衣類のカジュアル化と家庭洗濯のしやすさはクリーニング業界に何をもたらすのか?
前回、衣類は生活に必要な物から、
生活を豊かなものにする商品に変わってきたのではないかと書きました。
それと同時に、衣類のカジュアル化もどんどん進んでいくということもお伝えしました。
これらの変化は、
一般の人々の衣類のお手入れ行動にどのように影響を与えるでしょうか?
この問いを探り、探究することが、
これからのクリーニング業界のあり方を考えるヒントを与えてくれるのではないかと思います。
可処分所得の減少にともなって、
一般の人々のクリーニング代の節約志向が強まり、
家庭洗濯ができる衣類を購入される傾向が強くなってきています。
同時に、このような消費者の志向をふまえて、
アパレル業界は家庭洗濯可能(水洗い、手洗い可能)な商品を大量に市場に投入しているのが現状です。
おうちで簡単にお手入れできる衣類が増えています。
これは、クリーニング店の売上減少に直結します。
このような流れを受けて、クリーニング業界の中でPTBプロジェクトが発足しました。
PTBプロジェクトとは、カッターシャツ(ワイシャツ)だけでなく、その他のシャツ類(P=ポロシャツ、T=Tシャツ、B=ブラウス)を一枚でも多く、家庭洗濯から回帰させるプロジェクトのことです。
少しでも、クリーニングを利用してもらえるようにという考えですね。
洗剤メーカー、クリーニング機械メーカー、クリーニング資材メーカー等がクリーニング業界新聞を巻き込んてスタートし、テレビ報道で取り上げられたこともあります。
その目的は、
クリーニング代の節約志向に対して、
クリーニング料金を低価格にして対応しようというものです。
料金を安く設定するので、持ってきてほしいという考えです。
自分たちの洗剤、機械、資材を使えば、
短時間でクリーニングが出来て、生産性も上がるから、
低料金でも利益が出るという主張が各種メーカーからなされました。
(このことに異論がありますが、また別の投稿で取り上げたいと思います)
このPTBプロジェクトの意図の先にあるものは何か?
と考えてみました。
私の考え過ぎかもしれませんが、
これらのメーカーやPTBプロジェクトを推進する人たちの意図する先には、
私たちクリーニング業者やお客様のためと言いながらも、
自分たちがつくる洗剤、機械、資材が売れることにあるのではないか、
と感じてしまいます。
どんなにクリーニングに出しやすい価格にしたとしても、
衣類を購入する時に家庭で洗う衣類だと決めて買ったものを
クリーニング店に依頼するのでしょうか?
ちょっと考えればわかることだと思います。
料金を下げたとしても、クリーニングに出すとは限らないのです。
いつのまにか、このPTBプロジェクトのことは業界新聞にもとりあげられなくなり、忘れられたようです。
それでは、
このような衣類のカジュアル化と家庭洗濯のしやすさが進んだ際に、
クリーニング業界の未来は、
暗いのでしょうか?
それとも明るい光が見えているのでしょうか?
私はクリーニング業界の希望に満ちた明るい未来があると確信しています。
確かに、
コロナウィルスが蔓延する中、
売り上げをつくりあげることが難しくなっているのが現状です。
巣ごもり状態で、人々の行動が制限されている現状を思えば、いたしかたないと考えます。
それでは、なぜクリーニング業界の未来は明るいと考えるのか、
については、次回の投稿で書き綴ります。
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