
梅田の街で、師走の風に、市バスの思い出にふける。また歳をこせるアルチュウは、みなさまに感謝する。

久しぶりに梅田の街を徘徊し、思い出した苦い記憶。
小学生の時は、バスに乗ることはまずなかった。
昔は前から乗り料金先払いで、後ろから降りる。今は中央に乗車口があるが、昔は後端に扉があった。
小学生の私はどちらが乗車口か知らなかったから、後から乗ってしまった。バスは満員で身動きとれない。
そのまま降車して、料金払いに前に行こうとしたが、バスはとっとと行ってしまった。
つまり、無賃乗車したのである。今でも良心の呵責にさいなまれるのである。
今は、バス停間で車内アナウンスで、「バスが完全に停車するまでお席をはなれないでください」と教えてくれる。昔は、降車するのにモタモタしていたら、他の乗客の目線が痛いと、バス停に着く前から降車口に移動するのがマナーみたいにおもいこんでいた。
エスカレーターの片側空けと同じ、まちがったおもいこみである。
車椅子のお客様があれば、運転手がスロープを取り付けてくれる。
その間待たされるのに、誰も文句は言わない。
降車にモタモタするのが恥ずかしいというのが、危険な思いこみだというのも、私は身をもって体験した。
次の停留所で降りるからと、席を立って前に移動しているとき、ちょうど停留所の前で運転手がかなりきついブレーキをかけた。私はつんのめって、前にいたおア兄さんに抱きついてしまった。兄さん、訓練しているのか、間髪いれず私の下腹部に膝蹴りをかまして下さった。
兄さんはさっさと降りて去ってゆく。私は運転手の横で痛みに耐えてしばし降車口の手すりにしがみついていた。
運転手はだまって待っててくれた。
あの時ほど、人生を呪ったことはない。
そういえば、健康保険証を廃止するらしい。現行の保険証は1年間は使えるから、あわててマイナカードを用意する必要はない。
昔は、大阪市の敬老パスはバスは無料だった。ただし、敬老パスは紛失したら再発行はできない。紛失したと嘘ついて何枚も敬老パスを手に入れて悪用するのを防ぐためである。
ある日、バスを降りるとき、運転手に健康保険証を見せて、堂々とただ乗りするお婆さんを見た。運転手は説明するのもめんどくさいのか、だまっていた。
今は、敬老パスは、市バス50円です。私は敬老パスをいただけるまで生きられたというのは、身に余る僥倖である。断酒できずにいたら、とっくにくたばっていた。アルチュウを支えて下さった、医療・福祉・断酒会のみなさまのおかげであります。
師走の梅田の街では、大太鼓とトランペットアンサンブルのみごとな路上パフォーマンスを聞かせてくれた。
また歳をこせる。

空には飛行機