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皮ふ4

ああ、くやしい。
あの女医に皮ふを台無しにされても、私の人生まで台無しにはさせない。

そう思ったら力がみなぎってきて、とりつかれたように勉強した。
受験まで4か月。逆算して1日の勉強量を決めた。前の日にやったことの復習と当日分。トイレとお風呂とごはんと塾のとき以外は自分の部屋にこもった。季節が秋から冬に変わっていくのを認識すると気持ちが焦るので、家族にクリスマスとお正月の禁止を申し出た。チキンやおせち料理はやめてほしい。あと、私が居間にいるときに季節の話題を出したり、テレビをつけたりしないで欲しい。カレンダーもしまってほしい。勉強中に痒みが出たときは痒い箇所を手のひらで強く叩いた。そのパンパン叩く音が近所に響き渡り、毎晩蕎麦を打っているのかと聞かれた。その日に勉強したことを忘れてないか気になって夜中に何度も目覚めたり、寝ている間も勉強している夢を見た。友達に、変なオーラが出てるよ、と別の友達経由で言われた。なんだってかまわない。第一志望に行けなければ本当に自分がダメになる。

最後の模試でもD判定だったけど第一志望は変えなかった。

これ以上失うものを増やしたくない。

前日の夜ギリギリまでいつものように勉強した。
世界史は受験の日の前夜に勉強した時代の問題が出て、古文も前の日に勉強した文章が出た。
数週間後、合格通知が来た。
興奮のあまり、普段電話しない親戚にまで電話をかけて合格の旨を伝えた。

なんとか踏みとどまることができた。

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