#選択の代償 第38話

おはようございます、#選択の代償、私、亀川がお送りしております。
皆様、いかがお過ごしですか?今年の梅雨は大変な自然災害で、各地でその影響もあったようです。また、以前終息しないコロナ・・・これからどうなっていくんでしょうか?
前回は、W社という機関投資企業が登場してきました。光物・青物・生物と色分けされた資本の評価があるにも関わらず、この会社に興味を示すというのは、この時は有難いと思うのですが、よく考えると、変ですよね?本来なら、避けられるべきなのかもしれません。
さて、本題に戻りますが、このW社との打ち合わせの後、妙な空気感を感じるようになります。それまでは、エイペックスジャパンがいい顧客を捕まえ、実績を上げることにより、財務状況を好転させ、企業価値を押し上げることによって、株価を維持しつつ、新たな投資家からの資本参加を狙うのがシナリオでしたが、ここまでで、なかなか思うように進めることが出来ていません。加えて、親会社の余波も受け、風評だけではなく財務面でも非常に厳しい状況です。
社内のスタッフのモチベーションもなかなか維持、高揚させることもできぬまま、時間が過ぎていきます。そこで、社員全員での営業活動の方針を打ち出しました。

とにかく、社内の20名強のスタッフ全員に、自分の友人・知人・親戚含め、このエイペックスジャパンの会社を知ってもらい、何かしらの案件を拾っていこうという事で、行動計画を立てて進めていきます。その中で総務担当の方にもお願いしたのですが、『私は、営業はできません』といきなり辞表を出されましたね。まあ、当時、50代後半の方だったので、それまでの経験やプライドが許さなかったのかもしれませんが、即答でしたね。(笑)
その中で、当時の書籍流通、製造メーカー、などの企業に声をかけて訪問したりしましたが、なかなか案件が拾えない状況でした。改めて、無形のものの販売の難しさを痛感しました。それには幾つかの表層的な要因はあったように思います。
一つは『インターネット』という仕組みの活用価値を論理的に説明できなかったことが挙げられます。当時は、まだHPそのものの認識が低く、かつ単純にアナログとデジタルの比較の視点しかなかったように思います。それは相手側もこちら側も同様で、インターネットなる言葉の理解が非常に浅かったためです。2000年頃、当時の森内閣が「IT政策」なるものを打ち出していましたが、それ自体を一部マスコミが揶揄するような状況でした。しかし、この当時の時間軸の流れは、現在の日本でも引きずっている感があります。
そして二つ目は、営業(販売)する際の勝ち筋(案件獲得)のシナリオがあまりにも稚拙だったように反省します。

この当時、サイバーエージェントがi-modeを活用し携帯電話による広告事業でユニコーンとして登場し、その後、楽天市場(現、Rakuten)が、ECサイト事業で勝ち組に名乗りをあげていましたが、市場経済におけるその存在感(占有率)はかなり低く、大手企業も含めまだまだ、マイナーな存在と位置付けていたように思います。それ以上に、企業におけるPC一人1台の状況が非常に少ない事もありました。市場の成長速度が非常に遅かったのかもしれません。一方で携帯電話市場は活況でした。光ショックはあったものの、あっという間に携帯電話の保有率は右肩上がりに成長していったことは事実です。この中で、無形のシステムを新規案件として販売していく際に、もっときめ細かく、戦略や戦術を練っていく必要があったのかもしれません。
既に、抱えている独占的使用権の特許技術は、当時のエイペックスジャパンには持て余す結果となっていったようです。
そんな中、先のW社が連絡をしてきました。『ご紹介したい企業があるので・・・』早速、提案書を持って面談に臨みました。当時、ご周知の通りHPが一般化されていないので、事前にどんな企業であるかの下調べをしないまま面談してましたね。(笑)
その相手は、いわゆるECサイト構築をメインに、パッケージ型として企業に提供する会社でした。当時は、企業にサイト構築案件を獲得して、それから物販サイトを付加していくという流れが多かった。しかし、この物販サイトはほぼスクラッチのオンプレミスでの提案が殆どでした。

これを、一定のテンプレート(機能のパターン化)された状態にして、これを元に、ECサイト構築の案件を提案するといもの。
ここに、UIとして我々の特許技術をバンドルして販売協業していこうという趣旨でした。確かに、当時も今もECサイトのUIの使い勝手の本質はあまり変わっていない気がします。ただ、当時はASP(Application Service Provider)も黎明期で後のクラウドサービスにつながるのですが、インターネットにおけるシステムの基本はサーバーにある一定のシステムを構築し、それをインターネット上に公開する為に、データセンターに置いておくことが一般的です。よって、データセンターとの契約、インターネットへの接続にけるプロバイダーの契約、という初期段階での投資も結構大きなものとなった。
このECサイトのパッケージ販売は、このサーバに相当する部分を予め用意して、システム上の場所貸し的な仕組みだった。楽天市場との違いは、楽天市場では、軒貸しであり、楽天市場に出店する形となっているが、このECパッケージは自社保有のサイトで、リアルでいえばリテールの街道沿いにお店を建てるイメージとなる。この頃、これらの比較検討がマダマダ認知されていなかったが、最近では、楽天からの撤退を表明する企業が増えてきている。理由としては、結果的に維持・継続における販管費があまりにも楽天のROIが低くなってきていることである。
この続きは、また次回、お聞き逃しなく!

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