聖徳太子予言書は中世のでっち上げです。とりあえずその上で資料として評価する
五次元文庫は、あえてとりあげずにきた資料です。
岩波新書は、文献学に基づく、日本の予言書を整理解説したもの。
徳間五次元文庫は、徳間書店の得意分野であるオカルトシリーズ。聖徳太子の予言書を、ほんものとみなして、現代を解釈する。ただ、冒頭から四天王寺の元の名前が天王寺である、とか珍妙な説がいきなり語られる。
ただ、ほんの一部ではあるが、聖徳太子予言書の原文が掲載されているので、資料として買った。
聖徳太子の自筆文献だと最初に登場したのは、1007年に創作された、四天王寺御手印縁起、です。念入りに、聖徳太子の手形だと掌の朱印がいくつか押されている。無論、偽物であるが、平安末から中世、絶大な信仰を集めた。親鸞もこの縁起を引用して、和讃を書いています。
後に後醍醐天皇が書写し、自らの手印を押した。これは、後醍醐の本物の掌とみなされる、貴重な資料です。
偽書とはいえ、1007年の史料にはちがいなく、それなりの価値はあります。亀井水も、新しい愛称である亀井と書いたらうそがばれるので、白石玉出の水、とします。これも、本当の名前かはわかりません。
聖徳太子は自分のことを、長者、としています。金持ちという意味ではなく、仏教の支援者という意味です。
新潟市内に伝承する、長者のふせたるかめ、の長者が聖徳太子を意識したものである可能性はあります。新潟は親鸞が流刑になった所です。亀井水も御手印縁起も熟知していた親鸞の影響があるならば、亀井水そっくりのものがあったなら、長者の亀、と呼ばれてしかるべきです。
御手印縁起が前例になり、聖徳太子自筆とする予言書がどんどん生まれます。
ノストラダムスの大予言もそうですが、具体的なことは書けません。曖昧な寓話的表現で、どうとでも解釈できる、というのが、予言書の予言書たる由縁です。
だから、ここでも、引用はしません。
古事記日本書紀からして、偽書だと言えば言えなくもない。かなり、意図的に創作された歴史であることはまちがいありません。
どの時代も、偽書は創作されました。物語と歴史は、日本では常に混淆しています。
明治以後にも、日本を世界史に位置付けようと、さらに壮大な物語が登場します。
だいたい、時代小説と歴史を区別しないのが、日本人の習性です。
明治維新は、進歩的市民革命であった、というオバケがうようよしてますし。暴力クーデターと、伝統破壊の文化政策が、明治維新でしょう。
オマケ
noteの記事を書くのに色々調べていて、日本書紀で極悪人にされた蘇我蝦夷と息子イルカちゃんが、あまりにかわいいので、イラストお借りしました。
私も、鎌足極悪人、中大兄あんぽんたん説に大賛成です。日本書紀にはさりげなく、上宮王家集団自殺事件がでっちあげだと明記されています。イルカちゃんは悪くない。黒幕は鎌足と軽皇子だと思います。中大兄あんぽんたんは、利用されてイルカちゃんを殺害した半グレだろうな。
日本書記に明記された俗謡から、上宮王家消滅事件を解釈。乙巳の変クーデターを国際的な女帝の時代の大潮流のなかに位置ずける。
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