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コロナ禍での紅テント「ビニールの城」を観劇
コロナで取っていた演劇のチケットが全て中止になり、しばらく生で演劇を観る事から距離を置いていたのだけど…。大好きな唐組が神戸に来るとあっては行かない訳にはない!
紅テントが立つのは、楠木正成の銅像がある湊川公園。夜になると新開地商店街のネオンに吸い寄せられそうになる場所。近代的なビルに囲まれた公園に、昭和の匂い漂う紅テントがでーーーん!
今回上演するのは「ビニールの城」。唐十郎が第三病棟に書いた芝居だ。
どうしても観たくて、東京の雑司ヶ谷の鬼子母神へ出向き、観たあの日を思い出す。あの時はまだ、コロナの前。芝居に登場するビニールは、エロ本の立ち読みを防ぐためのビニールだった。
しかし、コロナ禍の今、ビニールは感染対策として、ウイルスから守る役目を変わってしまった。
いつもなら、ギュウギュウのテント内も、一定の間隔が空けられ、なんだかとてもゆったりしている。隣りの人と膝や足がぶつかることもない。上を見上げると、ライトで明るさを得た真っ赤なテントが、怪しげに角を出していた。
芝居の最後はスコーンと舞台背景が抜ける唐組恒例の「屋台崩し」。テントの中に夜の空気が流れ込み、物語の世界から一気に現実に引き戻される。
この演出を初めて見た時、唐さん天才!と思った。お金をかけて舞台セットを作らなくても、今ある景色を舞台に取り込めばいいじゃないか!そんな心意気を感じて、しばらく席を立てなかった。
生の芝居は、その場所が発する空気感と、役者からのエネルギーを直に感じることができる。コロナが終息して、大手を振って生の芝居を楽しみたい。今はただそう願うばかりである。
※アップするのを忘れていたので、このタイミングで(笑。