少年老いやすく学なりがたし~朱子学ではなく日本の禅僧の言葉でした
少年老いやすく学なりがたし
一寸の光陰軽んずべからず
従来、中国の朱子の言葉と信じられてきた。しかし、朱子の作品のどこにもこの言葉は見当たらないとも指摘されていた。
近年になり、室町時代の臨済宗相国寺の僧である、観中中諦(1342~1406)の作とするものが発見された。
江戸時代初期にパロディとして、少年を寺僧の同性愛の相手をする寺小姓とするものが書かれ、よく知られた作品であったことがうかがわれる。
江戸幕府の公認の学問として朱子学が重視されるなかで、朱子の作といわれるようになったらしい。
儒教的な勧学の奨めとして、明治時代の教科書に採用され、朱子作説が一般に定着する。
もとは、禅僧の作品であるから、やはり仏教的な無常観による、学問の気概を述べたものだろう。
観中中諦の原詩
少年易老学難成
一寸光陰不可軽
枕上未醒芳草夢
階前梧葉已秋声
今日流布しているものは、転の三行目が
未覚池塘春草夢
となる。
現代人には、ぼやぼやしてたら、じきに秋になる。夏休みの宿題はちゃんとやりなさい。とも、解釈できるかな。
夏休みの宿題も大切だけど、もはや、学、とはそのレベルでしか認識されない。
浅薄な知識にこりかたまった老人になるよりは、無知な少年から進歩してねえな、と自覚するほうがいい。三つ子の魂百まで。
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