?でも、なんとかするのが、貴方じゃないの?」・・・この状況で、初めてエールを聞いた気がしたが、私「それが、なんとかなりそうもなくて大事な相談があるのだが・・・」、妻「で、話ってなに?」・・・なんとも楽天的にさえ聞こえる言葉である。
私「実は、どうしても資金が不足してきて、私自身が最低限でもいいから資金を調達しなきゃならない状況なんだ」・・・妻「えっ?あなたそんなにお金持ってたの?いつ貯金してたの?」・・・私「いや、貯金など無いのは知っての通り。これから金融機関に融資を申し込みたいんだが」・・・妻「借金するの?・・・ドラマみたいだね(笑)」・・・私「いや、笑い事じゃなく真剣に崖っぷちなんだけど・・・そこで、この住んでるマンションを担保にしなければならないと思う」・・・妻「なぜ?このマンションを差し出すの?住む場所がなくなるの?(怒)」・・・私「そうではなくて、担保だから差し出すのではなく、もし返済ができなくなった場合は、明け渡すことになるけど」・・・妻「じゃあ、もしそうなったら、私たちはどこに住むの?生活はどうするの?」・・・私「そこで、その最悪のケースも想定しなくてはならない」・・・妻「どうすればいいの?」・・・私「それをこれから話し合わなければならない」
妻「話し合うって、私は仕事もしてないしどうするも何も、話し合う事なんて出来ない」・・・私「だから、幾つか対応策をここで考えたいんだ」・・・妻「そんなこと、いきなり言われても、何も考えられないわよ(怒)」
そもそも、過去に別居した事もあるので、この空気感での話は、数年前の蒸し返しにもなる。
妻「あの時の別居だって、あなたの一存で一方的に決められたことでしょ?もう一度、やり直すことになって、やっとこのマンションで暮らせるようになったのに、また、いきなりこんな話になるの?」・・・私「あの時の事は、申し訳なかったと反省している。今回の話は全く次元が違うんだ」・・・妻「何が、どう違うの?」・・・「そもそも、米国に行くことになった時も、黙ってついてこいって言ってたくせに、結局行かなかったでしょ?」・・・私「でその話まで遡るのか?」・・・妻「いつも、あなたに振り回される方の身になってよ!」・・・私「これまでの夫婦間の話をしてるのではない。今の会社の経営上の話をしようとしているんだが」・・・妻「そんなの、私には関係ないって言いたいわよ。あなたが社長だから、今でもずっと色々我慢してきてるのよ!」・・・「あなたには知らせてないけど、息子が喘息の発作で先月の夜中に救急車に乗ったのよ!」・・・
「それに、先週は私が倒れて隣の奥さんに頼んで医者に連れて行ってもらったのよ!」・・・
私は、言葉を失ったが・・・この自宅で起きていたことは既に過去の事だった。なんとも返す言葉もなく、沈黙が続いた・・・・
この日は、ここで話を終えた。肝心の話は出来ないまま、2日が過ぎた・・・
私は、これから自分がしようとしている事は、一体何のためなのか?自問自答し始めた。これまで、仕事至上主義的な価値観の中で自分を叱咤してきたため、自分の家族をほぼ顧みることなどなかった。そして、自分は何を追い求めていたのか?見失い始めていた・・・
果たして、ホントに自身で資金調達をしたところで、それが何のためなのか?何の価値があるのか?
ヒトにとっての幸福に対する価値観は様々であるけれども、自分にとっての幸福感って、何なのか?
そもそも、起業して経営をすることの真の意味や価値は何のか?
この続きは、また次回、お聞き逃しなく!