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トイレの花子さんと水の女神~学校の怪談は精霊の伝説
トイレの花子さん
昔から、家の三ヶ所に御札を貼って神祀りしました。
玄関、台所、便所。
台所には三宝荒神、あらみたま。
便所には、みずはのめ、水の女神。
便所の女神には花を絶やさない。
赤い花の少女はいつもやさしい、にぎみたま。
便所ではみんなおちついていられる。
赤い花の少女が笑ってくれる。
便所で泣いても、わかってくれる。
だのに、御札がはがされてしまった。
女神は花の少女の手を引いて去る。
女神は水に帰って流れ去る。
花の少女はさびしくてかなしくて。
子供たちに手折られてしまう。
そしてここはどこ?
学校のトイレ。
みんなせわしなくあわてて出入する。
しおれてしまった赤い花。
こんこん、花子さんいます?
赤い花は涙をふいて返事する。
うん。
だのに子供たちは逃げてゆく。
🐢🐢🐢🐢🐢
ミズハノメ
![](https://assets.st-note.com/img/1713830476359-GROYeEP6Bt.jpg)
#ミズハノメ 、です。検索すれば、こんな素敵なイラストが出てきます。
トイレの神様には、このミズハノメと、火の神ウスサマが祀られます。ウスサマはインドの火の神アグリのこととされます。火で浄化するか、水で浄化するかの違いもありますが、女神とするときはミズハノメとなります。
トイレの神様は美人です。だから、常にお供えの花を欠かせてはなりません。
トイレの花子さん、という学校怪談が語られています。花子さんは、ミズハノメに供えられた聖霊ですね。
ミズハノメは記紀神話では、イザナミが瀕死の時に流した尿から生まれた、とのみ書かれています。由来のよくわからない女神です。いろんな説があります。水神として、根元的な神であることはまちがいありません。
日本書紀は、罔象、モウショウ、と当て字します。意味は、ただようこと、あるいは、虚無です。哲学的な表現です。
ただよう虚無。宇宙論的な思索へいざなわれます。トイレの女神は、人を哲学者にします。宇宙の起源へと、導きます。
いつしか、私たちは、トイレの女神をお祀りしなくなりました。しおれた花の聖霊は、都市伝説の妖怪となります。
トイレで清浄な水を使えることが、どれだけありがたいことか。
どうか、ていねいな手洗いも忘れずに。