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❷ 国語1英語1だった私が50歳でニューヨークのコミュニティーカレッジを卒業し、現地採用された私が英語で日本語を教えるまでの道のり。

↑ーそのいちーのリンクです。お読み頂ければ幸いです。

何故ここに来たか? ーそのにー

犬みたいな名前のサロンでヘアカットをしていると同僚が突然「ねぇ のりちゃん、馬好き?」と聞いてきた。えっ?ちょっと変だと思う。この同僚は常識のある人だから私の施術中に突然意味不明な事を聞いたりはしない。でも、一様 礼儀として
「馬?競馬はしないよ。」
と返答をする私。
「いや、競馬じゃなくて、馬好き?」
更に突っ込んでくる。
「えー、好きか 嫌いかと聞かれたら、どっちでもない、の好きよりかな?」
本当にどうでもいい質問なので適当に答える。
同僚は黙って彼女のステーションに戻って行った。彼女も接客中だったのだ。
暫くしてまた同僚が
「ねぇ のりちゃん 犬好き?」
と聞いてくる。
私は
「まあまあ好きかなぁ。」
と答え、仕事を続ける。
私は一仕事を終え、スタッフルームに戻ると先ほどの同僚も休んでいた。
さっきの質問の意図を聞くと、中々興味深い事を言っていた。
彼女の担当したお客さんはアメリカ人のサイキックで、私を見て「彼女の前世が見える。」と言い出したらしい。当時の私は1700年代のフランスでナイトの乗っている馬や馬小屋にいる犬の管理を手伝っている少年だったそうだ。それを聞いても全く思い当たる節はないが、前世がフランス人と聞けばちょっといい気分になる。直接そのお客さんと話したかったなと私が言うと、そのサイキックはまだ施術の途中で今お手洗いに行っているだけだという。
トイレから戻ってきたサイキックはちょっと生活に疲れた感がでている大柄な白人女性だった。
「あのー、私の前世が見えるんですか?」
と私。
「うん、見えるね。人は1000回くらい生まれ変るけど、フランス人の男の子だった前世が一番今のあなたに影響があるよ。だからあなたを見たときその子が見えた。」
サイキックから直接聞くとなんだか不思議な気分だ。更に彼女は続けて説明をしてくれた。
「その子はねぇ、お茶らけているのよ、いつも。おどけて大人たちを笑わせるのが好きなの。面白い事をいったり、踊ってみたりして。あなたもそうでしょ?」
うーん。どうでしょうか?私はいつもおちゃらけてはいない。けれどもその資質はいくらかは持っていると思う。その場のノリで調子良く振る舞ったり、人を笑わせるために道化役に徹することも楽しめる。

 サイキックが言ってた事は暫く自分の中で反芻していたが暫くすると忘れてしまっていた。

 ある日、先輩がスタッフルームで突然私に向って、
「Bonjour! Mademoiselle Nori, comment allez vous?」
と言って来た。
「何? それ。」
何を言っているのか全くわからないので、ちょっとムカツきながら聞く。
「フランス語だよう。最近、麻布の公民館でフレンチを習い始めたんだ。」
フランス語の勉強がいかに楽しいか私に一生懸命説明してきた。インストラクターはカナダ人男性。公民館で学べるので駅前留学よりかなり格安だという。
当時私は英語を勉強をしなければいけなかった。勤務していたサロンのお客さんの約8割が非日本人なので、ヘアスタイリストに昇給した時に英会話教室に行くことが昇給の条件だった。しかし、英語の成績が中学時代''1“を取るぐらいなので英語の基本をまるで知らない。
 毎週、アメリカ人の駐在員の奥さんに英会話を教えてもらっていたが、苦痛以外の何ものでもなかった。彼女は私の上司のお客さんで、ヘアセットに毎週来店するので、私が休むと直ぐ上司にバレてしまう。
 何を血迷ったか、私は
「フランス語なら頑張れそうな気がする。そして逆転してやる!」
と考えた。
今の私は当時の私にこう言いたい。
「馬鹿たれ。フランス語を舐めんな!英語の習得もろくにできないくせに、フレンチなんて無理に決まってる!フレンチはねぇ、物凄〜く面倒くさい言語なの。数一つとっても、70の数が無いから60たす10と言い、80は4掛ける20、90は4掛ける20たす10!ね、分かったでしょ?あんたには到底無理だから。」
しかし、誰もそんな事を教えてくれず翌週のお休みに公民館に出かけた。

さらに続きます。

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