幻覚の恐怖を強調しすぎだが名画「失われた週末」
失われた週末。ビリー・ワイルダー監督。
アルコール依存症の恐ろしさを描いた名作です。アカデミー賞を総ナメしました。
ただ、この映画は、離脱症状の幻覚を画いたことで、名作ともなり、逆にアルコール依存症は必ず幻覚を見る、という誤った認識を、固定してしまいました。
アルコール依存症のすべてが、幻覚を見るわけではありません。幻覚を見ないから、アルコール依存症ではない、という判断基準にはなりません。また、幻覚を見るようになったからもう廃人になるわけでもありません。
普通の健康な人間でも、幻覚を見ることは、珍しくはないそうです。
アルコール依存症の病態は、じつに様々で、先に内臓からやられる人、先に脳からやられ人格破綻の先行する人、色々だと教わりました。
AAや断酒会などの患者自助活動が普及し、断酒する人が増えてきて、医学の常識も変わりました。回復はありえないと信じられていた脳も、断酒により回復することが証明されました。
ただし、再飲酒により、脳も内臓もあっというまに炎症をおこす、不安定な状態であることにかわりはありません。
私は断酒会で命を救われた、アルコール障がい者です。
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